ランサムウェアとは?バックドア・MITB・ワームとの違い
ITパスポート試験 令和6年度 問98 / セキュリティ › 情報セキュリティ
過去問にチャレンジ
ランサムウェアに関する記述として,最も適切なものはどれか。
- ア
PCに外部から不正にログインするための侵入路をひそかに設置する。
- イ
PCのファイルを勝手に暗号化し,復号のためのキーを提供することなどを条件に金銭を要求する。
- ウ
Webブラウザを乗っ取り,オンラインバンキングなどの通信に割り込んで不正送金などを行う。
- エ
自らネットワークを経由して感染を広げる機能をもち,まん延していく。
会話形式の解説
講師今回はランサムウェアの説明を選ぶ問題です。選択肢には、ほかのマルウェア(悪意のあるソフトウェア)や攻撃手法の説明も並んでいます。それぞれが何の説明なのかを見分けられるかがポイントです。
受験者カタカナのマルウェア名が多くて、私はいつも混ざってしまいます。ランサムウェアは、名前から手がかりをつかめるのでしょうか。
講師つかめます。ランサムは英語で「身代金」という意味です。データを人質に取って金銭を要求するマルウェアなので、「暗号化」と「金銭要求」の両方が書かれている選択肢を探せば答えにたどり着けます。
受験者それなら、ファイルを勝手に暗号化して、復号のキーと引き換えにお金を求める選択肢ですね。
講師そのとおりです。これがランサムウェアの典型的な振る舞いで、身代金要求型ウイルスとも呼ばれます。では、残りの選択肢が何の説明か確かめておきましょう。
受験者外部から不正にログインする侵入路をひそかに設置するというのは、裏口のようなものでしょうか。
講師はい、それはバックドアです。正規の認証手順を通らずに侵入するための裏口のことです。ブラウザを乗っ取ってオンラインバンキングの通信に割り込み、不正送金を行うのはMITB(Man-in-the-Browser)攻撃です。どちらも、データを人質に取るランサムウェアとは目的が違います。
受験者ネットワークを経由して自分で感染を広げる選択肢は、ランサムウェアでもありそうに思えて迷いました。
講師そこは迷いやすいところですね。自分で感染を広げる機能をもつランサムウェアもあります。ただ、この記述はワームの定義そのものです。ランサムウェアの定義としては適切ではありません。
受験者整理すると、裏口はバックドア、ブラウザを乗っ取っての不正送金はMITB攻撃、自分で広がるのはワーム、暗号化して身代金を求めるのがランサムウェア、ということですね。
講師よく整理できています。補足すると、ランサムウェアには暗号化ではなく端末の操作をロックする型もあります。身代金を払ってもデータが戻る保証はないので、端末から切り離した場所にバックアップを保管しておくのが有効な備えです。盗んだデータを公開するとほのめかして金銭を要求する二重脅迫型の手口も知られています。
まとめ
ランサムウェアは、ファイルを勝手に暗号化し、復号と引き換えに金銭を要求する身代金要求型のマルウェアです。名前の「ランサム」は身代金という意味で、「暗号化」と「金銭要求」がそろっている説明を選ぶのがコツです。正規の認証を通らずに侵入する裏口はバックドア、ブラウザを乗っ取って不正送金を行うのはMITB攻撃、ネットワーク経由で自ら感染を広げるのはワームの説明です。身代金を払ってもデータが戻る保証はないため、端末から切り離した場所にバックアップを保管しておくことが有効な対策になります。
解答・解説
正解はイです
この問題のテーマ
ランサムウェアの正しい説明を選ぶ問題です。あわせて、バックドア、MITB攻撃、ワームといった、ほかのマルウェアや攻撃手法と区別できるかも問われています。
解き方の考え方
まず名前の成り立ちを思い出します。ランサムウェアは「身代金(ransom)」と「ware」を組み合わせた語で、データを人質に取って金銭を要求するマルウェアです。そのため、選択肢の中から「暗号化」と「金銭要求」の両方が書かれているものを探せば答えにたどり着けます。残りの選択肢についても、それぞれ何の説明なのかを言えるようにしておくと、似た問題にも対応できます。
選択肢ごとの解説
- ×ア PCに外部から不正にログインするための侵入路をひそかに設置する。アの「外部から不正にログインするための侵入路をひそかに設置する」という説明は、バックドアのことです。バックドアは、正規の認証手順を通らずに侵入するための裏口です。ファイルを人質にして金銭を要求するランサムウェアとは、目的が違います。
- ○イ PCのファイルを勝手に暗号化し,復号のためのキーを提供することなどを条件に金銭を要求する。イの「ファイルを勝手に暗号化し、復号のキーを提供することを条件に金銭を要求する」という説明は、ランサムウェアの典型的な振る舞いそのものです。データを使えない状態にして身代金を求めることから、身代金要求型ウイルスとも呼ばれます。これが正解です。
- ×ウ Webブラウザを乗っ取り,オンラインバンキングなどの通信に割り込んで不正送金などを行う。ウの「Webブラウザを乗っ取り、オンラインバンキングなどの通信に割り込んで不正送金を行う」という説明は、MITB(Man-in-the-Browser)攻撃のことです。不正送金を目的とする手口であり、データを人質に取るランサムウェアとは目的が違います。
- ×エ 自らネットワークを経由して感染を広げる機能をもち,まん延していく。エの「自らネットワークを経由して感染を広げ、まん延していく」という性質は、ワームの特徴です。自分で感染を広げる機能をもつランサムウェアもありますが、すべてのランサムウェアに当てはまるわけではありません。ランサムウェアを特徴づける説明とはいえないため、最も適切なものにはなりません。
補足
身代金を支払っても、データが元に戻る保証はありません。そのため、ランサムウェアへの備えとしては、端末から切り離した場所にバックアップを保管しておくことが有効です。また、盗んだデータを公開するとほのめかして金銭を要求する「二重脅迫型」の手口も知られています。
POINT
- ランサムウェアは身代金要求型のマルウェアで、ファイルを無断で暗号化し、元に戻すことと引き換えに金銭を要求します。
- 暗号化の代わりに端末の操作をロックして、利用できなくする型もあります。
- 正規の認証を通らずに侵入するための裏口はバックドアです。
- ブラウザを乗っ取って通信に割り込み、不正送金などを行う手口はMITB攻撃です。
- ネットワークを経由して自ら感染を広げるのはワームの特徴です。
