IDカードの入退室管理で記録の順序が合わない通行を拒む仕組み
情報セキュリティマネジメント試験 平成31年度春期 午前 問13 / セキュリティ › 情報セキュリティ対策
過去問にチャレンジ
入室時と退室時にIDカードを用いて認証を行い,入退室を管理する。このとき,入室時の認証に用いられなかったIDカードでの退室を許可しない,又は退室時の認証に用いられなかったIDカードでの再入室を許可しないコントロールを行う仕組みはどれか。
- ア
TPMOR(Two Person Minimum Occupancy Rule)
- イ
アンチパスバック
- ウ
インターロックゲート
- エ
パニックオープン
会話形式の解説
講師今回は入退室管理の用語を区別する問題です。問題文には条件が2つあります。入室時に認証されていないカードでは退室できないことと、退室時に認証されていないカードでは再入室できないことです。この2つに共通する点に注目してください。
受験者どちらも、そのカードが前に何をしたかを見ているように読めます。ただ、選択肢はどれも物理セキュリティの用語なので、私は区別があいまいです。
講師その読み方で合っています。カードごとに入室と退室の記録を順番どおりにたどって、順序が合わない通行を拒否する制御です。選択肢を見るときは、人数を制御するのか、扉の開閉を制御するのか、非常時の扉の扱いなのか、カードの履歴を使うのか、という観点で分けると絞り込めます。
受験者TPMORは名前に「Two Person」とあるので、2人で認証する仕組みでしょうか。
講師人数に関する規則という点はそのとおりです。最初に入室する人と最後に退室する人を2人同時に限ることで、区画の中に常に2人以上いる状態を保ちます。カードごとの入退室の順序を管理するものではないので、この問題には当てはまりません。
受験者インターロックゲートは、通る人をきちんと管理するという意味で近い気がしました。
講師紛らわしいところですね。インターロックゲートは扉を二重にして、一人ずつしか通れないようにする装置です。物理的に通行を制限するもので、カードの入退室履歴を照合して許可したり拒否したりする仕組みではありません。
受験者パニックオープンは名前から考えると、緊急時に関係するものですか。
講師はい。火災や停電などの非常時に扉を解錠して、避難経路を確保する仕組みです。通常時の入退室の順序を制御するものではありません。残ったアンチパスバックが、カードごとに入退室記録の順序を管理し、入室記録のないカードでの退室と、退室記録のないカードでの再入室を拒否する仕組みです。問題文の説明とそのまま合致します。
受験者つまり、カードの履歴と矛盾する通行を止めるのがアンチパスバックで、扉の構造で一人ずつ通すのがインターロックゲートということですね。
講師そのとおりです。補足すると、アンチパスバックは共連れ対策として知られています。共連れとは、認証した人の後ろについて一緒に入ることです。共連れで入った人は入室記録が残らないので、アンチパスバックの下では正規の手順で退室できなくなります。
受験者共連れを物理的に防ぐのがインターロックゲートで、記録の矛盾から検知して抑止するのがアンチパスバック、と分けて覚えます。
まとめ
IDカードで入退室を管理するとき、入室記録のないカードでの退室や、退室記録のないカードでの再入室を拒否する仕組みをアンチパスバックといいます。TPMORは区画内を常に2人以上に保つための人数の規則、インターロックゲートは二重扉で一人ずつ通す装置、パニックオープンは非常時に扉を解錠して避難経路を確保する仕組みです。アンチパスバックの下では、共連れで入室した人には入室記録がないため、正規の手順で退室できません。共連れを物理的に防ぐのがインターロックゲート、記録の矛盾から検知・抑止するのがアンチパスバックと整理しておくと、取り違えを防げます。
解答・解説
正解はイです
この問題のテーマ
IDカードで入退室を管理するとき、入室と退室の順序が合わない通行を拒否する仕組みを選ぶ問題です。
解き方の考え方
最初に、問題文の2つの条件を確かめます。「入室の認証がないカードでは退室できない」と「退室の認証がないカードでは再入室できない」です。次に、どちらもカードごとの入退室の記録を順番にたどる制御だと読み取ります。そのうえで、各選択肢が人数、扉の構造、非常時の扉の扱い、カードの履歴のどれに関わるかを照らします。したがって、カードの履歴を使う仕組みが答えになります。
選択肢ごとの解説
- ×ア TPMOR(Two Person Minimum Occupancy Rule)TPMORは、区画内に常に2人以上がいる状態を保つ人数の規則です。最初に入室する人と最後に退室する人を2人同時に限ることで実現します。人数の規則であり、カードごとに入退室の順序を管理する仕組みではないため、誤りです。
- ○イ アンチパスバックアンチパスバックは、入退室の記録の順序をカードごとに管理する仕組みです。入室記録のないカードでの退室と、退室記録のないカードでの再入室を拒否するので、問題文の説明とそのまま合致します。
- ×ウ インターロックゲートインターロックゲートは扉を二重にして、一人ずつしか通れないようにする装置です。物理的に通行を制限するものであり、カードの入退室履歴を照合して通行を許可したり拒否したりする仕組みではありません。
- ×エ パニックオープンパニックオープンは、火災や停電などの非常時に扉を解錠して避難経路を確保する仕組みです。通常時の入退室の順序を制御するものではないため、問題文の説明には当てはまりません。
補足
共連れ(他人の入室に続いて入ること)を「物理的に防ぐ」のはインターロックゲート、記録の矛盾から「検知・抑止する」のはアンチパスバックと整理すると、取り違えを防げます。なお、この問題と同じ内容は情報処理安全確保支援士試験(平成29年秋期 午前Ⅱ 問15)にも出題されています。
POINT
- アンチパスバックは、カードごとの入退室記録の順序をもとに、記録と矛盾する通行を拒否する仕組みです。
- 共連れで入室した人は入室記録が残らないため、アンチパスバックの下では正規の手順で退室できなくなります。
- TPMORは区画内を常に2人以上に保つための人数の規則です。
- インターロックゲートは二重扉で一人ずつ通す装置で、パニックオープンは非常時に扉を解錠する仕組みです。
