機械学習とは何か、似た技術とどう見分けるか
基本情報技術者試験 平成30年度秋期 午前 問3 / 基礎理論 › 情報に関する理論
過去問にチャレンジ
AIにおける機械学習の説明として,最も適切なものはどれか。
- ア
記憶したデータから特定のパターンを見つけ出すなどの,人が自然に行っている学習能力をコンピュータにもたせるための技術
- イ
コンピュータ,機械などを使って,生命現象や進化のプロセスを再現するための技術
- ウ
特定の分野の専門知識をコンピュータに入力し,入力された知識を用いてコンピュータが推論する技術
- エ
人が双方向学習を行うために,Webシステムなどの情報技術を用いて,教材や学習管理能力をコンピュータにもたせるための技術
会話形式の解説
講師今回は、AIの代表的な手法である機械学習がどんな技術かを問う問題です。似た技術の説明が並んでいるので、「学習するのはコンピュータか人か」と「判断の規則をデータから導くのか、人が与えるのか」の2点に注目して読んでみてください。
受験者私は、専門知識をコンピュータに入力して推論させる説明も機械学習っぽいと思いました。知識を覚えさせているので、学習と言えそうな気がします。
講師そこが紛らわしいところです。その説明はエキスパートシステムのものです。エキスパートシステムは、専門家の知識や判断の規則を人が入力し、コンピュータはそれを使って推論します。規則を用意しているのは誰でしょうか。
受験者人ですね。コンピュータは与えられた規則を使うだけで、自分で規則を見つけているわけではありません。
講師そのとおりです。機械学習では、動作の規則を人が一つ一つ決めずに、アルゴリズムがデータから規則やパターンを見つけ出します。ここがエキスパートシステムとの決定的な違いです。
受験者そうすると、記憶したデータからパターンを見つけ出すという人の学習能力をコンピュータにもたせる、という説明が当てはまりそうです。学習するのはコンピュータで、規則もデータから得ています。
講師2点ともそろっていますね。それが正解です。こうして身に付けた能力を、分類や予測に使います。残りの選択肢も確認しましょう。生命現象や進化のプロセスを再現する技術は何だと思いますか。
受験者生命のふるまいを再現するのが目的なので、データからパターンを学ぶ話とは違う気がします。
講師はい、それは人工生命の説明です。目的が生命の再現なので、機械学習とは定義が違います。もう一つ、Webシステムなどで教材や学習管理を提供する技術はどうでしょう。「学習」という語が入っています。
受験者双方向学習を行うのは人なので、学習する主体が人です。コンピュータは支える役なので、機械学習ではありませんね。
講師正確です。これはITで人の学習を支えるEdTechに当たります。「学習」という語に引っ張られず、学習するのが人かコンピュータかを確かめるのが大切です。
受験者整理すると、機械学習はコンピュータがデータから規則を見つける技術、エキスパートシステムは人が与えた知識で推論する技術、人工生命は生命の再現、EdTechは人の学習の支援、ということですね。
講師そのとおりです。補足すると、機械学習の学習方法には教師あり学習、教師なし学習、強化学習があります。多層のニューラルネットワークを使う深層学習、いわゆるディープラーニングも機械学習の一分野です。あわせて覚えておくと、関連する問題にも対応しやすくなります。
まとめ
機械学習は、データからパターンや規則を見つけ出す能力をコンピュータにもたせる技術で、動作の規則を人が一つ一つ決めない点が特徴です。専門家の知識を人が入力して推論させるエキスパートシステムとは、規則を誰が用意するかで区別します。生命や進化の再現は人工生命、ITで人の学習を支える技術はEdTechで、「学習」という語があっても学習するのが人なら機械学習ではありません。判断に迷ったら「学習するのはコンピュータか人か」「規則はデータから導くのか人が与えるのか」の2点で確かめます。
解答・解説
正解はアです
この問題のテーマ
AIの代表的な手法の一つである機械学習が、どのような技術かを問う問題です。人工生命、エキスパートシステム、学習支援の技術と区別できるかがポイントです。
解き方の考え方
機械学習は「コンピュータ自身がデータから規則やパターンを見つけ出す技術」です。そこで各選択肢を、「学習するのはコンピュータか人か」と「判断の規則をデータから導くのか、人が与えるのか」の2点で見分けます。この2点をどちらも満たす説明が正解です。
選択肢ごとの解説
- ○ア 記憶したデータから特定のパターンを見つけ出すなどの,人が自然に行っている学習能力をコンピュータにもたせるための技術アは、データからパターンを見つけ出すという人の学習能力をコンピュータにもたせる技術だと説明しています。学習するのはコンピュータで、規則はデータから得られるので、機械学習の説明として当てはまります。こうして身に付けた能力を、分類や予測に使います。
- ×イ コンピュータ,機械などを使って,生命現象や進化のプロセスを再現するための技術イの「生命現象や進化のプロセスを再現する技術」は、人工生命の説明です。生命のふるまいを再現することが目的で、データからパターンを学ぶ技術とは定義が違います。
- ×ウ 特定の分野の専門知識をコンピュータに入力し,入力された知識を用いてコンピュータが推論する技術ウの「専門知識を入力し、その知識で推論する技術」は、エキスパートシステムの説明です。この方式では判断の知識や規則を人が与えます。一方、機械学習では規則をコンピュータがデータから導きます。
- ×エ 人が双方向学習を行うために,Webシステムなどの情報技術を用いて,教材や学習管理能力をコンピュータにもたせるための技術エは、Webシステムなどを使って、人が双方向に学ぶための教材や学習管理を提供する技術の説明で、EdTechに当たります。学習するのは人で、コンピュータはそれを支える役です。コンピュータ自身が学習する機械学習とは、学習する主体が違います。
補足
機械学習の学習方法には、教師あり学習、教師なし学習、強化学習があります。多層のニューラルネットワークを使う深層学習(ディープラーニング)も、機械学習の一分野です。「学習」という語が出てきても、学習するのが人の場合は機械学習ではない点に注意してください。
POINT
- 機械学習は、データからパターンや規則を見つける能力をコンピュータにもたせる技術です。
- 機械学習では動作の規則を人が一つ一つ決めず、アルゴリズムがデータから見つけます。
- 専門家の知識を人が与えて推論させる技術はエキスパートシステムで、機械学習とは区別します。
- 生命や進化の再現は人工生命、ITで人の学習を支える技術はEdTechです。
