AIの学習データ、偏りを減らし品質を保つ対策を見分ける
ITパスポート試験 令和7年度 問8 / 企業活動 › 業務分析・データ利活用
過去問にチャレンジ
AIの機械学習で利用するデータの取扱いに関する記述のうち、バイアスの低減やデータの品質を確保するために考えられる対策として、適切なものだけを全て挙げたものはどれか。 a 学習の目的に適したデータであることを確認する。 b データの入手元・作成来歴を確認する。 c データへのアノテーションの付与は学習目的に合わせて実施する。 d 人間の目でも同定が困難と考えられる画像認識用のデータは除外する。
- ア
a,b
- イ
a,b,c,d
- ウ
a,d
- エ
b,c,d
会話形式の解説
講師今回はAIの機械学習で使う学習データの扱い方がテーマです。4つの記述が、それぞれ「偏りを減らすこと」や「データの品質を保つこと」につながるかを、一つずつ判定していきましょう。
受験者学習の目的に合ったデータかを確かめることと、データの入手元や作成来歴を確かめることは、どちらも当然やるべきことに見えます。
講師そのとおりです。目的に合わないデータが混じると誤った学習や偏りの原因になります。入手元や来歴を確かめれば、データが信頼できるか、集め方による偏りがないかを把握しやすくなります。どちらも基本の対策です。
受験者次のアノテーションという言葉がよく分かりません。注釈のような意味でしょうか。
講師近い考え方です。アノテーションは、データに意味づけの情報、つまりラベルを付ける作業です。たとえば画像に「これは犬」といった正解を付けます。学習目的に合わせて付ければ、AIに正しい教師情報を与えられます。
受験者それなら適切ですね。迷うのは最後の、人間の目でも見分けにくい画像を除外するという記述です。データを減らすと学習に悪そうな気がします。
講師そこが引っかかりやすい点です。人間でも判別しにくい画像は正しいラベルを付けにくく、誤学習の原因になります。ノイズになるデータを取り除くことになるので、品質の確保として適切です。
受験者そうすると4つとも適切なので、すべてを含む組合せが正解ですね。2つだけの組合せや、目的への適合の確認が抜けた組合せは足りないということでしょうか。
講師はい。目的への適合と出所の確認だけの組合せも、目的への適合と画像の除外だけの組合せも、ほかの適切な対策が抜けています。残りの3つを選んだ組合せは、目的に合ったデータかの確認という基本が欠けています。
受験者「適切なものだけを全て」という聞き方だと、どれかを外さないといけないと思い込んでいました。
講師この形式では、全部が適切という組合せも正解になりえます。また、学習データの品質はAIの性能や信頼性に直結し、データが偏っていると予測や判断も偏って、特定の集団に不当な影響を与えるおそれがあります。この点も押さえておきましょう。
まとめ
AIの機械学習では、学習データの品質がモデルの性能や信頼性に直結し、データの偏りは予測や判断の偏りにつながります。学習目的に合ったデータかの確認と、入手元・作成来歴の確認は、信頼性や偏りを把握するための基本の対策です。アノテーション(データへのラベル付け)を学習目的に合わせて行うと、正しい教師情報を与えられます。人間でも判別しにくい画像は正しいラベルを付けにくくノイズになるため、除外すると品質の確保につながります。4つの記述はすべて適切なので、すべてを含む組合せが正解です。
解答・解説
正解はイです
この問題のテーマ
AIの機械学習で使う学習データについて、バイアスを減らしデータの品質を保つために適切な対策を見分ける問題です。
解き方の考え方
まず記述a〜dを一つずつ、偏りの防止や品質の確保につながるかどうかで判定します。aの学習目的に合ったデータかの確認と、bの入手元・作成来歴の確認は、データが適切で信頼できるかを確かめる基本の対策です。cのアノテーション(ラベル付け)を学習目的に合わせることは、正しい教師情報を与えることにつながります。dの人間でも見分けにくい画像の除外は、ノイズを取り除いて品質を高めます。4つとも適切なので、すべてを含む組合せを選びます。
選択肢ごとの解説
- ×ア a,b目的への適合(a)と入手元・来歴の確認(b)だけの組合せです。目的に合わせたアノテーション(c)と、識別しにくい画像の除外(d)も適切な対策なので、この組合せでは足りません。
- ○イ a,b,c,da〜dの4つをすべて含む組合せです。目的に合ったデータの確認、出所と来歴の確認、目的に沿ったラベル付け、ノイズになるデータの除外は、どれもバイアスの低減やデータ品質の確保に役立ちます。
- ×ウ a,d目的への適合(a)と識別しにくい画像の除外(d)だけの組合せです。入手元・来歴の確認(b)と、目的に合わせたアノテーション(c)も適切なので、この組合せでは足りません。
- ×エ b,c,db、c、dの組合せで、学習目的に適したデータかの確認(a)が抜けています。aは目的外のデータが混じることによる誤学習や偏りを防ぐ基本の対策なので、外すことはできません。
補足
「適切なものだけを全て」という形式では、すべて適切という組合せも正解になりえます。dの「データを除外する」は、データを減らすので一見よくない対策に見えますが、ラベルがあいまいなデータは誤学習の原因になるため、品質の確保として適切です。
POINT
- 学習データの品質は、AIモデルの性能や信頼性に直結します。
- 学習データに偏りがあると予測や判断も偏り、特定の集団に不当な影響を与えるおそれがあります。
- アノテーションとは、データに意味づけの情報(ラベル)を付ける作業で、学習目的に合わせて行います。
- データの入手元や作成来歴を確認すると、信頼性や収集方法による偏りを把握しやすくなります。
- 人間でも識別が難しいデータはノイズになりやすく、除外すると品質の向上につながります。
