プロジェクトライフサイクルでリスクや変更の影響はどう推移するか
情報セキュリティマネジメント試験 令和元年度秋期 午前 問43 / プロジェクトマネジメント › プロジェクトマネジメント
過去問にチャレンジ
プロジェクトライフサイクルの一般的な特性はどれか。
- ア
開発要員数は,プロジェクト開始時が最多であり,プロジェクトが進むにつれて減少し,完了に近づくと再度増加する。
- イ
ステークホルダがコストを変えずにプロジェクトの成果物に対して及ぼすことができる影響の度合いは,プロジェクト完了直前が最も大きくなる。
- ウ
プロジェクトが完了に近づくほど,変更やエラーの修正がプロジェクトに影響する度合いは小さくなる。
- エ
リスクは,プロジェクトが完了に近づくにつれて減少する。
会話形式の解説
講師今回は、プロジェクトの開始から完了までに、いくつかの特性がどう変わるかを問う問題です。要員数、ステークホルダ(利害関係者)の影響力、変更の影響、リスクの4つについて、正しい説明を1つ選びます。
受験者4つともそれらしく見えて迷いました。どれも「終盤になると〇〇」という形なので、どこから考えればいいのか分かりません。
講師基本になる考え方は「プロジェクトは進むほど中身が確定し、不確実性、つまり先が読めない部分が減っていく」ということです。これを軸にすると、4つとも説明できます。
受験者不確実性が減るなら、リスクも減りそうです。リスクが完了に近づくにつれて減るという選択肢が当てはまりますか。
講師そのとおりです。設計・実装・検証と進むうちに、不確実だった点が一つずつ解消されます。そのため、リスクは開始時が最も高く、その後は下がっていきます。これが正解です。
受験者それなら、変更やエラー修正の影響も終盤ほど小さくなる、という選択肢も正しそうに思えます。中身が確定していて落ち着いているからです。
講師そこが紛らわしいところです。実際は逆で、完了に近いほど影響は大きくなります。成果物が固まっているので、終盤に変更すると手戻りや再確認が増え、ほかの工程にも影響が広がっていくからです。
受験者中身が確定しているからリスクは下がるけれど、確定しているからこそ変えにくい、ということですね。
講師はい。同じ理由から、ステークホルダ、つまり利害関係者がコストを変えずに成果物へ与えられる影響も、初期が最も大きく、だんだん小さくなります。完了直前に変えようとすれば、手戻りや追加コストが避けられません。
受験者なので、その影響が完了直前に最も大きくなるという選択肢も誤りですね。残りの要員数はどうでしょうか。開始時が多いというのは少し意外に感じました。
講師その感覚は正しいです。要員数は山型に推移し、開始時と終結時に少なく、実行段階で最も多くなります。開始時が最多で、完了間際にまた増えるという谷型の動きは、一般的な特性ではありません。
受験者まとめると、リスクは下がっていく、変更の影響は上がっていく、低コストで影響を与えられる余地は下がっていく、要員数は山型、ということですね。
講師よく整理できています。補足すると、この問題でも、変更の影響についての選択肢は、正解のリスクの選択肢と逆向きの内容になっています。どちらも「終盤ほど中身が確定している」という同じ理由から説明できるので、セットで覚えると混同しにくくなります。なお、リスクは下がってもゼロになるわけではない点も押さえておきましょう。
まとめ
プロジェクトは進むほど中身が確定し、不確実性が減っていきます。そのため、リスクは開始時が最も高く、完了に近づくにつれて下がります。一方、成果物が固まるほど変更しにくくなるので、変更やエラー修正の影響とコストは終盤ほど大きくなります。ステークホルダがコストを変えずに成果物へ与えられる影響は初期が最も大きく、要員数は実行段階が最も多い山型になります。リスクは下がりますが、ゼロにはなりません。
解答・解説
正解はエです
この問題のテーマ
プロジェクトの開始から完了までの間に、要員数・ステークホルダ(利害関係者)の影響力・変更の影響・リスクがどう変わるかを問う問題です。この4つのうち、一般的な特性として正しい説明を選びます。
解き方の考え方
まず「プロジェクトは進むほど中身が確定し、不確実性が減っていく」という基本を押さえます。不確実性が減れば、リスクは小さくなります。一方で、成果物が固まるほど後から変えにくくなるので、変更の影響やコストは大きくなり、ステークホルダが安く影響を与えられる余地は小さくなります。要員数は山型になり、実行段階で最も多くなります。この4つの傾向を、各選択肢の説明と1つずつ照らし合わせます。
選択肢ごとの解説
- ×ア 開発要員数は,プロジェクト開始時が最多であり,プロジェクトが進むにつれて減少し,完了に近づくと再度増加する。アは、要員数が開始時に最多で、完了間際に再び増えると述べています。実際の要員数は、開始時と終結時に少なく、実行段階で最多になります。開始時が最多になる谷型の動きは一般的ではないため、誤りです。
- ×イ ステークホルダがコストを変えずにプロジェクトの成果物に対して及ぼすことができる影響の度合いは,プロジェクト完了直前が最も大きくなる。イは、コストを変えずに与えられる影響度が、完了直前に最大になると述べています。この影響度は初期が最も大きく、進むにつれて小さくなります。完了直前は成果物がほぼ固まっており、変えれば手戻りや追加コストが避けられません。したがって誤りです。
- ×ウ プロジェクトが完了に近づくほど,変更やエラーの修正がプロジェクトに影響する度合いは小さくなる。ウは、完了に近いほど変更やエラー修正の影響が小さくなると述べています。実際は逆で、完了に近いほど影響は大きくなります。終盤の変更は手戻りや再確認を増やし、他の工程にも影響が連鎖するためです。したがって誤りです。
- ○エ リスクは,プロジェクトが完了に近づくにつれて減少する。エは、リスクが完了に近づくにつれて減ると述べています。設計・実装・検証と進むうちに、不確実だった点が一つずつ解消されます。そのため、リスクは開始時が最も高く、その後は下がります。したがって、エが正解です。
補足
「リスク」と「変更の影響」は、時間とともに逆向きに動きます。リスクは下がりますが、変更にかかるコストは上がります。どちらも「終盤ほど中身が確定している」という同じ理由から説明できるので、セットで覚えると混同しにくくなります。なお、リスクは下がってもゼロにはなりません。
POINT
- リスクと不確実性は、プロジェクトの開始時が最も高く、完了に近づくにつれて下がります。
- 要員数は山型に推移し、実行段階で最も多く、開始時と終結時は少なくなります。
- ステークホルダがコストを変えずに成果物へ与えられる影響は、初期が最も大きく、だんだん小さくなります。
- 変更やエラー修正の影響とコストは、完了に近づくほど大きくなります。
