マナビング情報セキュリティマネジメント

ランダムサブドメイン攻撃の被害はどのDNSサーバに出るか

情報セキュリティマネジメント試験 2022年 サンプル問題 問18 / セキュリティ › 情報セキュリティ

過去問にチャレンジ

2022年 サンプル問題 問18

攻撃者が,多数のオープンリゾルバに対して,“あるドメイン”の実在しないランダムなサブドメインを多数問い合わせる攻撃(ランダムサブドメイン攻撃)を仕掛け,多数のオープンリゾルバが応答した。このときに発生する事象はどれか。

  1. ア

    “あるドメイン”を管理する権威DNS サーバに対して負荷が掛かる。

  2. イ

    “あるドメイン”を管理する権威DNS サーバに登録されているDNS 情報が改ざんされる。

  3. ウ

    オープンリゾルバが保持するDNSキャッシュに不正な値を注入される。

  4. エ

    オープンリゾルバが保持するゾーン情報を不正に入手される。

会話形式の解説

講師講師
今回はランダムサブドメイン攻撃がテーマです。注目してほしいのは「実在しないランダムなサブドメイン」という部分です。毎回違う名前を問い合わせると、DNSの仕組みの中で何が起きるかを考えてみましょう。
受験者受験者
DNSの攻撃というと、キャッシュに偽の情報を入れるものを思い浮かべます。オープンリゾルバに問い合わせているので、オープンリゾルバのキャッシュが狙われる攻撃でしょうか。
講師講師
そこが引っかけやすいところです。まず用語を確認します。オープンリゾルバは、誰からの問い合わせにも答えてしまうDNSサーバのことです。権威DNSサーバは、あるドメインの正式な情報を管理しているサーバです。
受験者受験者
リゾルバは、一度調べた結果をキャッシュに覚えておいて、次からはそれで答えるのですよね。
講師講師
そのとおりです。ところが問い合わせる名前が毎回ランダムで違うと、キャッシュに答えがありません。そのためオープンリゾルバは、そのドメインを管理する権威DNSサーバへ毎回問い合わせることになります。
受験者受験者
多数のオープンリゾルバがそれをすると、問い合わせが権威DNSサーバに集中するわけですね。だから権威DNSサーバに負荷が掛かるという選択肢が正解だと分かりました。
講師講師
はい。多数のリゾルバを踏み台にして大量の問い合わせを集めるので、DDoS攻撃の一種といえます。被害を受けるのは標的ドメインの権威DNSサーバで、過負荷やサービス停止のおそれがあります。
受験者受験者
権威DNSサーバのDNS情報が改ざんされるという選択肢はどうでしょう。負荷が掛かった結果、情報が書き換わることはないのですか。
講師講師
この攻撃自体は、登録情報を書き換えるものではありません。問い合わせが増えても、それが改ざんに直結するわけではないので誤りです。
受験者受験者
最初に私が考えた、キャッシュに不正な値を注入されるというのは別の攻撃ということですね。
講師講師
そうです。それはキャッシュポイズニングと呼ばれる攻撃です。ランダムサブドメイン攻撃は、むしろキャッシュが効かない問い合わせを送ることで負荷を生む攻撃なので、方向が逆と考えると覚えやすいです。
受験者受験者
残りの、ゾーン情報を不正に入手されるという選択肢も、存在しない名前を問い合わせるだけでは情報を取り出せないので誤りでしょうか。
講師講師
その理解で大丈夫です。この攻撃はゾーン情報を取り出すことが目的ではありません。ゾーン情報の不正な入手は、ゾーン転送の設定不備などで問題になる別の論点です。
受験者受験者
整理すると、名前が毎回違うのでキャッシュが使えず、権威DNSサーバに問い合わせが集中して負荷が掛かる攻撃、ということですね。
講師講師
よくまとまっています。DNSを悪用した攻撃は名前が似ているので、どのサーバがどんな被害を受けるかで区別しましょう。キャッシュに偽の情報を覚えさせるのがキャッシュポイズニング、小さな問い合わせで大きな応答を第三者に送りつけるのがDNSリフレクション、別名DNSアンプ攻撃です。負荷、改ざん、情報漏えいのどれなのかを意識すると見分けやすくなります。

