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電子署名法の効力は?押印との関係と認証業務の担い手

情報セキュリティマネジメント試験 令和5年度 問8 / 法務 › セキュリティ関連法規

過去問にチャレンジ

令和5年度 問8

電子署名法に関する記述のうち,適切なものはどれか。

  1. ア

    電子署名には,電磁的記録ではなく,かつ,コンピュータで処理できないものも含まれる。

  2. イ

    電子署名には,民事訴訟法における押印と同様の効力が認められる。

  3. ウ

    電子署名の認証業務を行うことができるのは,政府が運営する認証局に限られる。

  4. エ

    電子署名は共通鍵暗号技術によるものに限られる。

会話形式の解説

講師講師
今回は電子署名法の問題です。正式名称は「電子署名及び認証業務に関する法律」で、電子署名と認証業務の二つを定めています。選択肢は、定義、効力、担い手、技術の四つの観点に分けて見ると整理しやすいです。
受験者受験者
私は、電子署名に押印と同じ効力があるという選択肢が正しそうだと思いました。ただ、名前を打ち込んだだけでも押印と同じになるのかが気になります。
講師講師
その引っかかりは大切です。民事訴訟法では、本人の署名や押印がある私文書は、真正に成立した、つまり本人の意思で作られたと推定されます。電子署名法では、本人による所定の要件を満たす電子署名が付いた電磁的記録も、同じように推定されます。前提は要件を満たす電子署名なので、名前を入力しただけのものや印影の画像を貼っただけのものでは足りません。
受験者受験者
要件を満たせば押印と同様に扱われる、ということですね。では、電子署名には電磁的記録でないものも含まれるという選択肢はどうでしょうか。
講師講師
それは誤りです。電子署名は、コンピュータで処理される電磁的記録、つまり電子データについて行われる措置が対象です。紙への押印や手書きの署名そのものは、電子署名には当たりません。
受験者受験者
認証業務は政府の認証局に限られるという選択肢も迷いました。公的な信頼が必要なので、国しかできない気もします。
講師講師
そこが引っかけです。認証業務は民間事業者も行えます。そのうえで、一定の基準を満たす特定認証業務は、主務大臣の認定を受けられる仕組みになっています。認定を受けるかどうかは任意で、認定を受けていない民間の認証業務もあります。
受験者受験者
「限られる」と範囲を狭める表現は疑ってみるとよさそうですね。共通鍵暗号に限られるという選択肢も同じ形です。
講師講師
そのとおりです。法律は特定の暗号方式を指定しておらず、技術的に中立です。また実際の電子署名では、一般に公開鍵暗号が使われます。送信者が自分の秘密鍵で署名し、受信者が送信者の公開鍵で検証する流れです。
受験者受験者
共通鍵暗号が署名に向かないのは、なぜでしょうか。
講師講師
共通鍵暗号では送信者と受信者が同じ鍵を持ちます。そのため、鍵を共有する受信者も同じ署名を作れてしまい、署名者本人だけが作成したことを第三者に示しにくいのです。後から「自分は作っていない」と言われた場合に反論しにくい、という問題につながります。
受験者受験者
整理すると、正しいのは押印と同様の効力の説明で、残りは定義を広げすぎたもの、担い手を政府に限ったもの、技術を共通鍵暗号に限ったもの、ということですね。
講師講師
はい、その理解で大丈夫です。あわせて、電子署名を使うと本人が作成したことと、内容が改変されていないことを確認できる点も覚えておくと、関連する問題に対応しやすくなります。

まとめ

電子署名法(電子署名及び認証業務に関する法律)では、本人による所定の要件を満たす電子署名が付いた電磁的記録は、押印のある私文書と同じく真正に成立したと推定されます。電子署名は電磁的記録が対象で、紙への押印や手書きの署名は含まれません。認証業務は民間事業者も行うことができ、特定認証業務は主務大臣の認定を任意で受けられます。法律は暗号方式を指定していませんが、実際には一般に公開鍵暗号が使われます。

解答・解説

正解はイです

この問題のテーマ

電子署名法(電子署名及び認証業務に関する法律)について、電子署名の定義、法的な効力、認証業務を誰が担えるか、使われる技術を正しく理解しているかを問う問題です。

解き方の考え方

まず、この法律が「電子署名」と「認証業務」の二つを定めていることを思い出します。そのうえで、選択肢を定義(何が電子署名に当たるか)、効力(紙の押印との関係)、担い手(認証業務を行えるのは誰か)、技術(暗号方式の限定はあるか)の観点に分けて確認します。「〜に限られる」と範囲を狭める表現が出てきたら、法の趣旨に照らして本当にそこまで限定されているかを疑うと、誤りの選択肢を見つけやすくなります。

選択肢ごとの解説

  1. ×ア  電子署名には,電磁的記録ではなく,かつ,コンピュータで処理できないものも含まれる。
    電子署名の範囲を電磁的記録以外まで広げる説明は誤りです。電子署名は、コンピュータで処理される電磁的記録について行われる措置を対象にしています。紙への押印や手書きの署名そのものは、電子署名には当たりません。
  2. ○イ  電子署名には,民事訴訟法における押印と同様の効力が認められる。
    電子署名に押印と同様の効力を認める説明は正しい内容です。民事訴訟法では、本人の署名や押印がある私文書は真正に成立したと推定されます。電子署名法では、本人による所定の要件を満たす電子署名が付いた電磁的記録も、同じように真正に成立したと推定されます。ただし前提は要件を満たす電子署名であり、名前を入力しただけのものや印影の画像を貼っただけのものでは足りない点に注意が必要です。
  3. ×ウ  電子署名の認証業務を行うことができるのは,政府が運営する認証局に限られる。
    認証業務を行えるのは政府が運営する認証局に限るという説明は誤りです。認証業務は民間事業者も行うことができます。さらに、一定の基準を満たす特定認証業務は、主務大臣の認定を受けることができる仕組みになっています。
  4. ×エ  電子署名は共通鍵暗号技術によるものに限られる。
    電子署名を共通鍵暗号によるものに限るという説明は誤りです。法律は特定の暗号方式を指定しておらず、技術的に中立な立場をとっています。また、実際の電子署名では一般に公開鍵暗号が使われます。

補足

電子署名の仕組みでは、送信者が自分の秘密鍵で署名し、受信者が送信者の公開鍵で検証します。共通鍵暗号では送信者と受信者が同じ鍵を持つため、署名したのが本人であることを証明できません。エが誤りである理由は、この技術的な面からも説明できます。また、「認定」を受けることは任意で、認定を受けていない民間の認証業務も存在します。

POINT

  • 電子署名法の正式名称は「電子署名及び認証業務に関する法律」で、電子署名と認証業務(およびその認定制度)を定めています。
  • 本人による所定の要件を満たす電子署名が付いた電磁的記録は、押印のある私文書と同じように、真正に成立したと推定されます。
  • 電子署名を使うと、本人が作成したことと、内容が改変されていないことを確認できます。
  • 認証業務は民間事業者も行うことができ、特定認証業務は主務大臣の認定を受けることができます。
  • 法律は暗号方式を指定していませんが、実際の電子署名には一般に公開鍵暗号が使われます。

※出典:令和5年度 情報セキュリティマネジメント試験 科目A 問8