マナビング情報セキュリティマネジメント

請負・派遣・出向で誰が雇い誰が指示するのかを整理する

情報セキュリティマネジメント試験 平成31年度春期 午前 問36 / 法務 › 労働関連・取引関連法規

過去問にチャレンジ

平成31年度春期 午前 問36

図は、企業と労働者の関係を表している。企業Bと労働者Cの関係に関する記述のうち、適切なものはどれか。

平成31年度春期 午前 問36の図
  1. ア

    “契約”が請負契約で、企業Aが受託者、企業Bが委託者であるとき、企業Bと労働者Cとの間には、指揮命令関係が生じる。

  2. イ

    “契約”が出向にかかわる契約で、企業Aが企業Bに労働者Cを出向させたとき、企業Bと労働者Cとの間には指揮命令関係が生じる。

  3. ウ

    “契約”が労働者派遣契約で、企業Aが派遣元、企業Bが派遣先であるとき、企業Bと労働者Cの間にも、雇用関係が生じる。

  4. エ

    “契約”が労働者派遣契約で、企業Aが派遣元,企業 B が派遣先であるとき、企業Bに労働者Cが出向しているといえる。

会話形式の解説

講師講師
今回は三者関係の図の問題です。図では企業Aと労働者Cの間に「雇用関係」と書かれていて、企業Bと労働者Cを結ぶ矢印には何も書かれていません。契約の種類ごとに、Bとの間にどんな関係が生じるかを考えます。
受験者受験者
請負、出向、派遣と三つの契約が出てきて、どれも「よその会社で働く」ように見えるので、区別があいまいになりがちです。
講師講師
そこで、関係を二つに分けて考えます。一つは雇用関係で、どの企業がその人を雇っているかです。もう一つは指揮命令関係で、どの企業が日々の仕事の指示を出すかです。
受験者受験者
では請負から考えます。Bが仕事を頼む側(委託者)なら、Bが作業する人に指示を出すのではないでしょうか。
講師講師
そこが引っかけです。請負では、雇用関係も指揮命令関係も、仕事を請け負う受託者Aと労働者Cの間にあります。委託者Bは受託者の労働者に直接指示しないのが原則とされていて、直接指示すると請負の形が崩れてしまいます。ですから、BとCの間に指揮命令関係が生じるという選択肢は誤りです。
受験者受験者
なるほど、Bは成果を頼むだけで、働き方の指示はAが出すということですね。では労働者派遣ではどうなりますか。
講師講師
派遣では、雇用関係があるのは派遣元Aと労働者Cの間だけです。仕事の指示を出すのは派遣先Bです。つまり、雇う企業と指示する企業が分かれる形です。
受験者受験者
そうすると、派遣先BとCの間に雇用関係も生じるという選択肢は、指揮命令関係と雇用関係を取り違えているので誤りですね。
講師講師
そのとおりです。もう一つの派遣の選択肢は、CがBに出向しているといえるというものです。これはどうでしょう。
受験者受験者
派遣先も出向先も、受け入れた人に指示を出すという点では同じに見えます。それでも出向とはいえないのですか。
講師講師
はい。労働者派遣契約の下では、CはBに「派遣」されているのであって、出向ではありません。派遣と出向は別の制度なので、同じものとして扱えません。
受験者受験者
残るのは出向の選択肢です。出向先のBが出向者Cに仕事の指示を出すので、BとCの間に指揮命令関係が生じる、という説明は正しいということですね。
講師講師
正解です。補足すると、在籍出向では出向元Aとの雇用関係が残るので、Bとの間に雇用関係が必ず生じるわけではありません。一方、転籍出向では出向先に雇用されます。この選択肢は指揮命令関係だけを述べているので、適切と判断できます。
受験者受験者
まとめると、請負は雇用も指示も受託者、派遣は雇用が派遣元で指示が派遣先、出向は出向先が指示を出す、という整理ですね。
講師講師
そのとおりです。この問題で雇用関係と指揮命令関係を入れ替えた選択肢があったように、三者関係の問題では二つの関係を別々に確認する習慣をつけると判断を誤りにくくなります。派遣先と出向先はどちらも指示を出す立場なので混同しやすいですが、別の制度だという点も押さえておいてください。

