マナビング情報セキュリティマネジメント

システム間で受け渡すデータの正確性と網羅性を確かめる方法

情報セキュリティマネジメント試験 令和元年度秋期 午前 問37 / システム監査 › 内部統制

過去問にチャレンジ

令和元年度秋期 午前 問37

入出金管理システムから出力された入金データファイルを,売掛金管理システムが読み込んでマスタファイルを更新する。入出金管理システムから売掛金管理システムに受け渡されたデータの正確性及び網羅性を確保するコントロールはどれか。

  1. ア

    売掛金管理システムにおける入力データと出力結果とのランツーランコントロール

  2. イ

    売掛金管理システムのマスタファイル更新におけるタイムスタンプ機能

  3. ウ

    入金額及び入金データ件数のコントロールトータルのチェック

  4. エ

    入出金管理システムへの入力のエディットバリデーションチェック

会話形式の解説

講師講師
今回は、入出金管理システムから売掛金管理システムへ入金データを渡す場面のコントロールを選ぶ問題です。注目点は二つあります。確かめたいのが「正確性」と「網羅性」の両方であることと、対象がシステムどうしの受渡しの部分であることです。
受験者受験者
正確性は内容が正しいこと、網羅性は漏れがないこと、という理解でよいですか。どちらも同じような意味に見えて、少し迷いました。
講師講師
その理解で大丈夫です。たとえば金額が1桁違っていれば正確性の問題、明細が1件抜け落ちていれば網羅性の問題です。この二つを両方確かめられるものを探します。
受験者受験者
私はランツーランコントロールが気になりました。処理の前後で内容が合っているかを確かめる手法なので、受渡しのチェックにも使えそうに思えます。
講師講師
手法としては近いのですが、この選択肢では対象が売掛金管理システムの中の入力と出力に限られています。入出金管理システムから正しく漏れなく渡ってきたかどうかを直接確かめるものではないので、誤りです。
受験者受験者
なるほど、どこを対象にしているかが大事なのですね。マスタファイル更新のタイムスタンプ機能は、いつ更新したかが分かるだけなので外れると考えました。
講師講師
そのとおりです。更新の時刻が記録されても、金額が正しいかどうかや、明細が欠けていないかどうかは分かりません。
受験者受験者
エディットバリデーションチェックは入力値をチェックするものなので、正確性には効きそうです。それでも誤りなのはなぜですか。
講師講師
エディットバリデーションチェックは、入力値の範囲・形式・論理的な妥当性を確かめるものです。正確性には役立ちますが、網羅性は高められません。受渡しの途中でデータが欠けても検出できないのです。それに、対象は入出金管理システムへの入力で、受渡しの部分ではありません。
受験者受験者
そうすると残るのは、入金額と件数のコントロールトータルのチェックですね。コントロールトータルは、集計した値のことでしょうか。
講師講師
はい。金額の合計や件数といった集計値を、送る側と受け取る側で突き合わせる方法です。件数が合えば明細に漏れがないこと、つまり網羅性を確かめられます。金額の合計が合えば、金額に誤りがないことをおおむね確かめられます。データが漏れたり誤ったりしていれば不一致になるので、これが正解です。
受験者受験者
件数で網羅性、金額の合計で正確性を確かめる、という組合せで両方を満たすわけですね。受渡しの両側で突き合わせるので、対象の条件にも合っています。
講師講師
よく整理できています。補足すると、合計の照合には限界もあります。たとえば明細どうしの金額が入れ替わっても合計は変わらないため、合計に影響しない誤りは検出できません。また、この問題ではエディットバリデーションチェックのように正確性だけに効くチェックが混ざっているので、網羅性にも効くかどうかで絞り込むと判断しやすくなります。

まとめ

システム間で受け渡すデータの正確性(内容が正しいこと)と網羅性(漏れがないこと)を両方確かめるには、入金額の合計や件数といったコントロールトータルを、送る側と受け取る側で突き合わせる方法が適しています。件数の照合は網羅性の確認に、金額合計の照合は正確性の確認に役立ちます。エディットバリデーションチェックは正確性には効きますが網羅性は確保できず、対象も入出金管理システムへの入力で受渡しの部分ではありません。ランツーランコントロールは売掛金管理システム内の入力と出力が対象で、タイムスタンプ機能は更新時刻を記録するだけなので、どちらも受渡しの正確性と網羅性を直接確かめるものではありません。なお、合計の照合では、明細どうしの金額の入れ替えのように合計に影響しない誤りは検出できません。

解答・解説

正解はウです

この問題のテーマ

二つのシステムの間で受け渡す入金データについて、正確性(内容が正しいこと)と網羅性(漏れがないこと)の両方を確かめられるコントロールを選ぶ問題です。

解き方の考え方

まず、何を確かめる問題かを押さえます。対象は入出金管理システムから売掛金管理システムへ渡る入金データファイルで、確かめたいのは「正確性」と「網羅性」の二つです。次に、各選択肢のコントロールがどこを対象にしているか(受渡しの部分か、片方のシステムの中か)と、二つの観点の両方に効くかを順に確認します。両方の条件を満たすのは、送る側と受け取る側で集計値を突き合わせる方法だけです。

選択肢ごとの解説

  1. ×ア  売掛金管理システムにおける入力データと出力結果とのランツーランコントロール
    ランツーランコントロールは、処理の前後で内容が合っているかを確かめる手法です。この選択肢では対象が売掛金管理システムの中の入力と出力に限られており、入出金管理システムから正しく漏れなく渡ったかどうかを直接確かめるものではありません。
  2. ×イ  売掛金管理システムのマスタファイル更新におけるタイムスタンプ機能
    マスタファイル更新のタイムスタンプ機能は、いつ更新したかを記録するものです。時刻がわかっても、データの金額が正しいかどうかや、明細が欠けていないかどうかは確かめられません。
  3. ○ウ  入金額及び入金データ件数のコントロールトータルのチェック
    入金額の合計と入金データの件数というコントロールトータルを、送る側と受け取る側で突き合わせる方法です。件数が合えば明細に漏れがないこと(網羅性)、金額の合計が合えば金額が正しいこと(正確性)を確かめられます。データが漏れたり誤ったりしていれば不一致になるので、この設問の条件を満たします。
  4. ×エ  入出金管理システムへの入力のエディットバリデーションチェック
    エディットバリデーションチェックは、入力値の範囲・形式・論理的な妥当性を確かめるものです。正確性には役立ちますが網羅性は高められず、受渡しの途中でデータが欠けても検出できません。そもそも対象が入出金管理システムへの入力で、受渡しの部分ではありません。

補足

合計の照合には限界もあります。たとえば明細どうしの金額が入れ替わっても合計は変わらないため、合計に影響しない誤りは検出できません。また、選択肢に「正確性」だけに効くチェックが混ざっていることが多いので、「網羅性」にも効くかどうかで絞り込むと判断しやすくなります。

POINT

  • コントロールトータルは、金額の合計や件数などの集計値を突き合わせてデータの誤りや漏れを見つける方法です。
  • 件数の照合は網羅性の確認に、金額合計の照合は正確性の確認に役立ちます。
  • エディットバリデーションチェックは入力値の妥当性を確かめるもので、正確性には効きますが網羅性は確保できません。
  • システム間の受渡しを問う問題では、そのコントロールが受渡しの部分を対象にしているかを確認します。

※出典:令和元年度秋期 情報セキュリティマネジメント試験 午前 問37