マナビング情報セキュリティマネジメント

WPA3は何を守る規格?似た暗号化技術との見分け方

情報セキュリティマネジメント試験 令和元年度秋期 午前 問18 / セキュリティ › セキュリティ実装技術

過去問にチャレンジ

令和元年度秋期 午前 問18

WPA3はどれか。

  1. ア

    HTTP通信の暗号化規格

  2. イ

    TCP/IP通信の暗号化規格

  3. ウ

    Webサーバで使用するディジタル証明書の規格

  4. エ

    無線LANのセキュリティ規格

会話形式の解説

講師講師
今回は、WPA3が何の規格なのかを問う問題です。選択肢には暗号化や証明書の規格が並んでいるので、それぞれどの通信を守る技術なのかを区別できるかがポイントです。
受験者受験者
WPAという名前は、Wi-Fiの設定画面で見た覚えがあります。でも、どの選択肢も暗号化っぽくて、少し迷いました。
講師講師
その記憶で合っています。WPAは無線LAN、つまりWi-Fiのセキュリティ規格の名前です。WPA3はWPA2の後継なので、無線LANについて書かれた選択肢が正解になります。
受験者受験者
では、HTTP通信を暗号化する規格という選択肢は違うのですね。Webの暗号化といえばHTTPSでしょうか。
講師講師
そうです。その説明は、TLSという暗号化の仕組みを使うHTTPSに当てはまります。HTTPSはWebブラウザとWebサーバの間の通信を守る技術で、WPA3とは分野が違います。
受験者受験者
TCP/IP通信の暗号化規格という選択肢は迷いました。Wi-Fiの上でもTCP/IPの通信が流れているので、まとめて暗号化しているのかと思ったのですが。
講師講師
紛らわしいところですね。その説明はIP層で暗号化するIPsecなどに当てはまります。WPA3が守るのは端末とアクセスポイントの間の無線の区間だけです。TCP/IPの階層を対象にした暗号化規格ではありませんし、通信の最初から最後までを守る仕組みでもありません。
受験者受験者
Webサーバで使うディジタル証明書の規格というのは、X.509のことでしょうか。
講師講師
はい。サーバ証明書の形式を決めているのはX.509です。WPA3は証明書の形式を決める規格ではないので、これも当てはまりません。
受験者受験者
整理すると、HTTP通信はTLS、IP層はIPsec、証明書の形式はX.509、無線LANはWPA3と、守る場所や役割で分ければよいのですね。
講師講師
その通りです。補足すると、WPA2では接続時の4ウェイハンドシェイクという手順を突くKRACKsという脆弱性が見つかりました。WPA3はこうしたWPA2の弱点を補うために作られ、無線通信の認証と暗号化を強くしています。
受験者受験者
具体的には、どのように強くなったのですか。
講師講師
個人向けモードのWPA3-Personalでは、SAEという鍵交換方式を使い、パスワードを推測する総当たり攻撃や辞書攻撃に強くしています。WEP、WPA、WPA2、WPA3と規格が更新されてきた流れを押さえておくと、似た問題にも対応しやすくなります。ただし、WPA3にもすでに脆弱性が報告されているので、「WPA3なら絶対に安全」という言い切りには注意しましょう。

まとめ

WPA3は無線LAN(Wi-Fi)のセキュリティ規格で、WPA2の後継として、その弱点を補うために作られました。WPA3が守るのは無線の区間の認証と暗号化で、通信の最初から最後までを守る仕組みではありません。HTTP通信の暗号化はTLS(HTTPS)、IP層の暗号化はIPsec、サーバ証明書の形式はX.509と、それぞれ役割が分かれています。WPA3-PersonalではSAEという鍵交換方式で総当たり攻撃や辞書攻撃に強くなりましたが、WPA3にも脆弱性が報告されているため、絶対に安全とは言えません。

解答・解説

正解はエです

この問題のテーマ

WPA3が何の規格なのかを問う問題です。似た名前の暗号化技術と混同せず、どの通信を守る技術なのかを区別できるかが問われています。

解き方の考え方

まず「WPA」が無線LAN(Wi-Fi)のセキュリティ規格の名前だと思い出します。WPA2の後継がWPA3なので、無線LANについて書かれた選択肢を探せば答えが出ます。ほかの選択肢は、それぞれ別の技術(HTTPSのTLS、IPsec、X.509)の説明だと見分けられれば、消去法でも確かめられます。

選択肢ごとの解説

  1. ×ア  HTTP通信の暗号化規格
    HTTP通信を暗号化する規格という説明は、TLSを使うHTTPSにあてはまります。HTTPSはWebブラウザとWebサーバの間の通信を守る技術で、無線LANの規格であるWPA3とは分野が違います。
  2. ×イ  TCP/IP通信の暗号化規格
    TCP/IP通信を暗号化する規格という説明は、IP層で暗号化するIPsecなどにあてはまります。WPA3が守るのは無線の区間だけで、TCP/IPの階層を対象にした暗号化規格ではありません。
  3. ×ウ  Webサーバで使用するディジタル証明書の規格
    Webサーバで使うディジタル証明書の規格は、X.509です。WPA3は証明書の形式を決める規格ではないので、この説明は当てはまりません。
  4. ○エ  無線LANのセキュリティ規格
    無線LANのセキュリティ規格という説明が、WPA3に当てはまります。WPA3はWPA2の後継で、WPA2の弱点を補うために作られました。無線通信の認証と暗号化を強くしています。

補足

WPA2では、接続時の4ウェイハンドシェイクを突くKRACKsという脆弱性が見つかりました。WPA3の個人向けモード(WPA3-Personal)では、SAEという鍵交換方式を使い、パスワードを推測する総当たり攻撃や辞書攻撃に強くしています。このように「WEP→WPA→WPA2→WPA3」と規格が更新されてきた流れを押さえておくと、似た問題にも対応しやすくなります。ただし、WPA3にもすでに脆弱性が報告されているので、「WPA3なら完全に安全」という選択肢には注意してください。

POINT

  • WPA3は無線LANのセキュリティ規格で、WPA2の後継です。
  • WPA3が守るのは無線の区間の認証と暗号化で、通信の最初から最後までを守る仕組みではありません。
  • HTTP通信の暗号化はTLS(HTTPS)、IP層の暗号化はIPsec、サーバ証明書の形式はX.509と、それぞれ役割が分かれています。
  • WPA3はWPA2の脆弱性を補うために作られました。

※出典:令和元年度秋期 情報セキュリティマネジメント試験 午前 問18