マナビング情報セキュリティマネジメント

著作者人格権と財産的な権利の違いを会話で整理する

情報セキュリティマネジメント試験 平成31年度春期 午前 問35 / 法務 › 知的財産権

過去問にチャレンジ

平成31年度春期 午前 問35

著作者人格権に該当するものはどれか。

  1. ア

    印刷,撮影,複写などの方法によって著作物を複製する権利

  2. イ

    公衆からの要求に応じて自動的にサーバから情報を送信する権利

  3. ウ

    著作物の複製物を公衆に貸し出す権利

  4. エ

    自らの意思に反して著作物を変更,切除されない権利

会話形式の解説

講師講師
今回は著作権法の問題です。著作権法上の権利は、お金に関わる財産的な権利と、著作者の気持ちや名誉を守る著作者人格権の2つに大きく分かれます。選択肢がどちらに当たるかを見ていきましょう。
受験者受験者
「著作権」と「著作者人格権」は名前が似ていて、いつも混同してしまいます。著作者人格権には、具体的にどんな権利があるのでしょうか。
講師講師
著作者人格権は、公表権、氏名表示権、同一性保持権の3つです。同一性保持権とは、著作者の意に反して作品を変更されたり切除されたりしない権利のことです。
受験者受験者
そうすると、自分の意思に反して著作物を変更・切除されない権利という選択肢は、同一性保持権の説明そのものですね。これが正解だと思います。
講師講師
そのとおりです。作品を勝手に改変されないようにして、著作者の人格的な利益を守る権利です。では、ほかの選択肢はどうでしょう。
受験者受験者
印刷や複写で複製する権利は複製権、複製物を公衆に貸し出す権利は貸与権ですよね。どちらも作品の使われ方を決める権利なので、財産的な権利の側だと考えました。
講師講師
正しい判断です。どちらも著作物の利用から経済的な利益を得るための権利で、著作者人格権ではありません。
受験者受験者
サーバから自動的に情報を送信する権利は、少し迷いました。インターネットの話なので、別の分類があるのかと思ったのですが。
講師講師
それは公衆送信権等のうち、自動公衆送信と呼ばれるものです。ネット配信をコントロールする権利で、これも財産的な権利に入ります。利用の方法が新しいだけで、分類は複製権や貸与権と同じです。
受験者受験者
「複製」「送信」「貸与」のように使い方を表す言葉なら財産的な権利で、「公表」「氏名」「改変」に関わる言葉なら人格権、と見分ければよいのですね。
講師講師
その見分け方で判断しやすくなります。もう一つ押さえておきたいのは、財産的な権利は譲渡できても、著作者人格権は譲渡できないことです。そのため、著作権を譲り受けた人でも、著作者の意に反して作品を改変すれば同一性保持権の侵害になり得ます。ただし、同一性保持権には法律で定められた例外もあります。

まとめ

著作権法上の権利は、財産的な権利(複製権・公衆送信権・貸与権など)と、著作者の人格的な利益を守る著作者人格権に分かれます。著作者人格権は公表権・氏名表示権・同一性保持権の3つで、意に反して著作物を変更・切除されない権利は同一性保持権に当たります。「複製」「送信」「貸与」など利用方法を表す言葉は財産的な権利、「公表」「氏名」「改変」に関わる言葉は人格権と見分けると判断しやすくなります。また、著作者人格権は譲渡できないため、著作権を譲り受けた人による改変も同一性保持権の侵害になり得ます。

解答・解説

正解はエです

この問題のテーマ

著作権法上の権利のうち、著作者人格権にあたるものを、複製権・公衆送信権・貸与権といった財産的な権利と見分けられるかを問う問題です。

解き方の考え方

著作権法上の権利は、財産的な権利(いわゆる著作権)と、著作者の人格的・精神的な利益を守る著作者人格権の2つに大きく分かれます。著作者人格権は公表権・氏名表示権・同一性保持権の3つです。各選択肢が「著作物の利用(複製・送信・貸出)をコントロールする権利」なのか、「著作者の思いや名誉を守る権利」なのかを見極めると、正解を絞り込めます。

選択肢ごとの解説

  1. ×ア  印刷,撮影,複写などの方法によって著作物を複製する権利
    印刷や複写などで著作物を複製する権利の説明は、複製権のことです。複製権は著作物の利用から経済的な利益を得るための財産的な権利なので、著作者人格権ではありません。
  2. ×イ  公衆からの要求に応じて自動的にサーバから情報を送信する権利
    公衆からの要求に応じてサーバから自動的に送信する権利の説明は、公衆送信権等(自動公衆送信)にあたります。インターネットでの配信をコントロールする財産的な権利であり、人格権ではありません。
  3. ×ウ  著作物の複製物を公衆に貸し出す権利
    複製物を公衆に貸し出す権利の説明は、貸与権のことです。これも著作物の利用に関わる財産的な権利なので、著作者人格権には含まれません。
  4. ○エ  自らの意思に反して著作物を変更,切除されない権利
    意に反して著作物を変更・切除されない権利の説明は、同一性保持権のことです。同一性保持権は公表権・氏名表示権と並ぶ著作者人格権の一つで、作品の内容や題号を勝手に改変されないよう、著作者の人格的な利益を守ります。

補足

財産的な権利は譲渡できますが、著作者人格権は譲渡できません。そのため、著作権を譲り受けた人であっても、著作者の意に反して作品を改変すれば同一性保持権の侵害になり得ます。ただし、同一性保持権には法律で定められた例外もあります。また、「複製」「送信」「貸与」のように著作物の利用方法を表す言葉が出てきたら財産的な権利、「公表」「氏名」「改変」に関わる言葉なら人格権、と見分けると判断しやすくなります。

POINT

  • 著作者人格権は、公表権・氏名表示権・同一性保持権の3つです。
  • 同一性保持権は、著作者の意に反する変更・切除などの改変を受けない権利です。
  • 複製権・公衆送信権・貸与権は、著作物の利用を対象とする財産的な権利です。
  • 著作者人格権は著作者だけが持つ権利で、他人に譲渡することはできません。

※出典:平成31年度春期 情報セキュリティマネジメント試験 午前 問35