マナビング情報セキュリティマネジメント

エラープルーフ化とは何か、運用作業の具体例で見分ける

情報セキュリティマネジメント試験 令和元年度秋期 午前 問42 / サービスマネジメント › サービスの運用

過去問にチャレンジ

令和元年度秋期 午前 問42

ヒューマンエラーに起因する障害を発生しにくくする方法に,エラープルーフ化がある。運用作業におけるエラープルーフ化の例として,最も適切なものはどれか。

  1. ア

    画面上の複数のウィンドウを同時に使用する作業では,ウィンドウを間違えないようにウィンドウの背景色をそれぞれ異なる色にする。

  2. イ

    長時間に及ぶシステム監視作業では,疲労が蓄積しないように,2時間おきに交代で休憩を取得する体制にする。

  3. ウ

    ミスが発生しやすい作業について,過去に発生したヒヤリハット情報を共有して同じミスを起こさないようにする。

  4. エ

    臨時の作業を行う際にも落ち着いて作業ができるように,臨時の作業の教育や訓練を定期的に行う。

会話形式の解説

講師講師
今回はヒューマンエラー対策の一つ、エラープルーフ化がテーマです。注目してほしいのは、それぞれの対策が何を変えているかという点です。
受験者受験者
選択肢を読むと、休憩も情報共有も教育も、どれもミスを減らすのに役立ちそうです。一つに絞れなくて迷いました。
講師講師
そこが迷いどころです。効果があるかどうかではなく、エラープルーフ化の考え方に合っているかで判断します。エラープルーフ化とは、人に注意や努力を求めるのではなく、作業方法や仕組みのほうを見直して、ミスを起こしにくくする対策です。
受験者受験者
人を作業に合わせるのではなく、作業を人に合わせる、ということでしょうか。
講師講師
そのとおりです。対策の対象が、システム・機器・手順などの人以外の要素になります。では、2時間おきに交代で休憩を取る体制はどうでしょう。
受験者受験者
疲労を管理する対策なので、働きかけている相手は人の体調ですね。作業の仕組み自体は変わっていません。
講師講師
はい。ミスを防ぐのを人の注意力や体調に頼っているので、エラープルーフ化とは性質が異なります。ヒヤリハット情報の共有はどうですか。ヒヤリハットとは、事故には至らなかったものの、ひやりとしたりはっとしたりした出来事のことです。
受験者受験者
再発防止には効きそうですが、注意喚起で人のリスク意識を高める対策なので、これも人が対象だと思います。
講師講師
正しいです。作業環境や仕組みは何も変わっていません。臨時作業の教育や訓練も同じで、人の技能を高める対策です。訓練が十分でなければミスは起こりうるので、仕組みで防ぐ考え方とは違います。
受験者受験者
残るのはウィンドウの背景色を分ける方法ですね。でも、色を見分けるのは結局人の目なので、人に頼っている気もします。
講師講師
よいところに気づきました。確かに最後は人が見て判断します。ただ、この対策は画面という作業環境の設計を変えて、取り違えを起こしにくい環境にしています。人の注意力だけに頼らず、人以外の要素に手を入れているので、エラープルーフ化の例に当たります。
受験者受験者
人の状態や知識に働きかけるのが休憩・情報共有・教育で、作業環境そのものを変えているのが背景色の対策、という区別ですね。
講師講師
そう整理できれば十分です。補足すると、エラープルーフ化は製造現場でいう「ポカヨケ」と同じ考え方です。色などの目で見て分かる手がかりで取り違えを防ぐ方法は、エラープルーフの有力な手段になります。選択肢に迷ったら、何を変える対策なのかを確かめてください。

まとめ

エラープルーフ化は、人に注意や努力を求めるのではなく、作業方法や仕組みを見直して人的ミスを起こしにくくする対策です。対策の対象はシステム・機器・手順などの人以外の要素で、「作業を人に合わせる」という考え方が軸になります。この問題では、ウィンドウの背景色を分けて取り違えを起こしにくくする方法がエラープルーフ化の例に当たります。休憩体制、ヒヤリハット情報の共有、教育・訓練はどれも有効ですが、人の状態や知識・技能に働きかける対策なので区別されます。効果の有無ではなく、何を変える対策なのかで判断するのがポイントです。

解答・解説

正解はアです

この問題のテーマ

ヒューマンエラー対策のうち「エラープルーフ化」とは何かを理解し、運用作業の具体例から当てはまるものを選べるかを問う問題です。

解き方の考え方

最初に、エラープルーフ化の意味を確かめます。人に注意や努力を求めるのではなく、作業方法や仕組みのほうを変えてミスを起こしにくくする対策です。次に、各選択肢が変えている対象を見ます。対象が人の体調・知識・技能なのか、画面・機器・手順などの人以外のものなのかを分けます。休憩、情報共有、教育は人に働きかけるので外れます。最後に、作業環境そのものを変えている選択肢を選びます。

選択肢ごとの解説

  1. ○ア  画面上の複数のウィンドウを同時に使用する作業では,ウィンドウを間違えないようにウィンドウの背景色をそれぞれ異なる色にする。
    ウィンドウの背景色を変える対策です。画面という作業環境を変え、操作対象を見分けやすくしています。そのため、人の注意力に頼らず、取り違えを仕組みの側で起きにくくできます。人以外のものに手を入れているので、エラープルーフ化の例に当たり、適切です。
  2. ×イ  長時間に及ぶシステム監視作業では,疲労が蓄積しないように,2時間おきに交代で休憩を取得する体制にする。
    2時間おきに交代で休憩を取る体制です。疲労を管理して、ミスを防ごうとしています。しかし、これは人の体調に頼る対策で、作業の仕組みでミスを防ぐものではありません。したがって、エラープルーフ化の例ではなく、不適切です。
  3. ×ウ  ミスが発生しやすい作業について,過去に発生したヒヤリハット情報を共有して同じミスを起こさないようにする。
    ヒヤリハット情報を共有する対策です。注意喚起と学習によって、再発を防ごうとしています。これは人のリスク意識を高めるもので、作業環境や仕組みは変わりません。再発防止には有効ですが、エラープルーフ化の例ではないため、不適切です。
  4. ×エ  臨時の作業を行う際にも落ち着いて作業ができるように,臨時の作業の教育や訓練を定期的に行う。
    臨時作業の教育や訓練を定期的に行う対策です。人の技能を高めることでミスを減らそうとしています。しかし、訓練が不十分ならミスは起こりえて、仕組みで防ぐ考え方とは異なります。したがって、エラープルーフ化の例ではなく、不適切です。

補足

エラープルーフ化は、製造現場で使われる「ポカヨケ」と同じ考え方です。どの選択肢もミスを減らすのに役立ちそうに見えますが、効果の有無ではなく、何を変える対策なのかで判断します。色や形のように目で見て分かる手がかりで取り違えを防ぐ方法は、エラープルーフ化の代表的な手段です。

POINT

  • エラープルーフ化は、人的ミスが起きにくくなるように作業方法や仕組みを見直す対策です。
  • 対策の対象は人ではなく、システム・機器・手順などの人以外の要素です。
  • 「人を作業に合わせる」のではなく「作業を人に合わせる」という考え方が軸になります。
  • 休憩、教育・訓練、情報共有は人の管理や教育に属する対策で、エラープルーフ化とは区別されます。

※出典:令和元年度秋期 情報セキュリティマネジメント試験 午前 問42