まとめ

ランダムサブドメイン攻撃は、実在しないランダムなサブドメインを多数のオープンリゾルバに大量に問い合わせさせる攻撃です。名前が毎回違うためキャッシュが使えず、問い合わせは標的ドメインを管理する権威DNSサーバへ送られ続けます。その結果、権威DNSサーバが過負荷になり、DDoS攻撃の一種となります。キャッシュへの不正な値の注入はキャッシュポイズニング、ゾーン情報の不正入手はゾーン転送の設定不備などの別の論点です。どのサーバがどんな被害を受けるかで区別すると見分けやすくなります。

解答・解説

正解はアです

この問題のテーマ

ランダムサブドメイン攻撃の仕組みを理解し、その結果どのDNSサーバにどんな影響が出るかを問う問題です。

解き方の考え方

まず、「実在しないランダムなサブドメイン」を問い合わせると何が起きるかを考えます。問い合わせる名前が毎回違うので、オープンリゾルバはキャッシュを使って答えられず、そのドメインを管理する権威DNSサーバへ毎回問い合わせを転送します。このため、多数のリゾルバから届く問い合わせが権威DNSサーバに集中します。改ざん、キャッシュへの注入、情報の窃取といった選択肢は別の攻撃の説明なので、そこを見分ければ正解にたどり着けます。

選択肢ごとの解説

  1. ○ア  “あるドメイン”を管理する権威DNS サーバに対して負荷が掛かる。
    権威DNSサーバに負荷が掛かるという説明は正しいです。ランダムなサブドメインは毎回名前が違うため、オープンリゾルバはキャッシュで答えられず、権威DNSサーバへ問い合わせ続けます。多数のリゾルバを踏み台にした大量の問い合わせが集中し、権威DNSサーバが過負荷になります。これはDDoS攻撃の一種です。
  2. ×イ  “あるドメイン”を管理する権威DNS サーバに登録されているDNS 情報が改ざんされる。
    権威DNSサーバのDNS情報が改ざんされるという説明は誤りです。この攻撃は問い合わせを大量に送るだけで、権威DNSサーバに登録された情報を書き換える仕組みはありません。問い合わせが増えても、登録情報の改ざんにはつながりません。
  3. ×ウ  オープンリゾルバが保持するDNSキャッシュに不正な値を注入される。
    キャッシュに不正な値を注入されるという説明は誤りです。これはキャッシュポイズニングと呼ばれる別の攻撃です。ランダムサブドメイン攻撃は、むしろキャッシュが効かない問い合わせを送ることで負荷を生む攻撃です。
  4. ×エ  オープンリゾルバが保持するゾーン情報を不正に入手される。
    ゾーン情報を不正に入手されるという説明は誤りです。この攻撃の動きは、存在しない名前を大量に問い合わせることにあり、ゾーン情報を取り出すことを目的としていません。ゾーン情報の不正な入手は、ゾーン転送の設定不備などで問題になる別の論点です。

補足

DNSを悪用した攻撃は、名前が似ていて混同しやすいので注意が必要です。キャッシュに偽の情報を覚えさせるのは「キャッシュポイズニング」、小さな問い合わせで大きな応答を第三者に送りつけるのは「DNSリフレクション(DNSアンプ)攻撃」です。どのサーバが、どのような被害(負荷、改ざん、情報漏えい)を受けるかで区別すると見分けやすくなります。

POINT

  • ランダムサブドメイン攻撃では、実在しないサブドメインを大量に問い合わせます。
  • 問い合わせる名前が毎回違うためキャッシュが使えず、問い合わせが権威DNSサーバへ送られ続けます。
  • 被害を受けるのは、標的ドメインを管理する権威DNSサーバで、過負荷やサービス停止のおそれがあります。
  • オープンリゾルバやホームルータが踏み台に使われるDDoS攻撃の一種です。

※出典:2022年 サンプル問題 情報セキュリティマネジメント試験 科目A 問18