ABC分析とは何か、三つの観点で見る他の分析手法との見分け方
ITパスポート試験 令和3年度 問21 / 企業活動 › 業務分析・データ利活用
過去問にチャレンジ
ABC分析の事例として,適切なものはどれか。
- ア
顧客の消費行動を,時代,年齢,世代の三つの観点から分析する。
- イ
自社の商品を,売上高の高い順に三つのグループに分類して分析する。
- ウ
マーケティング環境を,顧客,競合,自社の三つの観点から分析する。
- エ
リピート顧客を,最新購買日,購買頻度,購買金額の三つの観点から分析する。
会話形式の解説
講師今回はABC分析がどんな手法かを問う問題です。選択肢はどれも「三つ」が出てくるので、数ではなく、何を基準に分けているかに注目してください。
受験者私も全部「三つ」なので迷いました。ABCが三文字なので、三つの観点から分析する手法だと思っていたのですが、違うのでしょうか。
講師そこがよくある誤解です。ABC分析は観点を三つ使うのではありません。売上高などの一つの指標で対象を大きい順に並べ、累積構成比、つまり上から順に足し合わせた割合を使って、A・B・Cの三つのグループに分ける手法です。
受験者指標は一つで、分けた結果が三つになるということですね。それなら、商品を売上高の高い順に三つのグループに分ける選択肢が当てはまりそうです。
講師そのとおりです。売上高を指標にして大きい順に並べ、A・B・Cに区分します。そうすると、重点的に管理すべき商品がはっきりします。これが正解です。
受験者残りは複数の観点を並べているので違う、と考えればよいですか。ただ、それぞれ何という手法なのかは自信がありません。
講師考え方はそれで合っています。名前も確認しておきましょう。顧客・競合・自社の三つの観点からマーケティング環境を見るのは3C分析です。事業を取り巻く環境を把握するための手法で、対象に順位を付けて分けるものではありません。
受験者3Cは顧客、競合、自社の英語の頭文字ですね。では、最新購買日、購買頻度、購買金額で顧客を見るほうは何でしょうか。
講師それはRFM分析です。三つの観点から、顧客を購買行動の面で評価します。顧客を扱っているので紛らわしいのですが、一つの指標で大きい順に区分するABC分析とは別の手法です。
受験者時代、年齢、世代から消費行動を見る選択肢は、まだ名前が浮かびません。
講師それはコーホート分析です。同じ時期に生まれた集団などに注目して、変化を読み取る手法です。こちらも大きい順に区分するABC分析とは違います。
受験者整理すると、一つの指標で順位を付けてA・B・Cに分けるのがABC分析です。複数の観点を並べている選択肢は、コーホート分析、3C分析、RFM分析のどれかということですね。
講師よくまとまっています。補足すると、ABC分析は、少数の項目が全体の大部分を占めるというパレートの法則の考え方にもとづいています。分析にはパレート図がよく使われます。項目を大きい順に並べた棒グラフに、累積構成比の折れ線を重ねた図です。なお、A・B・Cを分ける境界の割合は決まっておらず、目的に応じて設定します。
まとめ
ABC分析は、売上高などの一つの指標で対象を大きい順に並べ、累積構成比を使ってA・B・Cの三つに区分する手法です。目的は、管理対象に優先順位を付けて、重要なものに力を集中させることです。この問題では、商品を売上高の高い順に三つのグループに分ける例がABC分析にあたります。時代・年齢・世代はコーホート分析、顧客・競合・自社は3C分析、最新購買日・購買頻度・購買金額はRFM分析なので、「三つ」という共通点ではなく、何を基準に分けているかで見分けることが大切です。
解答・解説
正解はイです
この問題のテーマ
ABC分析がどのような手法かを理解し、よく似た「三つの観点・区分」で行う他の分析手法と見分けられるかを問う問題です。
解き方の考え方
まず、ABC分析は対象を指標の大きい順に並べ、累積構成比を使ってA・B・Cの三つに区分する手法だと確認します。次に、各選択肢が「一つの指標で順位付けしてグループに分けているか」、それとも「複数の観点から分析しているか」を見ます。複数の観点を挙げている選択肢は、それぞれコーホート分析、3C分析、RFM分析にあたるので、ABC分析の事例ではないと判断できます。
選択肢ごとの解説
- ×ア 顧客の消費行動を,時代,年齢,世代の三つの観点から分析する。アの、時代・年齢・世代の三つの観点から消費行動を見る方法はコーホート分析です。同じ時期に生まれた集団などに注目して変化を読み取る手法で、指標の大きい順に区分するABC分析とは違います。
- ○イ 自社の商品を,売上高の高い順に三つのグループに分類して分析する。イの、商品を売上高の高い順に三つのグループに分ける方法はABC分析です。売上高を指標にして大きい順に並べ、累積構成比でA・B・Cに区分することで、重点的に管理すべき商品を明らかにできます。
- ×ウ マーケティング環境を,顧客,競合,自社の三つの観点から分析する。ウの、顧客・競合・自社の三つの観点からマーケティング環境を分析する方法は3C分析です。事業を取り巻く環境を把握するための手法で、対象を順位付けして区分するものではありません。
- ×エ リピート顧客を,最新購買日,購買頻度,購買金額の三つの観点から分析する。エの、最新購買日・購買頻度・購買金額の三つの観点で顧客を分析する方法はRFM分析です。顧客を購買行動の面から評価する手法で、一つの指標で大きい順に区分するABC分析とは異なります。
補足
ABC分析は、少数の項目が全体の大部分を占めるというパレートの法則の考え方にもとづいています。分析にはパレート図がよく使われます。これは、項目を大きい順に並べた棒グラフに、累積構成比の折れ線を重ねた図です。この問題では「三つ」という共通点に惑わされず、観点や指標の中身で見分けましょう。
POINT
- ABC分析は、対象を売上高などの指標の大きい順に並べ、累積構成比を使ってA・B・Cの三つに区分する手法です。
- ABC分析の目的は、管理対象に優先順位を付け、重要なものに力を集中させることです。
- A・B・Cを分ける境界の割合は決まっておらず、目的に応じて設定します。
- 時代・年齢・世代はコーホート分析、顧客・競合・自社は3C分析、最新購買日・購買頻度・購買金額はRFM分析です。
