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バイオメトリクス認証の他人受入率と本人拒否率の考え方

ITパスポート試験 令和7年度 問69 / セキュリティ › 情報セキュリティ対策・実装技術

過去問にチャレンジ

令和7年度 問69

バイオメトリクス認証の他人受入率と本人拒否率に関する次の記述中のa,bに入れる字句の適切な組合せはどれか。 バイオメトリクス認証の認証精度において,他人受入率を低く抑えようとするとaが高くなり,本人拒否率を低く抑えようとするとbが高くなる。

令和7年度 問69の図
  1. ア

    a:安全性、b:可用性

  2. イ

    a:安全性、b:利便性

  3. ウ

    a:利便性、b:安全性

  4. エ

    a:利便性、b:可用性

会話形式の解説

講師講師
今回はバイオメトリクス認証、つまり指紋や顔などの身体的な特徴を使う認証の精度がテーマです。ポイントは、他人受入率と本人拒否率がそれぞれ何を表す確率なのかを正しく押さえることです。
受験者受験者
名前が似ていて、私はいつもどちらがどちらか混乱します。漢字をそのまま読めばいいのでしょうか。
講師講師
はい、漢字のとおりで大丈夫です。他人受入率は、他人を誤って本人と認めて受け入れてしまう確率です。本人拒否率は、本人なのに誤って拒否してしまう確率です。
受験者受験者
そうすると、他人受入率を低くすれば他人がなりすましにくくなるので、高まるのは安全性ですね。
講師講師
そのとおりです。では、本人拒否率を低くすると何が良くなるでしょうか。
受験者受験者
本人がすんなり通れるようになります。止まらずに使えるという意味で、可用性かと一瞬迷いました。
講師講師
そこが引っかけです。可用性は、システムが止まらずに必要なときに使える度合いを指す言葉です。本人が誤って拒否されにくいかどうかとは別の観点なので、ここで高まるのは使いやすさ、つまり利便性です。
受験者受験者
なるほど。それなら、bを可用性にしている組合せは、aが安全性で合っていても誤りになりますね。
講師講師
はい。aを利便性にしてbを可用性にした組合せも、aもbも合いません。aが利便性でbが安全性という組合せは、対応が逆になっています。他人受入率を下げると判定が厳しくなるので、本人も拒否されやすくなり、利便性はむしろ下がります。
受験者受験者
ということは、aが安全性、bが利便性の組合せが正解ですね。片方を下げると、もう片方が上がるという関係なのでしょうか。
講師講師
そうです。2つの率はトレードオフの関係にあります。判定基準を厳しくすると他人受入率は下がりますが本人拒否率は上がり、基準を緩くするとその逆になります。用途に応じて、安全性と利便性のどちらを重視するかを考えて、判定のしきい値を設定します。
受験者受験者
可用性は情報セキュリティの3要素の一つなので、もっともらしく見えたのだと分かりました。
講師講師
はい。3要素の一つだからといって選ばず、本人拒否率が下がると何が良くなるのかを具体的に考えれば、利便性にたどり着けます。英語の略語では、他人受入率がFAR、本人拒否率がFRRと表されることも覚えておきましょう。

まとめ

バイオメトリクス認証の他人受入率は他人を誤って本人と認める確率で、低く抑えるほど安全性が高まります。本人拒否率は本人を誤って拒否する確率で、低く抑えるほど利便性が高まります。そのため、aに安全性、bに利便性を入れる組合せが正解です。2つの率はトレードオフの関係にあり、判定基準を厳しくすると他人受入率が下がる一方で本人拒否率が上がります。選択肢の「可用性」はシステムが必要なときに使える度合いを指す言葉で、本人が拒否されにくいこととは別の観点です。

解答・解説

正解はイです

この問題のテーマ

バイオメトリクス認証の精度を表す他人受入率と本人拒否率が、それぞれ安全性と利便性のどちらに関係するかを問う問題です。2つの指標がトレードオフの関係にあることを理解しているかが問われています。

解き方の考え方

まず、2つの用語の意味を確認します。他人受入率は他人を誤って本人と認めてしまう確率で、本人拒否率は本人を誤って拒否してしまう確率です。他人受入率を低くすると他人がなりすましにくくなるので、高まるのは安全性です。本人拒否率を低くすると本人がすんなり認証されるので、高まるのは使いやすさ、つまり利便性です。したがって、aが安全性でbが利便性のイが正解です。

選択肢ごとの解説

  1. ×ア  a:安全性、b:可用性
    aの安全性は正しいものの、bに入れた可用性が合いません。可用性はシステムが止まらずに必要なときに使える度合いを指す言葉で、本人が誤って拒否されにくいかどうかとは別の観点です。本人拒否率を下げて高まるのは利便性です。
  2. ○イ  a:安全性、b:利便性
    他人受入率を下げると他人を誤って受け入れにくくなるため、安全性が高まります。本人拒否率を下げると本人が拒否されにくくなるため、利便性が高まります。a・bともに内容と合っているので、この組合せが正解です。
  3. ×ウ  a:利便性、b:安全性
    aに利便性、bに安全性を入れており、正しい対応と逆になっています。他人受入率を下げると判定が厳しくなるため本人も拒否されやすくなり、利便性はむしろ下がります。
  4. ×エ  a:利便性、b:可用性
    他人受入率を下げて直接高まるのは安全性であり、aの利便性は誤りです。bの可用性も、本人拒否率とは結び付かない観点なので当てはまりません。

補足

判定基準を厳しくすると他人受入率は下がりますが、本人拒否率は上がります。逆に基準を緩くすると本人拒否率は下がりますが、他人受入率は上がります。選択肢に紛れ込んでいる「可用性」は情報セキュリティの3要素の一つでもあるため、もっともらしく見えます。しかし、本人が拒否されにくいことを指す言葉ではない点に注意しましょう。

POINT

  • 他人受入率(FAR)は他人を本人と誤って認める確率で、低いほど安全性が高くなります。
  • 本人拒否率(FRR)は本人を誤って拒否する確率で、低いほど利便性が高くなります。
  • 2つの率はトレードオフの関係にあり、判定のしきい値を調整すると両者のバランスが変わります。
  • 用途に応じて、安全性と利便性のどちらを重視するかを考えてしきい値を設定することが大切です。

※出典:令和7年度 ITパスポート試験 問69(一部改変)