マナビング情報セキュリティマネジメント

DNSキャッシュ汚染で誘導される利用者を二条件で絞る

情報セキュリティマネジメント試験 2022年 サンプル問題 問17 / セキュリティ › 情報セキュリティ

過去問にチャレンジ

2022年 サンプル問題 問17

攻撃者が用意したサーバX のIP アドレスが,A 社Web サーバのFQDN に対応するIPアドレスとして,B 社DNS キャッシュサーバに記憶された。これによって,意図せずサーバX に誘導されてしまう利用者はどれか。ここで,A 社,B 社の各従業員は自社のDNS キャッシュサーバを利用して名前解決を行う。

  1. ア

    A 社Web サーバにアクセスしようとするA 社従業員

  2. イ

    A社WebサーバにアクセスしようとするB社従業員

  3. ウ

    B社WebサーバにアクセスしようとするA社従業員

  4. エ

    B社WebサーバにアクセスしようとするB社従業員

会話形式の解説

講師講師
今回は、DNSキャッシュサーバに偽の情報が記憶されたとき、誰が攻撃者のサーバに誘導されるかを考える問題です。注目してほしいのは、偽の情報がどこのキャッシュサーバに入ったか、そして何の名前についての情報か、の二点です。
受験者受験者
偽装されたのはA社WebサーバのFQDNですよね。A社の名前なので、A社の従業員が一番危ないと思ったのですが、違いますか。
講師講師
そこがよくある引っかけです。まず用語を確認しましょう。DNSキャッシュサーバは、問い合わせた名前とIPアドレスの対応を一時的に覚えておき、利用者に答えるサーバです。ここに偽の対応を覚えさせて利用者を攻撃者のサーバへ誘導する攻撃を、DNSキャッシュポイズニングと呼びます。では、今回偽の情報が記憶されたのはどちらの会社のキャッシュサーバでしょうか。
受験者受験者
B社のDNSキャッシュサーバです。各従業員は自社のキャッシュサーバを使うという条件があるので、A社の従業員はB社のサーバに問い合わせないということですね。
講師講師
そのとおりです。A社の従業員はA社のキャッシュサーバを使うので、A社Webサーバにアクセスしようとしても、汚染されていないA社のサーバから正しいIPアドレスが返ります。ですから、A社Webサーバにアクセスする A社従業員は誘導されません。
受験者受験者
B社Webサーバにアクセスする A社従業員も、使うのはA社のキャッシュサーバなので影響はないですね。
講師講師
はい。しかもB社Webサーバの名前は、もともと汚染の対象ではありません。二つの条件のどちらにも当てはまらないので、誘導されません。ここまでで、影響を受けうるのはB社従業員だけだと分かりました。次に二つ目の条件、どの名前が汚染されたかを見ます。
受験者受験者
汚染されたのはA社WebサーバのFQDNの情報です。B社従業員がB社Webサーバにアクセスする場合は、汚染されたキャッシュサーバを使っていても、名前が違うので正しい先につながる、ということでしょうか。
講師講師
そうです。キャッシュサーバが汚染されていても、偽の情報が記憶されているのはA社WebサーバのFQDNだけです。B社Webサーバの名前解決には影響がありません。
受験者受験者
すると、両方の条件に当てはまるのは、A社Webサーバにアクセスしようとする B社従業員ですね。B社のキャッシュサーバに問い合わせて、サーバXのIPアドレスを受け取ってしまうからです。
講師講師
正解です。被害が出るのは、汚染されたキャッシュサーバを使う利用者が、汚染された名前を問い合わせたときだけです。偽装された名前の持ち主ではなく、偽の情報を記憶したキャッシュサーバの利用者が被害を受ける、と覚えておくと迷いません。なお、対策としては、DNSの応答が正当かどうかを電子署名で検証するDNSSECがよく知られています。

まとめ

DNSキャッシュポイズニングは、DNSキャッシュサーバに偽の名前解決情報を記憶させ、利用者を攻撃者のサーバへ誘導する攻撃です。被害を受けるのは、汚染されたキャッシュサーバを使う利用者が、汚染された名前(FQDN)を問い合わせたときに限られます。この問題では、B社のキャッシュサーバにA社WebサーバのFQDNの偽情報が記憶されたため、A社Webサーバにアクセスしようとする B社従業員が誘導されます。A社の名前が偽装されたからといって、A社の従業員が被害を受けるわけではない点が引っかけです。

解答・解説

正解はイです

この問題のテーマ

DNSキャッシュサーバに偽の名前解決情報が記憶された(DNSキャッシュポイズニング)とき、どの利用者がどの名前をたずねた場合に被害を受けるのかを問う問題です。

解き方の考え方

二つの条件を順に絞り込みます。一つ目は「どのDNSキャッシュサーバが汚染されたか」で、問題文によるとB社のサーバです。各従業員は自社のキャッシュサーバを使うので、影響を受けるのはB社従業員だけです。二つ目は「どの名前の情報が汚染されたか」で、A社WebサーバのFQDNです。両方に当てはまるのは、A社Webサーバにアクセスしようとする場合のB社従業員です。

選択肢ごとの解説

  1. ×ア  A 社Web サーバにアクセスしようとするA 社従業員
    A社WebサーバにアクセスするA社従業員は、名前解決にA社のDNSキャッシュサーバを使います。汚染されたのはB社のキャッシュサーバなので、A社のサーバからは正しいIPアドレスが返り、サーバXには誘導されません。
  2. ○イ  A社WebサーバにアクセスしようとするB社従業員
    B社従業員はB社のDNSキャッシュサーバで名前解決をします。このサーバには、A社WebサーバのFQDNに対応するIPアドレスとしてサーバXのアドレスが記憶されています。そのため、A社Webサーバにアクセスしようとすると偽のIPアドレスを受け取り、意図せずサーバXへ誘導されます。
  3. ×ウ  B社WebサーバにアクセスしようとするA社従業員
    B社WebサーバにアクセスするA社従業員が使うのは、汚染されていないA社のDNSキャッシュサーバです。しかも、B社Webサーバの名前はもともと汚染の対象ではありません。どちらの条件にも当てはまらないので、誘導されません。
  4. ×エ  B社WebサーバにアクセスしようとするB社従業員
    B社従業員は汚染されたB社のキャッシュサーバを使いますが、汚染されているのはA社WebサーバのFQDNの情報だけです。B社Webサーバの名前解決には影響がないため、正しいアクセス先につながります。

補足

よくある引っかけは、A社Webサーバの情報が偽装されたことから「A社の従業員が被害を受ける」と考えてしまうことです。偽の情報はA社の名前についてのものですが、記憶されているのはB社のキャッシュサーバです。そのため、A社の従業員は影響を受けません。対策としては、DNS応答の正当性を電子署名で検証するDNSSECがよく知られています。

POINT

  • DNSキャッシュポイズニングは、DNSキャッシュサーバに偽の名前解決情報を記憶させ、利用者を攻撃者のサーバへ誘導する攻撃です。
  • 被害を受けるのは、汚染されたキャッシュサーバを使う利用者だけです。
  • 被害が出るのは、汚染された名前(FQDN)を問い合わせたときだけです。
  • 「どのサーバが汚染されたか」と「どの名前が汚染されたか」の二つの条件で絞り込むと、確実に解けます。

※出典:2022年 サンプル問題 情報セキュリティマネジメント試験 科目A 問17