マナビング情報セキュリティマネジメント

インシデント対応体制づくりを支援する資料を作成機関から見分ける

情報セキュリティマネジメント試験 令和8年度 問2 / セキュリティ › 情報セキュリティ管理

過去問にチャレンジ

令和8年度 問2

組織的なインシデント対応体制の構築を支援する目的でJPCERTコーディネーションセンターが作成したものはどれか。

  1. ア

    CSIRTマテリアル

  2. イ

    ISMSユーザーズガイド

  3. ウ

    証拠保全ガイドライン

  4. エ

    組織における内部不正防止ガイドライン

会話形式の解説

講師講師
今回は、セキュリティ関連の資料を「どの機関が、何のために作ったか」で見分ける問題です。注目したい条件は、インシデント対応体制の構築を支援することと、作成したのがJPCERTコーディネーションセンター、略してJPCERT/CCであることの2つです。
受験者受験者
資料名はどれも見たことがあるのですが、どこが作ったのかまでは覚えていません。インシデント対応という言葉からすると、証拠保全ガイドラインも関係がありそうに思えます。
講師講師
まず、インシデント対応を担う組織内のチームが何と呼ばれるかを思い出してみましょう。インシデントの受付・調査・対応・連絡調整を担う組織のことです。
受験者受験者
CSIRTですね。そうすると、名前にCSIRTが入っているCSIRTマテリアルが有力だと思います。
講師講師
そのとおりです。CSIRTマテリアルは、JPCERT/CCが組織内CSIRTの構築を支援するために作った資料です。構想・構築・運用という段階ごとの内容で構成されています。作成機関と目的の両方が問題文の条件に合っています。
受験者受験者
では、証拠保全ガイドラインはどうして違うのでしょうか。インシデント対応の中で証拠を保全することもありますよね。
講師講師
証拠保全はインシデント対応の一部にあたります。ただ、このガイドラインは電磁的証拠、つまりデジタルデータの証拠を調査に使えるよう適切に保全する手続きを示したものです。体制の構築全体を支援する資料ではありません。作成したのも日本デジタル・フォレンジック研究会で、JPCERT/CCではありません。
受験者受験者
ISMSユーザーズガイドは、ISMSの構築という意味で体制づくりに近い気がしますが、これも違うのですか。
講師講師
ISMSユーザーズガイドは、情報セキュリティマネジメントシステム全般の構築や、認証基準の要求事項を理解するための資料です。作成・公開しているのはJIPDECです。CSIRTの構築支援を主な目的としていませんし、作成機関も違います。
受験者受験者
組織における内部不正防止ガイドラインは、IPAが作ったものでしたか。対象が内部不正に限られているので、この問題の条件には合わないと考えました。
講師講師
正しい理解です。IPAが作成した指針で、内部不正の防止と、発生したときの早期発見や被害拡大の防止に向けた体制整備を進めるためのものです。対象が内部不正に限られ、作成機関もJPCERT/CCではありません。
講師講師
資料名を問う問題は、作成機関と目的をセットで覚えておくと確実に解けます。CSIRTマテリアルはJPCERT/CC、ISMSユーザーズガイドはJIPDEC、証拠保全ガイドラインは日本デジタル・フォレンジック研究会、内部不正防止ガイドラインはIPAです。なお、CSIRTはインシデントが起きたときだけでなく、平常時にも訓練や情報収集、窓口の整備などを行う組織だという点もあわせて押さえておきましょう。

まとめ

JPCERT/CCがインシデント対応体制の構築支援のために作成した資料は、CSIRTマテリアルです。CSIRTマテリアルは組織内CSIRTの構築を支援する資料で、構想・構築・運用の段階ごとの内容で構成されています。ISMSユーザーズガイドはJIPDEC、証拠保全ガイドラインは日本デジタル・フォレンジック研究会、組織における内部不正防止ガイドラインはIPAが作成したもので、いずれも作成機関も目的も条件に合いません。資料名を問う問題では、作成機関と目的を組み合わせて覚えておくのが確実です。

解答・解説

正解はアです

この問題のテーマ

情報セキュリティ関連の代表的な資料について、どの機関が何の目的で作ったのかを結び付けられるかを問う問題です。ここでは、組織内のインシデント対応体制(CSIRT)づくりを支援するJPCERT/CCの資料が問われています。

解き方の考え方

問題文の「インシデント対応体制の構築」と「JPCERTコーディネーションセンター」という2つの条件に注目します。インシデント対応を担う組織内チームはCSIRTと呼ばれるので、名前にCSIRTを含む資料が有力です。ほかの選択肢についても作成機関と目的を確かめると、どれも条件に合わないことが分かります。

選択肢ごとの解説

  1. ○ア  CSIRTマテリアル
    CSIRTマテリアルは、JPCERT/CCが組織内CSIRTの構築を支援するために作成した資料です。構想・構築・運用という段階ごとの内容で構成されています。作成機関も目的も問題文の条件に合っています。
  2. ×イ  ISMSユーザーズガイド
    ISMSユーザーズガイドは、ISMSの構築や認証基準の要求事項を理解するための資料で、JIPDECが作成・公開しています。情報セキュリティマネジメントシステム全般を扱うもので、CSIRTの構築支援を主な目的としていません。作成機関もJPCERT/CCではありません。
  3. ×ウ  証拠保全ガイドライン
    証拠保全ガイドラインは、電磁的証拠を調査に使えるように適切に保全する手続きを示したもので、日本デジタル・フォレンジック研究会が作成しました。証拠保全はインシデント対応の一部にあたりますが、体制の構築全体を支援する資料ではありません。
  4. ×エ  組織における内部不正防止ガイドライン
    組織における内部不正防止ガイドラインは、IPAが作成した指針です。内部不正の防止と、発生したときの早期発見や被害拡大の防止に向けた体制整備を進めるためのものです。対象が内部不正に限られているうえ、作成機関もJPCERT/CCではありません。

補足

CSIRTは、インシデントの受付・調査・対応・連絡調整を担う組織です。平常時にも訓練や情報収集、窓口の整備などを行います。証拠保全もインシデント対応に関わるため、ウを選びたくなるかもしれませんが、問われているのは体制構築を支援する資料である点に注意してください。

POINT

  • CSIRTマテリアルは、JPCERT/CCが組織内CSIRTの構築を支援するために作成した資料です。
  • ISMSユーザーズガイドはJIPDECが作成・公開しており、ISMSの構築や認証基準の理解を助けるための資料です。
  • 証拠保全ガイドラインは日本デジタル・フォレンジック研究会が作成したもので、電磁的証拠を保全する手続きを示しています。
  • 組織における内部不正防止ガイドラインはIPAが作成しました。
  • 資料名を問う問題は、「作成機関」と「目的」の2点を組み合わせて覚えておくと確実に解けます。

※出典:令和8年度 情報セキュリティマネジメント試験 科目A 問2