マナビング情報セキュリティマネジメント

ランダムサブドメイン攻撃の被害はどこに出るのか

情報セキュリティマネジメント試験 令和元年度秋期 午前 問25 / セキュリティ › 情報セキュリティ

過去問にチャレンジ

令和元年度秋期 午前 問25

攻撃者が、多数のオープンリゾルバに対して、“あるドメイン”の実在しないランダムなサブドメインを多数問い合わせる攻撃(ランダムサブドメイン攻撃)を仕掛け、多数のオープンリゾルバが応答した。このときに発生する事象はどれか。

  1. ア

    “あるドメイン”を管理する権威 DNSサーバに対して負荷が掛かる。

  2. イ

    “あるドメイン”を管理する権威DNSサーバに登録されているDNS情報が改ざんされる。

  3. ウ

    オープンリゾルバが保持するDNSキャッシュに不正な値を注入される。

  4. エ

    オープンリゾルバが保持するゾーン情報を不正に入手される。

会話形式の解説

講師講師
今回はランダムサブドメイン攻撃、別名DNS水責め攻撃の問題です。問い合わせるサブドメインが「実在しない」うえに「ランダム」だという点に注目すると、どこに被害が出るかが見えてきます。
受験者受験者
DNSの攻撃というと、私はまずキャッシュに偽の情報を入れる攻撃を思い浮かべます。オープンリゾルバが応答したと書いてあるので、リゾルバのキャッシュがおかしくなる話なのかと迷いました。
講師講師
その攻撃はDNSキャッシュポイズニングですね。キャッシュに偽の値を注入するのが目的です。ランダムサブドメイン攻撃のほうは無意味な問い合わせを大量に送るだけで、キャッシュに偽の情報を入れることはありません。なので、キャッシュに不正な値を注入されるという選択肢は別の攻撃の説明です。
受験者受験者
では、オープンリゾルバそのものは何をしているのですか。
講師講師
オープンリゾルバは、誰からの再帰的な問い合わせ、つまり最終的な答えが分かるまで代わりに調べてほしいという依頼にも応答してしまうDNSキャッシュサーバです。普通なら、一度調べた名前はキャッシュから答えます。でもサブドメインが毎回ランダムで、しかも実在しないので、キャッシュに答えがありません。
受験者受験者
キャッシュが使えないから、リゾルバは毎回どこかに聞きに行くことになるのですね。
講師講師
そうです。聞きに行く先は“あるドメイン”を管理する権威DNSサーバ、つまりそのドメインの正式な情報を持っているサーバです。多数のオープンリゾルバから問い合わせが次々に届くので、権威DNSサーバが過負荷になります。権威DNSサーバに負荷が掛かるという選択肢が正解です。
受験者受験者
権威DNSサーバが狙われるなら、登録情報が改ざんされるという選択肢もありそうに見えます。
講師講師
そこは引っかかりやすいところです。この攻撃は問い合わせを送っているだけで、登録されているDNS情報を書き換えることはしません。改ざんするには、サーバへの不正侵入や管理者権限の奪取など、別の手段が必要です。
受験者受験者
残りの、ゾーン情報を不正に入手されるという選択肢はどうですか。
講師講師
ゾーン情報をまとめて取得するにはゾーン転送という特別な要求が必要で、普通はアクセスが制限されています。この攻撃の動作とは関係ありません。そもそもゾーン情報を持つのは権威DNSサーバで、キャッシュサーバであるオープンリゾルバではない点も、誤りと判断できる理由になります。
受験者受験者
整理すると、ランダムな名前のせいでキャッシュが効かず、問い合わせが権威DNSサーバまで届いて負荷が掛かる。改ざん、注入、情報の取得はどれもこの攻撃の目的ではない、ということですね。
講師講師
そのとおりです。DDoS攻撃の一種なので、主な被害を受けるのは権威DNSサーバで、止まると名前解決ができなくなりサービスにも影響が出ます。DNSの攻撃は名前が似ているので、偽の情報を入れるのがキャッシュポイズニング、大量の問い合わせで負荷を掛けるのが水責め攻撃、と目的で区別しておきましょう。欠陥のあるホームルータがオープンリゾルバとして悪用される場合があることも覚えておくとよいです。

