RPAとは何か、業務改善の事例から見分けるポイント
情報セキュリティマネジメント試験 令和元年度秋期 午前 問48 / システム戦略 › 業務プロセス
過去問にチャレンジ
RPAを活用することによって業務の改善を図ったものはどれか。
- ア
果物の出荷検査のために,画像解析によって大きさや形が規格外の果物をふるい落とす装置を導入し,検査速度を向上させた。
- イ
事務職員が人手で行っていた定型的かつ大量のコピー&ペースト作業をソフトウェアによって自動化し,作業時間の短縮と作業精度の向上を実現させた。
- ウ
倉庫での作業従事者にパワーアシストスーツを着用させ,身体の不調で病欠する従業員の割合を低減させた。
- エ
ビッグデータを用いてあらかじめ解析した結果から,タクシーの需要が多いと見込まれる地域を日ごとに特定し,タクシーの空車の割合を低減させた。
会話形式の解説
講師今回はRPAという用語の意味を問う問題です。業務改善の事例が四つ並んでいるので、そのうちRPAを使ったものを見分けます。注目するのは「PC上の事務作業か」と「ソフトウェアで自動化しているか」の2点です。
受験者RPAは「ロボティック・プロセス・オートメーション」の略ですよね。ロボットと付いているので、機械を使う果物の選別装置やパワーアシストスーツも候補になりそうで迷いました。
講師そこが注意したいところです。RPAとは、人がPCで行う定型的な操作をソフトウェアで自動化する技術です。定型的とは、手順が決まった繰り返し作業のことです。RPAの「ロボット」はPCの中で動くソフトウェアで、工場の機械のような物理的なロボットではありません。
受験者そうすると、画像解析で規格外の果物をふるい落とす装置は、物理的な検査装置による自動化なのでRPAとは違うということですね。
講師そのとおりです。画像解析という技術は使っていますが、事務職員がPCで行う操作を代行しているわけではありません。パワーアシストスーツも、倉庫作業者の身体の負担を軽くする物理的な装備なので、RPAには当たりません。
受験者ビッグデータでタクシーの需要が多い地域を予測する事例はどうですか。ソフトウェアを使っていそうなので、これは少し迷います。
講師これはデータ分析の活用事例です。分析結果を配車に生かしてはいますが、人が行っていた定型的なPC操作をソフトウェアに代行させる話ではありません。RPAが得意なのはルールどおりの操作を実行することで、データ分析による予測や判断はRPAの中心的な役割ではないのです。
受験者残るのは、事務職員が人手でしていた大量のコピー&ペースト作業をソフトウェアで自動化した事例ですね。PC上の定型作業で、しかもソフトウェアによる自動化なので、2点とも当てはまります。
講師はい、これがRPAの典型例で、正解です。手順が決まった繰り返し作業を機械的に処理するので、作業時間の短縮と入力ミスの減少という効果も、RPA導入の効果に合っています。
受験者RPAの対象は、事務部門や間接部門で行う、手順が決まった繰り返し作業だと覚えておけばよさそうですね。
講師それで十分です。「ロボット」という語につられて、選別装置やアシストスーツを選ばないよう注意しましょう。補足すると、RPAは画面の操作手順をなぞって動くので、画面のレイアウトや業務の手順が変わると動かなくなることがあります。導入した後も保守が必要だという点もあわせて押さえておくとよいです。
まとめ
RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)は、人がPCで行っている定型的な操作をソフトウェアで自動化する技術です。この問題では、事務職員が手作業でしていた大量のコピー&ペースト作業をソフトウェアで自動化した事例がRPAに当たります。画像解析による果物の選別装置やパワーアシストスーツは物理的な機械や装備です。ビッグデータによる需要予測はデータ分析の活用なので、どれもRPAではありません。「ロボット」という語に引きずられず、「PC上の事務作業か」「ソフトウェアによる自動化か」の2点で見分けるのがポイントです。
解答・解説
正解はイです
この問題のテーマ
業務改善の四つの事例から、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション。PC上の定型作業をソフトウェアに任せる技術)を使ったものを選ぶ問題です。
解き方の考え方
最初に、RPAは人がPCで行う定型的な操作をソフトウェアで自動化する技術だと確かめます。次に、各選択肢が「PC上の事務作業か」「ソフトウェアによる自動化か」の2点を満たすか照らします。装置やスーツのような物理的な機械は、ソフトウェアではないので外れます。データ分析による予測も、操作の自動化ではないので外れます。最後に、2点とも満たす選択肢を選びます。
選択肢ごとの解説
- ×ア 果物の出荷検査のために,画像解析によって大きさや形が規格外の果物をふるい落とす装置を導入し,検査速度を向上させた。アは、画像解析を使って規格外の果物を選別する装置を導入した事例です。物理的な検査装置による自動化であり、事務職員がPCで行う操作をソフトウェアで代行するRPAとは別のものです。
- ○イ 事務職員が人手で行っていた定型的かつ大量のコピー&ペースト作業をソフトウェアによって自動化し,作業時間の短縮と作業精度の向上を実現させた。イは、定型的で大量のコピー&ペースト作業をソフトウェアで自動化した事例です。手順が決まった繰り返し作業をPC上で機械的に処理しており、RPAの典型例です。作業時間の短縮と作業精度の向上も、RPA導入の効果に合っています。したがって、正しい選択肢です。
- ×ウ 倉庫での作業従事者にパワーアシストスーツを着用させ,身体の不調で病欠する従業員の割合を低減させた。ウのパワーアシストスーツは、倉庫作業者の身体の負担を軽くするための物理的な装備です。ソフトウェアで事務操作を自動化しているわけではないので、RPAには当たりません。
- ×エ ビッグデータを用いてあらかじめ解析した結果から,タクシーの需要が多いと見込まれる地域を日ごとに特定し,タクシーの空車の割合を低減させた。エは、ビッグデータを解析してタクシーの需要が多い地域を予測した、データ分析の活用事例です。分析結果を配車に生かしてはいますが、人が行っていた定型的なPC操作をソフトウェアに代行させる話ではないため、RPAとはいえません。
補足
「ロボット」という語から、ウのアシストスーツやアの選別装置を選ばないよう注意が必要です。RPAの「ロボット」は、PCの中で動くソフトウェアのことです。また、RPAは画面の操作手順をなぞって動くため、画面や業務の手順が変わると動かなくなることがあり、導入後も保守が必要です。
POINT
- RPAは、人がPCで行う定型的な操作をソフトウェアで自動化する技術です。
- RPAが主に対象とするのは、事務部門や間接部門で行う、手順が決まった繰り返しの多い作業です。
- 名前に「ロボティック」と付いていますが、工場の機械や装着型のアシストスーツのような物理的なロボットではありません。
- データ分析による予測や判断はRPAの中心的な役割ではなく、RPAはルールどおりの操作を実行することが得意です。
