サービスレベル目標とは何か、似た定義文との見分け方
情報セキュリティマネジメント試験 令和8年度 問9 / サービスマネジメント › サービスマネジメント
過去問にチャレンジ
サービスマネジメントにおける,サービスレベル目標の説明はどれか。
- ア
意図した結果を達成するために,知識及び技能を適用する能力
- イ
組織が約束する,具体的に測定可能なサービスの特性
- ウ
トップマネジメントによって正式に表明された組織の意図及び方向付け
- エ
明示されているか,通常,暗黙のうちに了解されているか,又は義務として要求されているニーズ又は期待
会話形式の解説
講師今回はサービスマネジメントの用語の定義を問う問題です。選択肢の4つは、どれも規格に出てくる何かの用語の正しい定義文です。それぞれがどの用語の説明なのかを考えると解きやすくなります。
受験者全部それらしく見えて迷いました。私は、明示や暗黙のニーズ又は期待という説明が、お客様の期待をまとめたものなので、サービスレベル目標に近いのかなと思いました。
講師そこが一番取り違えやすいところです。明示されたもの、暗黙のうちに了解されたもの、義務として求められるもののいずれかに当たるニーズや期待、という説明は「要求事項」の定義です。要求事項はサービスレベル目標を決めるときの元にはなりますが、目標そのものではありません。
受験者元になるもの、という関係なのですね。では、目標の側には何か決め手になる言葉がありますか。
講師「目標」と呼ぶ以上は、達成できたかどうかを測って判断できる必要があります。そこで「測定可能」という語に注目します。組織が約束する、具体的に測定可能なサービスの特性という説明が、サービスレベル目標の定義です。
受験者稼働率や応答時間のように、数字で達成したかどうかを確かめられるもの、というイメージでよいですか。
講師そのとおりです。そうした数値で決めた目標は、SLA、つまりサービスレベル合意書に記載されるのが一般的です。
受験者トップマネジメントが正式に表明した組織の意図と方向付けという説明も、組織が約束しているように読めて少し迷いました。
講師それは「方針」の定義です。たとえばサービスマネジメント方針などが方針に当たります。方針は組織が進む基本的な方向を示すもので、個々の測定値を約束するものではありません。「トップマネジメント」という語が見分ける手がかりになります。
受験者残りの、知識と技能を使って意図した結果を出す能力という説明は、人についての話に見えます。
講師よく気付きました。それは「力量」の定義です。要員が業務を適切にこなせるかどうかを表す考え方で、サービスについて定める目標ではありません。
受験者整理すると、測定可能ならサービスレベル目標、トップマネジメントなら方針、暗黙のうちに了解なら要求事項、知識及び技能なら力量ということですね。
講師はい、それで正しく見分けられます。規格の用語定義を問う問題では、このように別の用語の正しい定義文が誤りの選択肢として並ぶことがよくあります。特徴的な語句を手がかりにすると素早く判断できます。特に要求事項とサービスレベル目標は、元になるものと決めた目標という関係なので、取り違えないよう意識しておきましょう。
まとめ
サービスレベル目標は「組織が約束する、具体的に測定可能なサービスの特性」と定義され、稼働率や応答時間などの数値で決めて、SLAに記載するのが一般的です。この問題の誤りの選択肢は、力量・方針・要求事項という別の用語の正しい定義文です。「知識及び技能を適用する能力」は力量、「トップマネジメントが表明した意図及び方向付け」は方針、「明示・暗黙・義務のニーズ又は期待」は要求事項を表します。要求事項はサービスレベル目標を決めるときの元になるため、この2つは特に取り違えやすい組合せです。
解答・解説
正解はイです
この問題のテーマ
サービスマネジメントの用語のうち「サービスレベル目標」の定義を、力量・方針・要求事項という、よく似た形の定義と見分けられるかを問う問題です。
解き方の考え方
4つの選択肢は、どれもサービスマネジメントの規格に出てくる用語の定義文です。まず、それぞれの文がどの用語を説明しているかを考えます。「目標」と呼ぶ以上は、達成できたかどうかを測って判断できなければなりません。そこで「測定可能」という語を含む説明を探すと、正解を選べます。
選択肢ごとの解説
- ×ア 意図した結果を達成するために,知識及び技能を適用する能力知識と技能を使って意図した結果を出す能力の説明は、力量(competence)の定義です。力量は、要員が業務を適切にこなせるかどうかを表す考え方で、サービスについて定める目標ではありません。
- ○イ 組織が約束する,具体的に測定可能なサービスの特性組織が約束する、具体的に測定可能なサービスの特性という説明は、サービスレベル目標の定義そのものです。稼働率や応答時間のように、達成できたかどうかを数値で評価できる形で決めます。決めた目標はSLA(サービスレベル合意書)に記載されます。
- ×ウ トップマネジメントによって正式に表明された組織の意図及び方向付けトップマネジメントが正式に表明した、組織の意図と方向付けの説明は、方針(policy)の定義です。サービスマネジメント方針がこれに当たります。方針は組織が進む基本的な方向を示すもので、個々の測定値を約束するものではありません。
- ×エ 明示されているか,通常,暗黙のうちに了解されているか,又は義務として要求されているニーズ又は期待明示されたもの、暗黙のうちに了解されたもの、義務として求められるもの、のいずれかに当たるニーズや期待の説明は、要求事項(requirement)の定義です。要求事項はサービスレベル目標を決めるときの元になりますが、目標そのものではありません。
補足
規格の用語定義を問う問題では、本問のように、別の用語の正しい定義文が誤りの選択肢として並ぶことがよくあります。この種の問題では「測定可能」「トップマネジメント」「暗黙のうちに了解」のような特徴的な語句を手がかりにすると、用語を素早く見分けられます。なお、要求事項を元にサービスレベル目標を決めるという関係があるため、エの要求事項とイのサービスレベル目標は取り違えやすい組合せです。
POINT
- サービスレベル目標は「組織が約束する、具体的に測定可能なサービスの特性」と定義されます。
- サービスレベル目標は稼働率や応答時間などの数値で決め、SLAに記載します。
- 「知識及び技能を適用する能力」は力量の定義です。
- 「トップマネジメントが表明した意図及び方向付け」は方針の定義です。
- 「明示・暗黙・義務のニーズ又は期待」は要求事項の定義です。
