個人情報保護法の「個人情報」はどこまでが対象か
情報セキュリティマネジメント試験 令和6年度 問7 / 法務 › セキュリティ関連法規
過去問にチャレンジ
個人情報保護法が保護の対象としている個人情報に関する記述のうち,適切なものはどれか。
- ア
企業が管理している顧客に関する情報に限られる。
- イ
個人が秘密にしているプライバシーに関する情報に限られる。
- ウ
生存する個人に関する情報に限られる。
- エ
日本国籍を有する個人に関する情報に限られる。
会話形式の解説
講師今回は、個人情報保護法の「個人情報」がどこまでを指すのかを問う問題です。選択肢はどれも「〜に限られる」と範囲を狭める書き方になっています。その条件が法律の定義に本当に入っているかどうかに注目してください。
受験者個人情報というと、会社が持っている顧客名簿をまず思い浮かべます。ただ、それだけに限ると言い切ってしまうのは狭すぎる気もしています。
講師その感覚で合っています。まず定義を確認しましょう。個人情報とは「生存する個人に関する情報」で、特定の個人を識別できるもの、つまり誰のことか分かるものです。誰が管理しているか、秘密かどうか、国籍は何かといった条件は、この定義には入っていません。
受験者そうすると、顧客情報に限るという選択肢は誤りですね。従業員の情報も個人情報になるはずです。
講師そうです。従業員や取引先の担当者、採用応募者、見込み客の情報も個人情報にあたります。また、個人情報を扱う事業者も企業に限りません。個人情報データベース等を事業に使っていれば、団体や個人も対象になります。
受験者秘密にしているプライバシー情報に限るという選択肢は、少しもっともらしく見えました。秘密でなければ守る必要はないのではと思ってしまいます。
講師そこが引っかけです。個人情報かどうかは、秘密かどうかではなく、特定の個人を識別できるかどうかで決まります。ですから、広く知られている情報や本人が公開した情報も個人情報になり得ます。国籍についても同じで、定義に国籍の条件はないので、外国人を識別できる情報も個人情報です。
受験者残るのは、生存する個人に限るという選択肢ですね。これは定義の要件そのものなので正解だと分かります。では、亡くなった人の情報はまったく対象にならないのですか。
講師亡くなった人だけに関する情報は、原則としてこの法律の個人情報にあたりません。ただし、その情報から生きている遺族などを識別できる場合は、その遺族などの個人情報になり得ます。ここは補足として押さえておくとよいです。
受験者整理すると、「生存する個人」と「特定の個人を識別できる」が定義の中心で、管理者・秘密かどうか・国籍は判断に関係しない、ということですね。
講師そのとおりです。関連して、他の情報と簡単に照らし合わせて個人を識別できる情報や、個人識別符号を含む情報も個人情報にあたります。個人識別符号とは、顔認識データや指紋データのように身体の特徴から作るデータや、旅券番号などのことです。住所、電話番号、防犯カメラの映像、録音された音声も、個人を識別できれば個人情報になり得ます。「〜に限られる」という表現が出てきたら、その条件が定義に含まれているかを確かめる習慣をつけましょう。
まとめ
個人情報保護法でいう個人情報とは、生存する個人に関する情報で、特定の個人を識別できるものです。誰が管理しているか、秘密かどうか、国籍は何かは定義に含まれないため、顧客情報やプライバシー情報、日本国籍の人の情報に限るという説明はどれも誤りです。亡くなった人だけに関する情報は原則として対象外ですが、遺族を識別できる場合はその遺族の個人情報になり得ます。「〜に限られる」と範囲を狭める選択肢は、その条件が定義にあるかどうかで判断すると見抜きやすくなります。
解答・解説
正解はウです
この問題のテーマ
個人情報保護法でいう「個人情報」の範囲を問う問題です。何によって個人情報かどうかが決まるのか、という定義の理解を確かめています。
解き方の考え方
まず定義の中心を思い出します。個人情報とは「生存する個人に関する情報」で、特定の個人を識別できるものです。この定義には、誰が管理しているか、秘密かどうか、国籍は何かといった条件は入っていません。ですから「〜に限られる」と範囲を狭めている選択肢のうち、定義にない条件を足しているものは外せます。定義そのものの要件である「生存する」を述べた選択肢が残ります。
選択肢ごとの解説
- ×ア 企業が管理している顧客に関する情報に限られる。顧客情報に限るという説明は誤りです。従業員や取引先担当者の情報も個人情報にあたり、採用応募者や見込み客の情報も同じです。また、個人情報を扱う事業者は企業に限られず、個人情報データベース等を事業に使っていれば団体や個人も対象になります。
- ×イ 個人が秘密にしているプライバシーに関する情報に限られる。秘密にしているプライバシー情報に限るという説明は誤りです。個人情報かどうかは、秘密かどうかではなく、特定の個人を識別できるかどうかで決まります。そのため、公知の情報や本人が公開した情報も個人情報になり得ます。
- ○ウ 生存する個人に関する情報に限られる。生存する個人に関する情報に限るという説明は、法律の定義どおりで正解です。亡くなった人だけに関する情報は、原則としてこの法律の個人情報にあたりません。ただし、その情報から生きている遺族などを識別できる場合は、その遺族などの個人情報になり得ます。
- ×エ 日本国籍を有する個人に関する情報に限られる。日本国籍を持つ人に限るという説明は誤りです。個人情報の定義に国籍の条件はありません。外国人を識別できる情報も個人情報にあたります。
補足
個人識別符号には、顔認識データや指紋データのような身体の特徴から作るデータや、旅券番号などがあります。住所、電話番号、防犯カメラの映像、録音された音声も、個人を識別できれば個人情報になり得ます。「〜に限られる」という表現が出てきたら、その条件が定義に本当に含まれているかを確かめると、引っかけを見抜きやすくなります。
POINT
- 個人情報とは、生存する個人に関する情報で、特定の個人を識別できるものです。
- 他の情報と簡単に照合して個人を識別できる情報や、個人識別符号を含む情報も個人情報にあたります。
- 秘密かどうか、誰が管理しているか、国籍は何かは、個人情報かどうかの判断には関係しません。
- 亡くなった人だけに関する情報は原則として対象外ですが、遺族を識別できる場合はその遺族の個人情報になり得ます。
