要件定義プロセスで行う作業をどう見分けるか
基本情報技術者試験 平成29年度春期 午前 問66 / システム企画 › 要件定義
過去問にチャレンジ
企画,要件定義,システム開発,ソフトウェア実装,ハードウェア実装,保守から成る一連のシステム開発プロセスにおいて,要件定義プロセスで実施すべきものはどれか。
- ア
事業の目的,目標を達成するために必要なシステム化の方針,及びシステムを実現するための実施計画を立案する。
- イ
システムに関わり合いをもつ利害関係者の種類を識別し,利害関係者のニーズ,要望及び課せられる制約条件を識別する。
- ウ
目的とするシステムを得るために,システムの機能及び能力を定義し,システム方式設計によってハードウェア,ソフトウェアなどによる実現方式を確立する。
- エ
利害関係者の要件を満足するソフトウェア製品又はソフトウェアサービスを得るための,方式設計と適格性の確認を実施する。
会話形式の解説
講師各作業で何を決めるのかに注目しましょう。要件定義では、まず何を明らかにするのでしょうか。
受験者システム化の方針を立てる作業かと思いました。方針がないと要件も決められない気がします。
講師方針と実施計画を立てるのは、事業の目的をどうシステム化するかを決める企画プロセスです。要件を明らかにする前の作業ですね。
受験者では、システムに関わる人たちを識別して、その要望や制約を調べる作業でしょうか。
講師その通りです。利害関係者とはシステムに関わり合いをもつ人たちのことです。誰のニーズを考慮し、どんな制約があるかを明らかにするので、要件定義に当たります。
受験者システムの機能や能力を定義する作業も、要件定義に見えます。どこで区別しますか。
講師その選択肢は、ハードウェアやソフトウェアによる実現方式の確立まで含みます。システムをどう構成するかに踏み込むので、システム開発プロセスの作業です。
受験者ソフトウェアの方式設計と適格性の確認も、利害関係者の要件に関係するので迷います。
講師そこでは、要件を明らかにするのではなく、要件を満たすソフトウェア製品やサービスを得るために設計と確認を行います。ソフトウェア実装プロセスです。
受験者方針と計画は企画、ニーズと制約の把握は要件定義、実現方式の設計はその後の作業、と整理できます。
講師はい。「定義」という言葉だけで選ばず、利害関係者の要望を明らかにする作業か、実現方法を決める作業かを確かめましょう。
まとめ
要件定義プロセスでは、利害関係者を識別し、そのニーズ、要望、制約条件を明らかにします。システム化の方針と実施計画を立てるのは企画プロセスです。システムの実現方式を確立する作業はシステム開発プロセス、ソフトウェアの方式設計と適格性の確認はソフトウェア実装プロセスに当たります。
解答・解説
正解はイです
この問題のテーマ
システム開発の各プロセスで行う作業を区別する問題です。
解き方の考え方
各選択肢で、何を決めたり確かめたりするのかに注目します。利害関係者のニーズや制約を明らかにする作業を探し、方針の立案や実現方式の設計とは区別します。
選択肢ごとの解説
- ×ア 事業の目的,目標を達成するために必要なシステム化の方針,及びシステムを実現するための実施計画を立案する。アのシステム化の方針と実施計画の立案は、事業の目的をどうシステム化するかを決める作業です。要件を明らかにする前の企画プロセスに当たります。
- ○イ システムに関わり合いをもつ利害関係者の種類を識別し,利害関係者のニーズ,要望及び課せられる制約条件を識別する。イの利害関係者の識別は、誰の要望を考慮するかを明らかにします。その人たちのニーズや制約条件を把握する作業なので、要件定義プロセスに当たります。
- ×ウ 目的とするシステムを得るために,システムの機能及び能力を定義し,システム方式設計によってハードウェア,ソフトウェアなどによる実現方式を確立する。ウのシステムの機能・能力の定義と、ハードウェアやソフトウェアによる実現方式の確立は、システム開発プロセスの作業です。利害関係者の要望を把握する段階よりも、システムをどう構成するかに踏み込んでいます。
- ×エ 利害関係者の要件を満足するソフトウェア製品又はソフトウェアサービスを得るための,方式設計と適格性の確認を実施する。エの方式設計と適格性の確認は、ソフトウェア製品やサービスを得るための作業です。利害関係者の要件を明らかにする要件定義ではなく、ソフトウェア実装プロセスに当たります。
POINT
- 事業の目的に沿ってシステム化の方針や計画を立てるのは企画です。
- 利害関係者のニーズや制約条件を明らかにするのは要件定義です。
- 実現方式を設計する作業は、要件を把握する作業と区別します。
