マナビング基本情報技術者

集合の分配法則と反例で「常に成立する等式」を見分ける

基本情報技術者試験 平成29年度春期 午前 問1 / 基礎理論 › 離散数学

過去問にチャレンジ

平成29年度春期 午前 問1

集合A,B,Cを使った等式のうち,集合A,B,Cの内容によらず常に成立する等式はどれか。ここで,∪は和集合,∩は積集合を示す。

  1. ア

    (A∪B) ∩ (A∩C) = B ∩ (A∪C)

  2. イ

    (A∪B)∩C = (A∪C)∩(B∪C)

  3. ウ

    (A∩C)∪(B∩A) = (A∩B)∪(B∩C)

  4. エ

    (A∩C)∪(B∩C) = (A∪B)∩C

会話形式の解説

講師講師
今回は、集合の和集合と積集合を組み合わせた等式から、どんな集合でも成り立つものを選ぶ問題です。注目点は分配法則と、「常に成立するか」の確かめ方です。
受験者受験者
四つとも似た形なので、ベン図を描いて全部比べようとすると時間がかかりそうです。計算問題は手が遅いので、もっと速い見分け方はありますか。
講師講師
成り立ちそうな式は分配法則で変形して一致を確かめ、怪しい式は反例を一つ作ります。「常に成立する」が問われているので、崩れる例が一つでも見つかればその等式は外せます。反例には、要素が1個の集合や空集合を使うと計算が楽です。
受験者受験者
では、左辺と右辺の両方に∪と∩がある式から試します。(A∪B)∩C と (A∪C)∩(B∪C) の等式は、分配法則っぽく見えるので正しい気がします。
講師講師
形は似ていますが、A=B={1}、Cを空集合にして計算してみてください。
受験者受験者
左辺はCとの共通部分なので空集合です。右辺は {1}∩{1} で {1} になります。一致しないので、この等式は誤りですね。
講師講師
そのとおりです。正しい分配法則は A∪(B∩C)=(A∪B)∩(A∪C) のように、∪と∩の位置が入れ替わる形です。この選択肢は外側の演算を取り違えた形になっています。
受験者受験者
次に (A∪B)∩(A∩C) と B∩(A∪C) の等式です。右辺は全体がBとの共通部分なので、Bを空集合にすれば崩れそうです。A=C={1}、B=空集合だと、左辺は {1}∩{1} で {1}、右辺は空集合になります。
講師講師
よい着眼点です。同じ反例で、(A∩C)∪(B∩A) と (A∩B)∪(B∩C) の等式も確かめられますか。
受験者受験者
左辺は A∩C={1} を含むので {1} です。右辺はどちらの項にもBが入っているので空集合です。これも成り立ちません。
講師講師
残るのは (A∩C)∪(B∩C) と (A∪B)∩C の等式です。左辺の二つの項に共通する集合は何でしょうか。
受験者受験者
Cです。Cでくくると (A∪B)∩C になって、右辺と一致します。要素で考えても、左辺は「Cに属し、AかBに属する」要素なので、右辺の条件と同じですね。
講師講師
はい、これが積集合の和集合に対する分配法則で、正解はこの等式です。補足すると、∪は論理演算のOR、∩はANDに対応するので、論理式の分配律 C∧(A∨B)=(C∧A)∨(C∧B) と同じ形です。時間に余裕があれば、ベン図で左右の領域を塗り分けて比べる方法でも確認できます。

まとめ

この問題は、集合A、B、Cの内容によらず常に成り立つ等式を選ぶもので、正解は (A∩C)∪(B∩C)=(A∪B)∩C です。左辺を共通するCでくくると右辺と一致し、積集合の和集合に対する分配法則そのものになります。ほかの等式は、要素1個の集合と空集合を使った反例で崩れることを確かめられます。特に (A∪B)∩C=(A∪C)∩(B∪C) は分配法則に似ていますが、∪と∩の位置を取り違えた形なので注意が必要です。

解答・解説

正解はエです

この問題のテーマ

集合A、B、Cがどんな内容でも成り立つ等式を選ぶ問題です。集合演算の分配法則を理解しているかが問われています。

解き方の考え方

成り立つと思える式は、分配法則で片方の辺を変形し、もう片方と一致するか確かめます。成り立たないと思える式は、小さな集合で反例を一つ作れば否定できます。ここでは要素が1個の集合と空集合を使い、左辺と右辺を実際に計算して比べます。

選択肢ごとの解説

  1. ×ア  (A∪B) ∩ (A∩C) = B ∩ (A∪C)
    「(A∪B)∩(A∩C)」と「B∩(A∪C)」の等式は、A=C={1}、B=空集合とすると崩れます。左辺はA∪B={1}とA∩C={1}の共通部分なので{1}です。右辺はBが空なので空集合になり、両辺が一致しません。
  2. ×イ  (A∪B)∩C = (A∪C)∩(B∪C)
    「(A∪B)∩C」と「(A∪C)∩(B∪C)」の等式は、A=B={1}、C=空集合で確かめられます。左辺はCが空なので空集合です。右辺は{1}∩{1}={1}となるため、等式は成り立ちません。
  3. ×ウ  (A∩C)∪(B∩A) = (A∩B)∪(B∩C)
    「(A∩C)∪(B∩A)」と「(A∩B)∪(B∩C)」の等式は、A=C={1}、B=空集合とすると崩れます。左辺はA∩C={1}を含むので{1}です。右辺はどちらの項にもBが入っているので空集合になります。
  4. ○エ  (A∩C)∪(B∩C) = (A∪B)∩C
    「(A∩C)∪(B∩C)」は、両方の項に共通するCでくくると(A∪B)∩Cになり、右辺と一致します。要素で考えても、左辺の要素は「Cに属し、AかBに属する」要素であり、これは右辺の条件と同じです。したがって、A、B、Cの内容によらず成り立ちます。

補足

集合の∪と∩は、論理演算のOR(∨)とAND(∧)に対応します。そのため、エの等式は論理式の分配律C∧(A∨B)=(C∧A)∨(C∧B)と同じ形です。ベン図で左右の領域を塗り分けて比べる方法でも確認できます。

POINT

  • 積集合は和集合に対して分配でき、A∩(B∪C)=(A∩B)∪(A∩C)が成り立ちます。
  • 和集合も積集合に対して分配でき、A∪(B∩C)=(A∪B)∩(A∪C)が成り立ちます。
  • 「常に成立するか」を問われたら、成り立たない式は反例を一つ示せば否定できます。
  • 反例には、要素が1個の集合や空集合のような小さな集合を使うと計算が楽です。

※出典:平成29年度春期 基本情報技術者試験 午前 問1