ステガノグラフィの定義と、似た用語との区別を確認
情報セキュリティマネジメント試験 令和元年度秋期 午前 問11 / セキュリティ › 情報セキュリティ対策
過去問にチャレンジ
ステガノグラフィはどれか。
- ア
画像などのデータの中に,秘密にしたい情報を他者に気付かれることなく埋め込む。
- イ
検索エンジンの巡回ロボットにWebページの閲覧者とは異なる内容を応答し,該当Webページの検索順位が上位に来るようにする。
- ウ
検査対象の製品に,問題を引き起こしそうなJPEG画像などのテストデータを送信し読み込ませて,製品の応答や挙動から脆弱性を検出する。
- エ
コンピュータには認識できないほどゆがんだ文字を画像として表示し、利用者に文字を認識させて入力させることによって、利用者が人であることを確認する。
会話形式の解説
講師今回はステガノグラフィの定義を問う問題です。選択肢はどれも、別の名前が付いたセキュリティ関連の手法の説明になっています。それぞれの説明がどの用語に当たるかを考えるのがポイントです。
受験者ステガノグラフィは、画像の中に情報を隠す技術だったと思います。そうだとすると、画像などのデータに秘密の情報を埋め込むという選択肢が当てはまりそうです。
講師そのとおりです。画像などのデータに秘密の情報を、他者に気付かれないように埋め込む技術がステガノグラフィです。情報があること自体に気付かせない点が特徴です。
受験者ただ、JPEG画像を製品に読み込ませるという選択肢にも画像が出てくるので、少し迷いました。
講師そこは注意したいところです。問題を起こしそうなテストデータを製品に読み込ませて、応答や挙動から脆弱性を探す手法はファジングといいます。画像は検査用のデータとして使われているだけで、目的はバグや未知の脆弱性を見つけることです。情報を隠すこととは関係がありません。
受験者検索エンジンの巡回ロボットに閲覧者とは違う内容を返すというのは、何かを隠しているようにも読めます。
講師それはクローキングという手法です。巡回ロボット、つまり検索エンジンがWebページを集めるためのプログラムにだけ別の内容を見せて、検索順位を不正に上げようとするSEOの手口です。データの中に情報を埋め込む技術ではありません。
受験者ゆがんだ文字を読ませて入力させる仕組みは、ログイン画面などで見たことがあります。CAPTCHAですね。
講師はい。CAPTCHAは、自動プログラムと人間を見分けるためのテストです。こちらも画像を使いますが、利用者が人かどうかを確かめるのが目的です。
受験者画像が出てくるかどうかではなく、何のための技術なのかで区別すればよいのですね。情報を気付かれずに埋め込むのがステガノグラフィ、検索順位の操作がクローキング、脆弱性を探すのがファジング、人間かどうかの確認がCAPTCHAと整理しておきます。
講師よい整理です。あわせて暗号化との違いも押さえておきましょう。暗号化は内容を読めなくする技術ですが、ステガノグラフィは情報があること自体を隠す技術です。混同しやすいので区別しておきましょう。両者を組み合わせて使うこともできます。また、著作者情報などを埋め込む電子透かしは、ステガノグラフィを応用した例として知られています。
まとめ
ステガノグラフィは、画像や音声などのデータに秘密の情報を埋め込み、その存在に気付かれにくくする技術です。検索エンジンの巡回ロボットにだけ別の内容を見せて検索順位を操作する手法はクローキング、問題を起こしそうなデータを読み込ませて脆弱性を探す手法はファジング、ゆがんだ文字で人間かどうかを見分ける仕組みはCAPTCHAです。画像が登場するかどうかではなく、何を目的とする技術なのかで見分けるのがコツです。暗号化が内容を読めなくする技術であるのに対し、ステガノグラフィは情報の存在そのものを隠す点が違います。
解答・解説
正解はアです
この問題のテーマ
ステガノグラフィの定義を問う問題です。あわせて、クローキング、ファジング、CAPTCHAといった似た文脈で出てくる用語と区別できるかも問われています。
解き方の考え方
まず、ステガノグラフィが「データの中に情報を隠して埋め込む技術」であることを思い出します。次に、各選択肢の説明がどの用語に当たるかを考えます。検索順位の操作、脆弱性検査、人間かどうかの確認はどれも別の名前が付いた手法なので、それらを外していくと、情報の埋め込みを述べた選択肢だけが残ります。
選択肢ごとの解説
- ○ア 画像などのデータの中に,秘密にしたい情報を他者に気付かれることなく埋め込む。画像などのデータに秘密の情報を、他者に気付かれないように埋め込むという説明は、ステガノグラフィそのものです。情報の存在自体に気付かせない点が特徴で、ここが問題文と一致します。
- ×イ 検索エンジンの巡回ロボットにWebページの閲覧者とは異なる内容を応答し,該当Webページの検索順位が上位に来るようにする。検索エンジンの巡回ロボットに、閲覧者とは異なる内容を返して検索順位を上げる手法は、クローキングと呼ばれます。検索順位を不正に操作するSEOの手口であり、情報を隠して埋め込む技術ではありません。
- ×ウ 検査対象の製品に,問題を引き起こしそうなJPEG画像などのテストデータを送信し読み込ませて,製品の応答や挙動から脆弱性を検出する。問題を引き起こしそうなテストデータを製品に読み込ませ、その応答や挙動から脆弱性を見つける手法は、ファジングです。ソフトウェアや機器に潜むバグや未知の脆弱性を探すためのテスト手法で、ステガノグラフィとは目的が違います。
- ×エ コンピュータには認識できないほどゆがんだ文字を画像として表示し、利用者に文字を認識させて入力させることによって、利用者が人であることを確認する。ゆがんだ文字の画像を読ませて入力させ、利用者が人であることを確かめる仕組みは、CAPTCHAです。自動プログラムと人間を見分けるためのテストであり、情報を埋め込む技術ではありません。
補足
暗号化は内容を読めなくする技術ですが、ステガノグラフィは情報があること自体を隠す技術です。この違いを入れ替えた選択肢が出ることがあります。両者は組み合わせて使うこともできます。また、著作者情報などを埋め込む電子透かしは、ステガノグラフィを応用した例として知られています。
POINT
- ステガノグラフィは、画像や音声などのデータに秘密情報を埋め込み、その存在に気付かれにくくする技術です。
- 検索エンジンのロボットにだけ別の内容を見せて検索順位を操作する手法は、クローキングです。
- 異常なデータや問題を起こしそうなデータを与えて、挙動から脆弱性を探す手法は、ファジングです。
- ゆがんだ文字などを使って人間か自動プログラムかを見分ける仕組みは、CAPTCHAです。
