インシデント・問題・既知の誤りの違いを整理する
情報セキュリティマネジメント試験 令和元年度秋期 午前 問41 / サービスマネジメント › サービスマネジメント
過去問にチャレンジ
IT サービスマネジメントにおいて、“サービスに対する計画外の中断”,“サービスの品質の低下”、又は“顧客へのサービスにまだ影響していない事象”を何というか。
- ア
インシデント
- イ
既知の誤り
- ウ
変更要求
- エ
問題
会話形式の解説
講師今回はITサービスマネジメントの用語問題です。設問に並んだ三つの事象がどれも「サービスに起きた、または起きかけた出来事」だという点に注目してください。
受験者インシデントと問題で迷いました。どちらもトラブルという意味に聞こえるので、区別があいまいです。
講師そこが一番の分かれ目です。インシデントは表に現れた症状、つまり出来事そのものです。問題は、一つ以上のインシデントの根本原因を指します。設問が聞いているのは原因と出来事のどちらでしょうか。
受験者中断や品質の低下は、表に現れた出来事ですね。なので、原因を指す問題は当てはまらないと思います。
講師そのとおりです。インシデントの定義は、サービスの計画外の中断、品質の低下、顧客へのサービスにまだ影響していない事象の三つで、設問と一致します。
受験者顧客にまだ影響していないものまでインシデントに入るのは意外です。影響が出てからインシデントになるのだと思っていました。
講師そこがインシデントの定義の特徴です。たとえば監視で異常が見つかったら、利用者に影響が出る前でもインシデントとして記録します。
受験者既知の誤りも、名前だけ見ると出来事を指していそうです。これはどう違いますか。
講師既知の誤りは、根本原因が特定されたか、回避策で影響を減らせる状態になった問題のことです。問題を分析した後の段階を表す用語なので、出来事そのものの呼び名ではありません。
受験者変更要求は、サービスや構成要素に変更を加えるための提案、つまり申請の手続の言葉なので、計画外の中断とは関係ないということですね。
講師はい。整理すると、出来事そのものがインシデント、その原因が問題、原因の特定や回避策まで進んだ問題が既知の誤り、変更の提案が変更要求です。管理の目的も違い、インシデント管理はサービスの早期回復を、問題管理は根本原因の分析と再発防止を目指します。
講師なお、根拠の規格のJIS Q 20000-1は出題後に改正され、今は2020年版が最新です。2020年版でもインシデントという用語の意味は変わっておらず、正解は同じインシデントです。
まとめ
ITサービスマネジメントでは、サービスの計画外の中断、品質の低下、顧客へのサービスにまだ影響していない事象をまとめて「インシデント」と呼びます。インシデントは表に現れた出来事で、「問題」はその根本原因です。「既知の誤り」は根本原因が特定されたか回避策がある状態の問題、「変更要求」はサービスや構成要素への変更の提案で、どちらも出来事そのものの呼び名ではありません。インシデント管理は早期回復を、問題管理は根本原因の分析と再発防止を目的とします。
解答・解説
正解はアです
この問題のテーマ
ITサービスマネジメントの用語のうち、計画外の中断、品質の低下、まだ顧客に影響していない事象の三つをまとめて指す「インシデント」を選ぶ問題です。
解き方の考え方
設問の三つの事象は、どれも「サービスに起きた(起きかけた)出来事」です。そこで、選択肢の用語を「出来事そのもの」「出来事の原因」「原因を分析した後の段階」「変更の提案」に分けると、出来事そのものを指すのはインシデントだけだと分かります。特に、顧客にまだ影響していない事象も含まれる点が、インシデントの定義の特徴です。
選択肢ごとの解説
- ○ア インシデントインシデントの定義は、サービスの計画外の中断、品質の低下、顧客へのサービスにまだ影響していない事象の三つで、設問の内容と一致します。たとえば監視で見つかった異常は、利用者に影響が出る前でもインシデントとして記録します。
- ×イ 既知の誤り既知の誤りは、根本原因が特定されているか、回避策で影響を減らせる状態になった「問題」を指します。問題を分析した後の段階を表す用語なので、中断や品質低下といった出来事そのものの呼び名には当たりません。
- ×ウ 変更要求変更要求(RFC)は、サービスやその構成要素、サービスマネジメントシステムに変更を加えるための提案です。変更を申請する手続の用語なので、計画外に起きる中断や品質低下を表すものではありません。
- ×エ 問題問題は、一つ以上のインシデントの根本原因を指します。設問が問うのは原因ではなく、表面に現れた出来事のほうなので、問題は当てはまりません。
※JIS Q 20000-1は出題後に改正され、現在はJIS Q 20000-1:2020が最新版です。インシデントの定義の内容は大きく変わっていないため、この問題の正解(インシデント)は変わりません。
POINT
- インシデントには、計画外の中断や品質の低下に加えて、顧客にまだ影響していない事象も含まれます。
- インシデントは表に現れた症状で、問題はその根本原因という関係です。
- 既知の誤りは、根本原因が特定されているか回避策がある状態の問題です。
- 変更要求は、サービスや構成要素への変更を提案するもので、出来事を表す用語ではありません。
- インシデント管理はサービスの早期回復を、問題管理は根本原因の分析と再発防止を目的とします。
