マナビング情報セキュリティマネジメント

ポート番号まで変換して社内アドレスを隠す技術はどれか

情報セキュリティマネジメント試験 平成31年度春期 午前 問17 / セキュリティ › セキュリティ実装技術

過去問にチャレンジ

平成31年度春期 午前 問17

社内PCからインターネットに通信するとき,パケット中にある社内PCのプライベートIPアドレスとポート番号の組合せを,ファイアウォールのインターネット側のIPアドレスとポート番号の組合せに変換することによって,インターネットからは分からないように社内PCのプライベートIPアドレスを隠蔽することが可能なものはどれか。

  1. ア

    BGP

  2. イ

    IPマスカレード

  3. ウ

    OSPF

  4. エ

    フラグメンテーション

会話形式の解説

講師講師
今回は、社内PCのアドレスをインターネット側から見えなくする技術の名前を問う問題です。問題文の「IPアドレスとポート番号の組合せを変換する」という部分に注目してください。
受験者受験者
アドレスを変換すると聞いて、NATかなと思いました。ただ、選択肢にNATがありません。それと、ポート番号まで変換すると書いてあるのが気になっています。
講師講師
よいところに気づきましたね。IPアドレスだけを1対1で変換する方式がNATです。ポート番号もあわせて変換する方式はNAPTといい、IPマスカレードとも呼ばれます。この問題では、アドレスとポート番号の組を変換するという記述が、IPマスカレードを選ぶ決め手になります。
受験者受験者
IPマスカレードとNAPTは同じものなんですね。ポート番号まで変換すると、何がよいのですか。
講師講師
ポート番号で端末を区別できるので、1つのグローバルIPアドレスを複数の端末で共有できます。また、インターネット側からは変換後のアドレスしか見えないので、社内PCのプライベートIPアドレスは知られません。これが問題文の「隠蔽」にあたります。
受験者受験者
BGPとOSPFはどちらもネットワークの用語として見たことがあります。でも、違いがよく分かっていません。
講師講師
どちらもルーティングプロトコル、つまり宛先までの経路を決めるために経路情報をやり取りする仕組みです。BGPは自律システム(AS)、言い換えると独立して運用されるネットワークのまとまり同士で使います。OSPFは1つのASの内部で使うリンクステート型で、ルータ同士が接続状態をやり取りして最短経路を計算します。
受験者受験者
経路を決めるだけで、送信元のアドレスやポート番号を書き換えるわけではない、ということですね。
講師講師
そのとおりです。どちらもアドレスの書き換えはしないので、内部アドレスを隠す働きはありません。
受験者受験者
フラグメンテーションは、パケットを分ける処理だったと思います。分けると中身が見えにくくなる、ということはありませんか。
講師講師
分割した後も、それぞれのパケットにIPヘッダが付きます。送信元IPアドレスはそのまま残るので、アドレスを隠すことはできません。アドレス変換とは別の処理です。
受験者受験者
整理すると、アドレスとポート番号の組を変換して内部アドレスを隠すのはIPマスカレードです。BGPとOSPFは経路を決める仕組みで、フラグメンテーションは分割する処理なので、どれもアドレス変換ではありません。
講師講師
よくまとまっています。補足すると、アドレスが隠れるのはアドレス変換の副次的な効果です。通信を暗号化したり、攻撃を防いだりする機能ではない点にも注意してください。

まとめ

社内PCのプライベートIPアドレスとポート番号の組を、ファイアウォールの外部側のIPアドレスとポート番号の組に変換するのはIPマスカレード(NAPT)です。ポート番号で端末を区別するので、1つのグローバルIPアドレスを複数の端末で共有でき、外部からは変換後のアドレスしか見えません。IPアドレスだけを1対1で変換するNATとは区別されます。BGPとOSPFは経路情報をやり取りするルーティングプロトコルで、フラグメンテーションはパケットを分割する処理であり、どれもアドレス変換ではありません。なお、アドレスの隠蔽は副次的な効果で、暗号化や攻撃防御の機能ではありません。

解答・解説

正解はイです

この問題のテーマ

社内PCのプライベートIPアドレスとポート番号の組を、ファイアウォールの外部側のIPアドレスとポート番号の組に変換し、内部のアドレスを外から見えなくする技術の名前を問う問題です。

解き方の考え方

問題文の「IPアドレスとポート番号の組合せを変換する」という部分が手がかりになります。アドレスだけでなくポート番号も合わせて変換する方式はNAPTで、IPマスカレードとも呼ばれます。BGPとOSPFは経路情報をやり取りするルーティングプロトコルで、フラグメンテーションはパケットを分割する処理です。どれもアドレス変換ではないため、消去法でも答えを絞り込めます。

選択肢ごとの解説

  1. ×ア  BGP
    BGPは、自律システム(AS)同士で経路情報を交換するルーティングプロトコルです。パケットの宛先までの経路を決めるための仕組みで、送信元のIPアドレスやポート番号を書き換えることはありません。そのため、内部アドレスを隠す働きもありません。
  2. ○イ  IPマスカレード
    IPマスカレードはNAPTと同じ意味で使われる方式です。プライベートIPアドレスとポート番号の組を、外部側のIPアドレスとポート番号の組に変換します。インターネット側からは変換後のアドレスしか見えないので、社内PCのプライベートIPアドレスは知られません。また、ポート番号で端末を区別するため、1つのグローバルIPアドレスを複数の端末で共有できます。
  3. ×ウ  OSPF
    OSPFは、1つの自律システムの内部で使うリンクステート型のルーティングプロトコルです。ルータ同士がネットワークの接続状態をやり取りして最短経路を計算するもので、アドレスの書き換えはしません。
  4. ×エ  フラグメンテーション
    フラグメンテーションは、1つのパケットを小さく分けて送る処理です。分割した後もそれぞれのパケットにIPヘッダが付くので、送信元IPアドレスはそのまま残ります。アドレス変換ではないため、内部アドレスを隠すことはできません。

補足

IPアドレスだけを1対1で変換する方式はNATと呼ばれ、ポート番号も変換するNAPT(IPマスカレード)とは区別されます。問題文に「ポート番号」があればNAPTを選ぶのが判断の決め手です。なお、アドレスが隠れるのは副次的な効果で、通信を暗号化したり攻撃を防いだりする機能ではない点にも注意してください。

POINT

  • IPマスカレードはNAPTとも呼ばれ、IPアドレスとポート番号の組を変換します。
  • ポート番号も変換するので、1つのグローバルIPアドレスを複数の端末で共有できます。
  • 外部からは変換後のアドレスしか見えないため、内部のプライベートIPアドレスを隠せます。
  • BGPはAS間、OSPFはAS内で使うルーティングプロトコルで、アドレス変換は行いません。

※出典:平成31年度春期 情報セキュリティマネジメント試験 午前 問17