まとめ

ランダムサブドメイン攻撃(DNS水責め攻撃)は、実在しないランダムなサブドメインを大量に問い合わせるDDoS攻撃の一種です。名前が毎回違うのでオープンリゾルバのキャッシュは使われず、問い合わせは対象ドメインの権威DNSサーバまで届き、権威DNSサーバに負荷が掛かります。この攻撃は負荷を掛けることが目的で、DNS情報の改ざんやキャッシュへの偽情報の注入(DNSキャッシュポイズニング)、ゾーン情報の不正取得とは関係ありません。DNSの攻撃は目的で区別すると整理しやすくなります。

解答・解説

正解はアです

この問題のテーマ

ランダムサブドメイン攻撃(DNS水責め攻撃)をオープンリゾルバ経由で仕掛けたとき、どこにどのような被害が出るかを問う問題です。

解き方の考え方

まず、問い合わせるサブドメインが「実在しない」うえに「ランダム」である点に注目します。名前が毎回違うのでリゾルバのキャッシュは使われず、リゾルバは問い合わせのたびに“あるドメイン”の権威DNSサーバへ問い合わせを送ります。その結果、大量の問い合わせが権威DNSサーバに集まります。この攻撃は負荷を掛けることが目的なので、改ざん・注入・情報窃取を説明している選択肢は外せます。

選択肢ごとの解説

  1. ○ア  “あるドメイン”を管理する権威 DNSサーバに対して負荷が掛かる。
    権威DNSサーバに負荷が掛かるという説明は、この攻撃の結果そのものです。ランダムなサブドメインの名前解決はキャッシュで済ませられないため、多数のオープンリゾルバから権威DNSサーバへ問い合わせが繰り返し送られ、サーバが過負荷になります。
  2. ×イ  “あるドメイン”を管理する権威DNSサーバに登録されているDNS情報が改ざんされる。
    権威DNSサーバの登録情報が改ざんされるという説明は誤りです。この攻撃は問い合わせを大量に送って負荷を掛けるもので、登録されているDNS情報を書き換えることはありません。改ざんするには、サーバへの不正侵入や管理者権限の奪取など別の手段が必要です。
  3. ×ウ  オープンリゾルバが保持するDNSキャッシュに不正な値を注入される。
    DNSキャッシュに不正な値を注入されるという説明は、DNSキャッシュポイズニングのものです。ランダムサブドメイン攻撃は無意味な問い合わせを大量に送るだけなので、キャッシュに偽の情報を入れることはありません。
  4. ×エ  オープンリゾルバが保持するゾーン情報を不正に入手される。
    ゾーン情報を不正に入手されるという説明も、この攻撃の動作とは関係がありません。ゾーン情報をまとめて取得するにはゾーン転送という特別な要求が必要で、通常はアクセスが制限されています。そもそも、ゾーン情報を持つのは権威DNSサーバで、キャッシュサーバであるオープンリゾルバではない点にも注意してください。

補足

DNSに関する攻撃は名前が似ているので、目的で区別すると整理しやすくなります。偽の情報をキャッシュに入れるのがDNSキャッシュポイズニング、大量の問い合わせで負荷を掛けるのが水責め攻撃です。また、欠陥のあるホームルータがオープンリゾルバとして攻撃に悪用される場合もあります。

POINT

  • ランダムサブドメイン攻撃(DNS水責め攻撃)は、実在しないサブドメインを大量に問い合わせるDDoS攻撃の一種です。
  • サブドメインが毎回違うのでキャッシュが使われず、問い合わせは対象ドメインの権威DNSサーバまで届きます。
  • 被害を受けるのは権威DNSサーバで、過負荷で止まると名前解決ができなくなり、サービスに影響が出ます。
  • オープンリゾルバとは、誰からの再帰的な問い合わせにも応答してしまうDNSキャッシュサーバのことで、攻撃の踏み台に悪用されます。

※出典:令和元年度秋期 情報セキュリティマネジメント試験 午前 問25