ソフトウェア導入作業の計画書と合意のタイミングを確認
ITパスポート試験 令和5年度 問43 / システム開発技術 › システム開発技術
過去問にチャレンジ
ソフトウェア導入作業に関する記述a~dのうち,適切なものだけを全て挙げたものはどれか。 a 新規開発の場合,導入計画書の作成はせず,期日までに速やかに導入する。 b ソフトウェア導入作業を実施した後,速やかに導入計画書と導入報告書を作成し,合意を得る必要がある。 c ソフトウェアを自社開発した場合,影響範囲が社内になるので導入計画書の作成後に導入し,導入計画書の合意は導入後に行う。 d 本番稼働中のソフトウェアに機能追加する場合,機能追加したソフトウェアの導入計画書を作成し,合意を得てソフトウェア導入作業を実施する。
- ア
a,c
- イ
b,c,d
- ウ
b,d
- エ
d
会話形式の解説
講師この問題で問われているのは、ソフトウェア導入作業の手順です。導入計画書を作るタイミングと、関係者の合意を得るタイミングが、導入作業の前か後かに注目して、4つの記述を見ていきましょう。
受験者記述ごとに条件が違っていて迷いました。新規開発の場合、自社開発の場合、機能追加の場合と分かれているので、条件によっては手続きを省いてもよいのかと思ってしまいます。
講師条件が違って見えても、原則は一つです。導入計画書は導入作業の前に作成し、合意も導入作業の前に得ます。新規か変更か、自社開発か外注かは関係ありません。
受験者そうすると、新規開発なら計画書を作らずに期日までに導入する、という記述は、計画書を作らない時点で誤りということですね。
講師そのとおりです。新規開発でも計画書は必要です。計画なしに導入すると、業務が止まったり、データ移行に失敗したりするおそれがあります。
受験者導入作業の後で導入計画書と導入報告書を作って合意を得る、という記述は迷いました。報告書は後で作るものなので、正しく見えます。
講師導入報告書を導入後に作成して合意を得る点は妥当です。ただ、この記述では導入計画書まで導入後に作るとしています。導入後に作るのは導入報告書だけで、計画書は事前に作る文書なので、この記述は誤りです。
受験者自社開発なら影響範囲が社内なので、計画書を作った後に導入して、合意は導入後でよい、という記述はどうでしょうか。計画書は導入前に作っているので、半分は正しい気がします。
講師よく読めています。この記述は計画書の作成が導入前なので、作成の順序は正しいです。誤りは合意の時期だけです。影響が社内に限られていても、合意は導入前に得る必要があります。
受験者最後の、本番稼働中のソフトウェアに機能追加する場合に、計画書を作成し、合意を得てから導入作業を実施する、という記述は原則どおりなので適切ですね。
講師はい、適切です。機能追加では、すでに動いている業務への影響や、問題が起きたときに元の状態へ戻す切戻しの方法を、計画書で事前に整理しておく必要があります。
受験者適切なのは機能追加の記述だけなので、それだけを挙げた選択肢が正解ですね。計画書は事前に作成して合意を得る、報告書は事後に作る、と分けて覚えます。
講師それで判断できます。導入計画書には、スケジュール、手順、必要な資源、失敗したときの対処などを盛り込みます。リスクを軽くするための文書なので、どんな条件が付いていても導入前に作成と合意を済ませる、と押さえておきましょう。
まとめ
ソフトウェア導入作業では、導入計画書を導入の前に作成し、関係者の合意も導入の前に得ることが原則です。新規開発か機能追加か、自社開発か外注かといった条件に関係なく、この原則は変わりません。導入作業の後に作成するのは導入報告書で、導入計画書ではありません。自社開発の記述は計画書の作成が導入前である点は正しいものの、合意を導入後にしている点が誤りです。適切な記述は、稼働中のソフトウェアに機能追加する際に計画書の作成と合意を済ませてから導入するものだけです。
解答・解説
正解はエです
この問題のテーマ
ソフトウェアを導入するとき、導入計画書をいつ作り、いつ関係者の合意を得るかを選ぶ問題です。導入後に作る導入報告書との役割の違いも問われています。
解き方の考え方
最初に、導入計画書は導入の前に作成し、合意も導入の前に得る、という原則を確かめます。次に、この原則に記述a〜dを一つずつ照らします。aは計画書を作らない点、bは計画書を導入後に作る点、cは合意を導入後に得る点が原則に反するので誤りです。dは導入前に作成と合意を済ませているので適切です。したがって、適切なのはdだけで、正解はエです。
選択肢ごとの解説
- ×ア a,caとcを挙げた組合せです。aは「新規開発なら計画書を作らない」としますが、新規開発でも計画書は必要なので誤りです。計画なしに導入すると、業務停止やデータ移行の失敗を招くおそれがあります。cは「自社開発なら合意は導入後でよい」としますが、影響が社内に限られていても合意は導入前に得るので誤りです。したがって、アは不正解です。
- ×イ b,c,db、c、dを挙げた組合せです。dは適切ですが、bとcは誤りです。bは導入作業の後に導入計画書を作成するとしており、計画書は事前に作って合意を得るという原則に反します。cも計画書の合意を導入後にしており、同じ原則に反します。したがって、イは不正解です。
- ×ウ b,dbとdを挙げた組合せです。bは導入報告書と並べているため正しそうに見えますが、導入計画書を導入後に作成している点が誤りです。導入後に作るのは導入報告書だけです。したがって、ウは不正解です。
- ○エ ddだけを挙げた組合せです。dは、稼働中のソフトウェアに機能追加する場合も、計画書を作成し合意を得てから導入するとしており、原則どおりで適切です。機能追加では、既存業務への影響や切戻し(元の状態に戻すこと)の方法を計画書で事前に整理しておく必要があります。したがって、エが正解です。
補足
「新規だから」「自社開発で影響が社内だけだから」といった条件を付けて、事前の手続きを省けるように見せる記述があります。導入計画書はリスクを軽くするための文書なので、条件に関係なく導入前に作成と合意を済ませる、と覚えておけば判断できます。
POINT
- 導入計画書は導入作業の前に作成し、関係者の合意も導入前に得ます。
- 新規か変更か、自社開発か外注かにかかわらず、導入計画書は必要です。
- 導入計画書には、スケジュール、手順、必要な資源、失敗したときの対処などを盛り込みます。
- 導入作業の実施後に作成するのは導入報告書です。
