RFP提示後のベンダ選定を公正に進めるための事前準備
情報セキュリティマネジメント試験 平成31年度春期 午前 問49 / システム企画 › 調達計画・実施
過去問にチャレンジ
RFIに回答した各ベンダーに対してRFPを提示した。今後のベンダー選定に当たって,公正に手続を進めるためにあらかじめ実施しておくことはどれか。
- ア
RFIの回答内容の評価が高いベンダーに対して,選定から外れたときに備えて,再提案できる救済措置を講じておく。
- イ
現行のシステムを熟知したベンダーに対して,RFPの要求事項とは別に,そのベンダーを選定しやすいように評価を高くしておく。
- ウ
提案の評価基準や要求事項の適合度への重み付けをするルールを設けるなど、選定の基準や手順を確立しておく。
- エ
ベンダ選定から契約締結までの期間を短縮するために、RFPを提示した全ベンダに内示書を発行して、契約書や作業範囲記述書の作成を依頼しておく。
会話形式の解説
講師今回はシステム調達の問題です。RFPを出した後、公正にベンダを選ぶために、あらかじめ何をしておくかを選びます。キーワードは「公正に」と「あらかじめ」の二つです。
受験者RFIとRFPがいつも混ざってしまいます。どちらも情報をもらうための文書ですよね。
講師RFIは、提案を依頼する前に情報を集める段階の文書です。RFPは提案依頼書のことで、候補のベンダに具体的な提案を求めます。今回の問題は、RFPを出して提案を待っている段階の話です。
受験者そうすると、公正な選定とは、どのベンダも同じ尺度で比べるということでしょうか。
講師その通りです。特定のベンダを有利にも不利にも扱わないことです。その観点で、RFIの評価が高かったベンダに再提案の救済措置を用意しておく案はどうでしょう。
受験者一部のベンダにだけ二度目のチャンスがあるので、ほかのベンダから見ると不公平ですね。
講師はい。現行システムに詳しいベンダの評価を、要求事項とは別に高くしておく案も同じで、恣意的な優遇です。現行システムの知識を評価したいなら、要求事項や評価基準として明示して、全ベンダに同じように当てはめる必要があります。
受験者全ベンダに内示書を出して、契約書や作業範囲記述書の作成を頼んでおく案は、全員を同じに扱っているので公正にも見えます。
講師確かに全員を同じに扱ってはいますが、この案の目的は期間の短縮で、公正な選定には役立ちません。内示書は発注の内定を伝える文書なので、選定前に全社へ出すと選定が済んだかのような誤解を招きます。各ベンダに余計な負担もかかります。
受験者そうすると残るのは、評価基準や要求事項への適合度の重み付けのルールを決めて、選定の基準と手順を確立しておく案ですね。基準を先に決めておけば、後から都合よく変えられないということでしょうか。
講師そうです。全提案を共通の尺度で比べられ、選定理由も説明しやすくなります。補足すると、評価基準や重み付けはRFPに明記しておくと、ベンダ側も何が評価されるかを理解したうえで提案できます。この問題では、もっともらしい理由で特定ベンダを優遇する案が二つありました。理由が自然に見えても、特定ベンダだけを有利にしていないかを確かめましょう。
まとめ
RFP提示後のベンダ選定を公正に進めるには、提案の評価基準や要求事項への適合度の重み付けなど、選定の基準と手順を前もって確立しておくことが必要です。基準を先に決めておけば、すべての提案を共通の尺度で比べられ、後から評価を都合よく変えることも防げます。RFIの評価が高かったベンダへの救済措置や、現行システムに詳しいベンダへの加点は、特定ベンダの優遇にあたり公正とはいえません。選定前に全ベンダへ内示書を出すことも、公正さにはつながらず誤解や負担を招きます。
解答・解説
正解はウです
この問題のテーマ
ベンダ(発注先の業者)にRFP(提案依頼書)を出した後、公正に選ぶために、発注する側が前もって何を決めておくべきかを選ぶ問題です。
解き方の考え方
最初に、問題文の「公正に」と「あらかじめ」に印を付けます。公正とは、すべての提案を同じ尺度で比べ、特定のベンダを有利にも不利にもしないことです。次に、各選択肢に特定ベンダへの優遇や、選定前の先走りが入っていないかを確かめます。最後に、選定の前に決めておくことが公正さにつながるものを選びます。すると、評価のルールを先に決める選択肢だけが残ります。
選択肢ごとの解説
- ×ア RFIの回答内容の評価が高いベンダーに対して,選定から外れたときに備えて,再提案できる救済措置を講じておく。RFIの回答評価が高いベンダにだけ、再提案の救済措置を用意する案です。一部のベンダだけに二度目の機会を与えることになります。そのため公正な扱いとはいえず、誤りです。
- ×イ 現行のシステムを熟知したベンダーに対して,RFPの要求事項とは別に,そのベンダーを選定しやすいように評価を高くしておく。現行システムに詳しいベンダの評価を、要求事項と無関係に上げておく案です。特定のベンダを恣意的(気分や都合しだい)に優遇するので、公正な競争を損ないます。現行システムの知識を評価したいなら、要求事項や評価基準として明示し、全ベンダに同じように当てはめる必要があります。したがって誤りです。
- ○ウ 提案の評価基準や要求事項の適合度への重み付けをするルールを設けるなど、選定の基準や手順を確立しておく。評価基準や適合度の重み付けのルールなど、選定の基準と手順を前もって確立する案です。基準が先に決まっていれば、すべての提案を共通の尺度で比べられます。後から評価を都合よく変えることも防げます。したがって、公正さが保たれるので正しいです。
- ×エ ベンダ選定から契約締結までの期間を短縮するために、RFPを提示した全ベンダに内示書を発行して、契約書や作業範囲記述書の作成を依頼しておく。期間短縮のため、RFPを出した全ベンダに内示書を出し、契約書や作業範囲記述書の作成を頼んでおく案です。まだ選定していない段階なので、全社への内示は公正な選定の役に立ちません。さらに、選定が済んだかのような誤解を招き、各ベンダに余計な負担をかけます。したがって誤りです。
補足
「現行システムをよく知っている」「RFIの評価が高かった」という理由は、一見もっともに見えます。しかし、そうした理由で特定ベンダを優遇する案は、公正な選定になりません。評価基準や重み付けはRFPに明記しておくと、ベンダも何が評価されるかを理解して提案できます。
POINT
- RFIは提案を依頼する前の情報収集で、RFPは候補ベンダに具体的な提案を求める文書です。
- 公正なベンダ選定には、評価基準や重み付けを含む選定の基準と手順を前もって確立しておくことが欠かせません。
- 評価のルールを先に決めておくと、すべての提案を共通の尺度で比べられ、選定理由の説明もしやすくなります。
- 特定のベンダだけに救済措置や評価の加点を与える扱いは、公正な選定とはいえません。