まとめ

企業A・企業B・労働者Cの三者関係では、「誰が雇用しているか」と「誰が仕事の指示を出すか」を分けて考えることが大切です。請負では雇用関係も指揮命令関係も受託者と労働者の間にあり、委託者は労働者に直接指示しないのが原則です。労働者派遣では雇用関係は派遣元と労働者の間にだけあり、指揮命令は派遣先が行います。出向では出向先が出向者に指揮命令を行うため、出向先と労働者の間に指揮命令関係が生じるという記述が適切です。なお、在籍出向では出向元との雇用関係が残り、転籍出向では出向先に雇用されます。

解答・解説

正解はイです

この問題のテーマ

企業A・企業B・労働者Cの三者関係で、請負、出向、労働者派遣のそれぞれについて、企業Bと労働者Cの間に指揮命令関係や雇用関係が生じるかを問う問題です。

解き方の考え方

図では、企業Aと労働者Cの間が「雇用関係」で結ばれていて、企業Bと労働者Cを結ぶ矢印には何も書かれていません。そこで、契約の種類ごとに「雇用するのはどの企業か」「仕事の指示を出すのはどの企業か」を分けて考えます。請負では雇用も指示も受託者が担い、派遣では雇用は派遣元、指示は派遣先が担います。出向では、出向先が出向者に指示を出します。

選択肢ごとの解説

  1. ×ア  “契約”が請負契約で、企業Aが受託者、企業Bが委託者であるとき、企業Bと労働者Cとの間には、指揮命令関係が生じる。
    請負契約で委託者Bと労働者Cの間に指揮命令関係が生じるという説明は誤りです。請負では、雇用関係も指揮命令関係も受託者Aと労働者Cの間にあります。委託者Bは受託者の労働者に直接指示しないのが原則で、直接指示すると請負の形が崩れてしまいます。
  2. ○イ  “契約”が出向にかかわる契約で、企業Aが企業Bに労働者Cを出向させたとき、企業Bと労働者Cとの間には指揮命令関係が生じる。
    出向先Bと出向者Cの間に指揮命令関係が生じるという説明は正しいです。出向先は、出向してきた労働者に業務の指示を出します。なお、在籍出向では出向元Aとの雇用関係が残るため、Bとの間に雇用関係が必ず生じるわけではありません。設問は指揮命令関係だけを述べているので、適切です。
  3. ×ウ  “契約”が労働者派遣契約で、企業Aが派遣元、企業Bが派遣先であるとき、企業Bと労働者Cの間にも、雇用関係が生じる。
    派遣先Bと労働者Cの間にも雇用関係が生じるという説明は誤りです。労働者派遣で雇用関係があるのは派遣元Aと労働者Cの間だけです。派遣先Bが持つのは指揮命令関係です。
  4. ×エ  “契約”が労働者派遣契約で、企業Aが派遣元,企業 B が派遣先であるとき、企業Bに労働者Cが出向しているといえる。
    労働者派遣契約の下で、CがBに出向しているといえるという説明は誤りです。この場合、労働者CはBに「派遣」されているのであって、出向ではありません。派遣と出向は別の制度なので、同じものとして扱うことはできません。

補足

選択肢では「指揮命令関係」と「雇用関係」の語を入れ替えて誤りを作ることがよくあります。三者関係の問題では、二つの関係を別々に確認する習慣をつけると判断を誤りにくくなります。特に、派遣先と出向先はどちらも指示を出す立場なので混同しやすいですが、派遣と出向は別の制度です。

POINT

  • 請負では、雇用関係も指揮命令関係も受託者と労働者の間にあり、委託者は労働者に直接指示しません。
  • 労働者派遣では、雇用関係は派遣元と労働者の間にだけあり、指揮命令は派遣先が行います。
  • 出向では、出向先が出向者に指揮命令を行います。
  • 在籍出向では出向元との雇用関係が残り、転籍出向では出向先に雇用されます。

※出典:平成31年度春期 情報セキュリティマネジメント試験 午前 問36(一部改変)