RASISの各観点と指標の正しい組合せを整理する
情報セキュリティマネジメント試験 令和7年度 問10 / システム構成要素 › システムの評価指標
過去問にチャレンジ
システムの信頼性指標であるRASISの,安全性を除く四つに関する記述のうち,適切なものはどれか。
- ア
Rの信頼性は,システムのMTBFによって表す。
- イ
Aの可用性は,システムが稼働している時間の平均値によって表す。
- ウ
Sの保守性は,システムの稼働率によって表す。
- エ
Iの完全性は,システムの故障率によって表す。
会話形式の解説
講師今回はRASISの問題です。RASISは、システムを評価する五つの観点の頭文字をとった略語です。そのうち安全性を除く四つについて、どの指標で評価するかを正しく対応させられるかがポイントです。
受験者RASISという言葉は覚えているのですが、指標との対応になると自信がありません。まず頭文字から確認したいです。
講師よい進め方です。RはReliabilityで信頼性、AはAvailabilityで可用性、SはServiceabilityで保守性、IはIntegrityで完全性です。最後のSが安全性です。
受験者信頼性は故障しにくさのことですよね。それならMTBF、つまり故障と故障の間隔の平均で表すという選択肢は合っていそうです。
講師その通りです。信頼性は故障せずに動き続けられる性質なので、MTBFで評価します。MTBFが長いほど信頼性が高いと評価されます。これが正解です。
受験者可用性を稼働時間の平均値で表すという選択肢は、なんとなく合っていそうに見えて迷いました。
講師迷いやすいところです。可用性は、必要なときにシステムを使える度合いのことです。評価には稼働率を使い、式はMTBF÷(MTBF+MTTR)です。MTTRは故障から復旧までにかかる時間の平均です。稼働している時間の平均だけでは、止まっている時間が考慮されないので可用性を表せません。
受験者では、保守性を稼働率で表すという選択肢は、稼働率が可用性の指標なので誤りということですね。保守性は何で表すのですか。
講師保守性は障害から復旧させやすい性質のことなので、MTTRで評価します。MTTRが短いほど保守性が高いと評価されます。
受験者完全性を故障率で表すという選択肢も、故障率は故障のしやすさなので、信頼性の側の話に思えます。
講師そう考えて大丈夫です。完全性は、データが正確で整合性が保たれ、不正に改変されていないことに関する性質です。故障率は信頼性の評価にかかわる指標なので、完全性は表せません。
受験者整理すると、信頼性はMTBF、保守性はMTTR、可用性はその二つから計算する稼働率、完全性はデータの正確さや整合性の話、ということですね。
講師その理解で十分です。よくある引っかけは、今回のように指標と観点の組合せを入れ替える出題です。稼働率の式にはMTBFとMTTRの両方が入っているので、信頼性と保守性を合わせた結果として可用性が決まる、と覚えておくと入れ替えに惑わされにくくなります。
まとめ
RASISは信頼性・可用性・保守性・完全性・安全性の五つの観点の頭文字をとった略語です。信頼性はMTBFで評価し、MTBFが長いほど故障しにくいシステムといえます。保守性はMTTRで評価し、可用性はMTBF÷(MTBF+MTTR)で求める稼働率で評価します。完全性はデータの正確さや整合性、不正な改変がないことに関する性質なので、故障率では表せません。指標と観点を入れ替えた選択肢がよく出るので、稼働率の式を手がかりに対応関係を整理しておくことが大切です。
解答・解説
正解はアです
この問題のテーマ
RASISのうち安全性を除く信頼性・可用性・保守性・完全性の四つについて、それぞれの意味と、評価に使う指標を正しく対応付けられるかを問う問題です。
解き方の考え方
まず、R・A・S・Iがそれぞれ何の頭文字か(Reliability、Availability、Serviceability、Integrity)を思い出します。次に、時間に関する代表的な指標を対応させます。信頼性にはMTBF(平均故障間隔)、保守性にはMTTR(故障から復旧までの時間の平均)、可用性にはこの二つから計算する稼働率を使います。完全性はデータの正確さや整合性、不正な改変がないことに関する性質で、故障率では評価できません。この対応表と各選択肢を照らし合わせると、正しい組合せはアだけだと分かります。
選択肢ごとの解説
- ○ア Rの信頼性は,システムのMTBFによって表す。信頼性をMTBFで表すという記述は正しいです。信頼性は故障せずに動き続けられる性質で、評価には故障と故障の間隔の平均であるMTBFを使います。一般に、MTBFが長いほど信頼性は高いと評価されます。
- ×イ Aの可用性は,システムが稼働している時間の平均値によって表す。可用性を稼働時間の平均値で表すという記述は誤りです。可用性は、必要なときにシステムを使える度合いのことです。評価には稼働率(MTBF÷(MTBF+MTTR))を使い、平均稼働時間だけでは可用性を表せません。
- ×ウ Sの保守性は,システムの稼働率によって表す。保守性を稼働率で表すという記述は誤りです。稼働率は可用性に対応する指標です。保守性は障害から復旧させやすい性質のことで、評価にはMTTRを使います。MTTRが短いほど保守性は高いと評価されます。
- ×エ Iの完全性は,システムの故障率によって表す。完全性を故障率で表すという記述は誤りです。完全性は、データが正確で整合性が保たれ、不正に改変されていないことに関する性質です。故障率は信頼性の評価にかかわる指標なので、完全性は表せません。
補足
よくある引っかけは、指標と観点の組合せを入れ替える出題です。本問のウのように稼働率を保守性に結び付けたり、エのように故障率を信頼性以外の観点に結び付けたりする選択肢がよく出ます。稼働率の式にはMTBFとMTTRの両方が含まれるので、信頼性と保守性を合わせた結果として可用性が決まる、と整理しておくと覚えやすくなります。
POINT
- RASISは、システムを評価する五つの観点(信頼性、可用性、保守性、完全性、安全性)の頭文字をとった略語です。
- 信頼性(Reliability)はMTBFで評価し、MTBFが長いほど故障しにくいシステムといえます。
- 保守性(Serviceability)はMTTRで評価し、MTTRが短いほど復旧しやすいシステムといえます。
- 可用性(Availability)は稼働率で評価し、代表的な式はMTBF÷(MTBF+MTTR)です。
- 完全性(Integrity)はデータの正確さ・整合性・不正な改変がないことに関する性質で、故障率では表せません。
