IPsecでAESを使うとき、どの鍵で暗号化するのか
情報セキュリティマネジメント試験 令和元年度秋期 午前 問17 / セキュリティ › セキュリティ実装技術
過去問にチャレンジ
PCとサーバとの間でIPsecによる暗号化通信を行う。通信データの暗号化アルゴリズムとしてAESを使うとき,用いるべき鍵はどれか。
- ア
PCだけが所有する秘密鍵
- イ
PCとサーバで共有された共通鍵
- ウ
PCの公開鍵
- エ
サーバの公開鍵
会話形式の解説
講師この問題は、IPsecという通信を暗号化する仕組みの中で、AESがどんな鍵を使うかを問うものです。注目するのは、AESが共通鍵暗号方式と公開鍵暗号方式のどちらに入るかという点です。
受験者選択肢に秘密鍵、公開鍵、共通鍵が全部出ていて迷いました。暗号化といえば公開鍵というイメージがあるので、サーバの公開鍵で暗号化するのかと思いました。
講師そう考える人は多いです。ただ、AESは共通鍵暗号方式の代表的なアルゴリズムです。共通鍵暗号方式は、暗号化と復号に同じ鍵を使う方式です。
受験者同じ鍵を使うということは、PCとサーバの両方がその鍵を持っていないと、受け取った側が復号できないということですね。
講師そのとおりです。なので、PCとサーバで共有された共通鍵が正解です。片方が暗号化したデータを、同じ鍵を持つもう片方が復号できます。
受験者PCだけが所有する秘密鍵はどうでしょうか。秘密の鍵なので安全そうに見えます。
講師これは公開鍵暗号方式で使う、本人だけが持つ鍵を指しています。AESは暗号化と復号に同じ鍵を使うので、PCしか持っていない鍵ではサーバが復号できません。
受験者PCの公開鍵やサーバの公開鍵は、公開鍵暗号方式の鍵なので、そもそも方式が違うということですか。
講師はい。加えて、公開鍵は誰でも入手できる鍵です。AESのように、通信する両者だけが同じ秘密の鍵を共有するという前提になりません。公開鍵は主に鍵交換や認証で使われ、AESでデータを暗号化する鍵とは役割が違います。
受験者整理すると、AESは共通鍵暗号方式なので、両者で共有した同じ鍵を使う。秘密鍵と公開鍵は公開鍵暗号方式の用語なので外せる、ということですね。
講師よく整理できています。補足すると、公開鍵暗号方式は処理が重く、大量のデータを直接暗号化するのには向きません。そのため、鍵の交換や認証は公開鍵暗号方式で行い、データ本体は共通鍵暗号方式で暗号化する組み合わせがよく使われます。IPsecでも、データを暗号化する共通鍵をIKEなどの仕組みで安全に共有するのが一般的です。
講師もう一つ注意点があります。文献によっては共通鍵暗号方式の鍵を「秘密鍵」と呼ぶこともあります。今回は「PCだけが所有する」と書かれているので、公開鍵暗号方式の秘密鍵だと読み取れます。用語だけでなく、誰がその鍵を持っているかにも目を向けてください。
まとめ
IPsecでAESを使って通信データを暗号化するときは、PCとサーバで共有した共通鍵を使います。AESは共通鍵暗号方式の代表的なアルゴリズムで、暗号化と復号に同じ鍵を使うからです。秘密鍵や公開鍵は公開鍵暗号方式の鍵であり、AESでデータを暗号化する鍵とは役割が違います。実際の通信では、鍵交換や認証を公開鍵暗号方式で行い、データ本体を共通鍵暗号方式で暗号化する組み合わせがよく使われます。
解答・解説
正解はイです
この問題のテーマ
IPsecで暗号化通信を行うときに、暗号アルゴリズムAESで使う鍵の種類を問う問題です。AESが共通鍵暗号方式であることを知っているかがポイントになります。
解き方の考え方
まず、AESが共通鍵暗号方式と公開鍵暗号方式のどちらに属するかを確認します。AESは共通鍵暗号方式の代表的なアルゴリズムで、暗号化と復号に同じ鍵を使います。そのため、通信するPCとサーバの両方が同じ鍵を持っている必要があります。秘密鍵や公開鍵は公開鍵暗号方式で使う鍵なので、それらを挙げた選択肢は外せます。
選択肢ごとの解説
- ×ア PCだけが所有する秘密鍵PCだけが持つ秘密鍵という説明は、公開鍵暗号方式で使う非公開の鍵を指しています。AESでは暗号化と復号に同じ鍵を使うので、PCしか持っていない鍵ではサーバが復号できません。したがって、AESの鍵には当たりません。
- ○イ PCとサーバで共有された共通鍵PCとサーバで共有された共通鍵は、AESで暗号化と復号の両方に使う鍵です。送信側と受信側が同じ鍵を持っているので、片方が暗号化したデータをもう片方が復号できます。
- ×ウ PCの公開鍵PCの公開鍵は公開鍵暗号方式で使う鍵で、AESの共通鍵ではありません。暗号の方式が違うので、AESによるデータ暗号化には使いません。
- ×エ サーバの公開鍵サーバの公開鍵も公開鍵暗号方式の鍵で、AESの共通鍵ではありません。公開鍵は主に鍵交換や認証で使われる鍵で、AESでデータを暗号化するときの鍵とは役割が違います。
補足
共通鍵暗号方式の鍵を「秘密鍵」と呼ぶ文献もありますが、この問題では「PCだけが所有する秘密鍵」と書かれているため、公開鍵暗号方式の秘密鍵を指していると読み取れます。公開鍵暗号方式は処理が重く、大量のデータを直接暗号化するのには向きません。そのため、鍵の交換や認証は公開鍵暗号方式で行い、データ本体は共通鍵暗号方式で暗号化する、という組み合わせがよく使われます。
POINT
- AESは共通鍵暗号方式の代表的なアルゴリズムです。
- 共通鍵暗号方式では暗号化と復号に同じ鍵を使うので、通信する両者が同じ鍵を共有しておく必要があります。
- 「秘密鍵」と「公開鍵」は公開鍵暗号方式の用語で、共通鍵暗号方式とは別のものです。
- IPsecでは、通信データを暗号化する共通鍵をIKEなどの仕組みを使って安全に共有するのが一般的です。
