マナビング情報セキュリティマネジメント

インシデントはどれか?原因・検知・対応と区別して考える

情報セキュリティマネジメント試験 2022年 サンプル問題 問39 / サービスマネジメント › サービスマネジメントプロセス

過去問にチャレンジ

2022年 サンプル問題 問39

あるデータセンターでは,受発注管理システムの運用サービスを提供している。次の受発注管理システムの運用中の事象において,インシデントに該当するものはどれか。 〔受発注管理システムの運用中の事象〕 夜間バッチ処理において,注文トランザクションデータから注文書を出力するプログラムが異常終了した。異常終了を検知した運用担当者から連絡を受けた保守担当者は,緊急出社してサービスを回復し,後日,異常終了の原因となったプログラムの誤りを修正した。

  1. ア

    異常終了の検知

  2. イ

    プログラムの誤り

  3. ウ

    プログラムの異常終了

  4. エ

    保守担当者の緊急出社

会話形式の解説

講師講師
今回は、ITサービスマネジメントでいう「インシデント」の意味を問う問題です。夜間バッチで起きた一連の出来事のうち、どれがインシデントに当たるかを見分けます。
受験者受験者
全部トラブルに関係していて、どれもインシデントっぽく見えます。根っこにあるのはプログラムの誤りなので、それが答えかなと思いました。
講師講師
そこが迷いやすいところです。まず定義を押さえましょう。インシデントとは、サービスの計画外の中断や品質の低下につながる事象のことです。まだ顧客に影響が出ていなくても、そうなりうる事象も含みます。
受験者受験者
「事象」というのがポイントなんですね。原因とは別物ということですか。
講師講師
そうです。問題文の出来事を時間の順に「原因」「事象」「検知」「対応」に分けてみてください。
受験者受験者
原因がプログラムの誤り、事象が異常終了、検知が運用担当者による異常終了の検知、対応が保守担当者の緊急出社と回復、それから後日の修正、という並びでしょうか。
講師講師
きれいに整理できています。このうち、サービスを実際に止めた出来事は何でしょう。
受験者受験者
注文書を出力するプログラムの異常終了です。これで処理が計画外に止まっています。
講師講師
その通りで、プログラムの異常終了が正解です。定義の「計画外の中断」にそのまま当てはまります。
受験者受験者
プログラムの誤りは、異常終了を引き起こした根本の原因なので、インシデントそのものではない、ということですね。
講師講師
はい。原因と、その結果としてサービスに起きた事象は区別します。誤りを後日修正したのは、原因の除去に当たります。
受験者受験者
異常終了の検知は、すでに起きたインシデントを見つけた行為で、緊急出社はサービスを回復するための対応行動。どちらもインシデントへの対応であって、インシデントそのものではないと理解しました。
講師講師
正確です。補足すると、ITサービスマネジメントではインシデントの根本原因を「問題」と呼び、インシデント管理とは別のプロセスで扱います。インシデント管理はまずサービスを早く回復すること、問題管理は原因を突き止めて再発を防ぐことが目的です。
受験者受験者
この問題でいえば、緊急出社による回復がインシデント管理、後日のプログラム修正が問題管理の考え方に当たるわけですね。
講師講師
そうです。本問では、プログラムの誤りという「原因」をインシデントと取り違えないことが要点です。

まとめ

インシデントとは、サービスの計画外の中断や品質の低下、またはそうなりうる事象のことです。問題文の出来事を「原因」「事象」「検知」「対応」に分けると、サービスを止めたプログラムの異常終了が「事象」に当たり、これがインシデントです。プログラムの誤りは根本原因、異常終了の検知や緊急出社はインシデントへの対応であり、インシデントそのものではありません。また、回復を優先するインシデント管理と、原因を取り除いて再発を防ぐ問題管理は別のプロセスとして扱います。

解答・解説

正解はウです

この問題のテーマ

ITサービスマネジメントでいう「インシデント」の意味を理解し、運用中に起きた一連の出来事の中からインシデントに当たるものを見分けられるかを問う問題です。

解き方の考え方

まず、インシデントは「サービスの計画外の中断や品質の低下につながる事象」だという定義を押さえます。次に、問題文の出来事を「原因」「事象」「検知」「対応」に分けて、時間の順に並べます。この問題では、プログラムの誤りが原因で異常終了が起き、それを運用担当者が検知し、保守担当者が緊急出社してサービスを回復しています。この流れのうち、サービスを実際に止めた出来事そのものがインシデントです。

選択肢ごとの解説

  1. ×ア  異常終了の検知
    「異常終了の検知」は、すでに起きたインシデントを運用担当者が見つけた行為です。発見はインシデントへの対応の始まりであり、サービスを中断させた事象そのものではありません。
  2. ×イ  プログラムの誤り
    「プログラムの誤り」は、異常終了を引き起こした根本の原因です。原因と、その結果としてサービスに起きた事象は区別します。誤りは後日修正されており、これは原因の除去に当たります。
  3. ○ウ  プログラムの異常終了
    夜間バッチで注文書を出力する「プログラムの異常終了」は、サービスが計画外に止まった事象です。インシデントの定義である「計画外の中断」にそのまま当てはまるため、これが正解です。
  4. ×エ  保守担当者の緊急出社
    「保守担当者の緊急出社」は、止まったサービスを回復するための対応行動です。インシデントに対処するための行動であり、インシデントそのものではありません。

補足

ITサービスマネジメントでは、インシデントの根本原因を「問題」と呼び、インシデント管理とは別のプロセスで扱います。インシデント管理はまずサービスを早く回復することを目的とし、問題管理は原因を突き止めて再発を防ぐことを目的とします。本問でいえば、緊急出社による回復がインシデント管理、後日のプログラム修正が問題管理の考え方に当たります。「原因」の選択肢を正解と思い込むのがよくある引っかけです。

POINT

  • インシデントとは、サービスの計画外の中断や品質の低下、またはまだ顧客に影響していなくてもそうなりうる事象のことです。
  • 事象の流れを「原因」「事象」「検知」「対応」に分けると、インシデントは「事象」に当たります。
  • プログラムの誤りのような根本原因は、インシデントそのものではなく、その原因として扱います。
  • 検知、緊急出社、サービスの回復といった行動は、インシデントへの対応であり、インシデントそのものではありません。

※出典:2022年 サンプル問題 情報セキュリティマネジメント試験 科目A 問39