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ストレージ抜き取り攻撃に効くのはどのパスワードか

情報セキュリティマネジメント試験 2022年 サンプル問題 問11 / セキュリティ › 情報セキュリティ対策

過去問にチャレンジ

2022年 サンプル問題 問11

利用者PCの内蔵ストレージが暗号化されていないとき,攻撃者が利用者PCから内蔵ストレージを抜き取り,攻撃者が用意したPCに接続して内蔵ストレージ内の情報を盗む攻撃の対策に該当するものはどれか。

  1. ア

    内蔵ストレージにインストールしたOSの利用者アカウントに対して,ログインパスワードを設定する。

  2. イ

    内蔵ストレージに保存したファイルの読取り権限を,ファイルの所有者だけに付与する。

  3. ウ

    利用者PC上でHDDパスワードを設定する。

  4. エ

    利用者PCにBIOSパスワードを設定する。

会話形式の解説

講師講師
今回は、PCから内蔵ストレージを抜き取られ、攻撃者のPCにつながれて中身を読まれる攻撃への対策を考えます。注目したいのは、ストレージが別のPCにつながれた時点で、元のPCの何が働かなくなるかという点です。
受験者受験者
選択肢に「パスワード」が三つも出てきて迷いました。パスワードをかけておけば、どれでも守れそうな気がします。
講師講師
そこがこの問題のつまずきやすいところです。パスワードごとに、何を守るのかが違います。まず、OSの利用者アカウントにログインパスワードを設定する案はどうでしょう。
受験者受験者
ログインパスワードは元のOSを起動したときに確認されるものなので、ストレージを攻撃者のPCにつながれたら、攻撃者のOSから読まれてしまう、ということでしょうか。
講師講師
そのとおりです。元のOSは起動されないので、その認証は通らずに済んでしまいます。では、ファイルの読取り権限を所有者だけに与える案はどうですか。
受験者受験者
権限設定のほうが細かく守れそうに思えますが、これもOSが管理しているものですよね。
講師講師
はい。アクセス制御、つまり誰がどのファイルを読めるかを決める仕組みですが、管理しているのは元のOSです。取り外したストレージを別の環境で読む場合には、その権限設定は効きません。
受験者受験者
BIOSパスワードはどうでしょうか。OSより手前の段階で守る仕組みなので、効果がありそうに思えました。
講師講師
BIOSパスワードは、元のPCの起動を制限する設定です。守っているのはあくまで元のPCの起動なので、ストレージを取り外して別のPCにつながれれば関係がなくなります。
受験者受験者
そうすると、残るHDDパスワードはストレージそのものにかかっているパスワード、ということですか。
講師講師
そうです。HDDパスワードは、ストレージという媒体そのものへのアクセスを制限する仕組みです。別のPCにつながれても、パスワードがなければドライブにアクセスできないので、中の情報を読まれる危険を下げられます。これが正解です。
受験者受験者
整理すると、ログインパスワードはOSへのログイン、BIOSパスワードはPCの起動、HDDパスワードは媒体へのアクセスを守るもので、抜き取り攻撃に効くのは媒体を守るものだけ、ということですね。
講師講師
よく整理できています。補足すると、この攻撃への対策としては、ストレージ全体の暗号化もストレージそのものを守る方法です。ただ、問題文は暗号化されていない前提で、選択肢にも暗号化は含まれていません。「パスワード」という言葉だけで判断せず、元のPCやOSの上でだけ働く対策か、媒体そのものを守る対策かを見分けるようにしましょう。

まとめ

内蔵ストレージを抜き取って攻撃者のPCにつなぐ攻撃では、元のPCのOSやBIOSの保護機能は働きません。そのため、OSのログインパスワードやファイルの読取り権限、BIOSパスワードはこの攻撃への対策になりません。HDDパスワードはストレージという媒体そのものへのアクセスを制限するため、別のPCにつながれても中身を読まれる危険を下げられます。同じ「パスワード」でも、OSへのログイン、PCの起動、媒体へのアクセスと、守る対象が違う点を区別することが大切です。

解答・解説

正解はウです

この問題のテーマ

PCから抜き取られた内蔵ストレージを、攻撃者が別のPCにつないで中身を読み出す攻撃に対して、有効な対策を選ぶ問題です。

解き方の考え方

まず、ストレージを抜き取られて攻撃者のPCにつながれた時点で、元のPCのOSやBIOSの仕組みは動かないことを押さえます。そのうえで、各選択肢の対策が「元のPCやOSの上でだけ働くもの」なのか、「ストレージそのものを守るもの」なのかを分けて考えます。ストレージ単体へのアクセスを制限できる対策だけが、この攻撃に効きます。

選択肢ごとの解説

  1. ×ア  内蔵ストレージにインストールしたOSの利用者アカウントに対して,ログインパスワードを設定する。
    OSの利用者アカウントにログインパスワードを設定する案は、元のOSを起動したときの認証にすぎません。ストレージを別のPCにつなげば攻撃者のOSから読み出せるので、この認証は通らずに済んでしまいます。
  2. ×イ  内蔵ストレージに保存したファイルの読取り権限を,ファイルの所有者だけに付与する。
    ファイルの読取り権限を所有者だけに与える案は、OSが管理するアクセス制御です。取り外したストレージを別の環境で読む場合には、元のOSの権限設定は効き目がありません。
  3. ○ウ  利用者PC上でHDDパスワードを設定する。
    HDDパスワードは、ストレージという媒体そのものへのアクセスを制限する仕組みです。取り外して別のPCにつないでも、パスワードがなければドライブにアクセスできないので、中の情報を読まれる危険を下げられます。
  4. ×エ  利用者PCにBIOSパスワードを設定する。
    BIOSパスワードは、元のPCの起動を制限するための設定です。ストレージを取り外して別のPCにつなげば関係がなくなるため、媒体の保護にはなりません。BIOSパスワードは起動を制限し、HDDパスワードは媒体へのアクセスを制限するという点が違います。

補足

問題文は、内蔵ストレージが暗号化されていない前提で書かれているため、暗号化以外の対策から選ぶ形になっています。「パスワード」が付く選択肢が三つ並んでいるので、それぞれが何を守るのか(OSへのログイン、PCの起動、媒体へのアクセス)を区別して読むことが大切です。

POINT

  • ストレージを抜き取って別のPCにつなぐ攻撃には、元のPCのOSによる保護機能は効きません。
  • この攻撃への対策は、ストレージ全体の暗号化やHDDパスワードのように、ストレージそのものを守るものである必要があります。
  • HDDパスワードは、取り外した後もドライブへのアクセスを制御できます。
  • BIOSパスワードはPCの起動を制限するもので、取り外した媒体は守れません。

※出典:2022年 サンプル問題 情報セキュリティマネジメント試験 科目A 問11