マナビング基本情報技術者

GPUの特徴と、似た技術との見分け方

基本情報技術者試験 令和8年度 問3 / コンピュータ構成要素 › プロセッサ

過去問にチャレンジ

令和8年度 問3

プロセッサの一つであるGPUの特徴として,適切なものはどれか。

  1. ア

    OS及び他のハードウェアから独立して機能し,暗号キーなどの情報を安全に管理する。

  2. イ

    並列に動作する多数の浮動小数点演算ユニットによって,高速な3D演算ができる。

  3. ウ

    目的に応じて半導体デバイス内部の論理回路を再構成できる。

  4. エ

    量子ビットによって0と1を重ね合わせた状態を計算に使うことができる。

会話形式の解説

講師講師
今回はGPUの特徴を問う問題です。選択肢には、GPUとは別の技術の説明も並んでいます。それぞれの記述がどの技術の説明なのかを当てはめていくのが近道です。
受験者受験者
GPUは画像を処理する部品というくらいの理解です。3D演算と書いてある選択肢が正解に見えますが、浮動小数点演算ユニットが並列に動くというところがよく分かりません。
講師講師
GPUはGraphics Processing Unitの略で、画像処理を高速に行うための演算装置です。3D描画では、頂点や画素ごとに同じ種類の浮動小数点演算、つまり小数を含む計算を大量に繰り返します。そのため、多数の演算ユニットを並列に、つまり同時に動かすことで速く処理できます。
受験者受験者
同じ計算を大量のデータに対して行うから、並列に処理すれば、それだけ速くなるということですね。
講師講師
そのとおりです。並列処理の効果がそのまま性能に表れます。では、ほかの選択肢を確認しましょう。OSから独立して暗号キーを安全に管理するという説明は、何の特徴だと思いますか。
受験者受験者
セキュリティ用のチップでしょうか。名前までは思い出せません。
講師講師
それはTPM(Trusted Platform Module)です。暗号鍵や認証情報を安全に生成・保存して、端末の認証やデータの暗号化を支えます。画像処理のためのGPUとは役割が違います。
受験者受験者
論理回路を目的に応じて再構成できるという説明は、GPUにも当てはまりそうな気がしてしまいます。
講師講師
これはFPGA(Field Programmable Gate Array)の特徴です。製造後に利用者が回路を書き換えて、用途に合った回路を組めるデバイスです。GPUは、決まった構造の演算装置で処理するので異なります。もう一つの、量子ビットで0と1を重ね合わせる計算は、量子コンピュータの特徴です。通常のビットで計算するGPUとは仕組みが違います。
受験者受験者
整理すると、暗号鍵の管理はTPM、回路の書き換えはFPGA、重ね合わせは量子コンピュータで、多数の演算ユニットによる並列の3D演算がGPUですね。
講師講師
正確です。補足すると、CPUは複雑で多様な処理や制御を得意とし、GPUは単純な同じ種類の演算を大量に同時に実行することを得意とします。GPUの並列処理能力はAIの学習や科学技術計算にも使われていて、この使い方をGPGPUといいます。TPM、FPGA、量子コンピュータについても、それぞれ何をする装置なのかを一言で言えるようにしておきましょう。

まとめ

GPUは画像処理を高速に行うための演算装置で、多数の浮動小数点演算ユニットを並列に動かして3D演算を高速に行います。3D描画では同じ種類の計算を大量のデータに対して行うので、並列処理が性能に直結します。暗号鍵を安全に管理するのはTPM、製造後に論理回路を書き換えられるのはFPGA、量子ビットの重ね合わせを使うのは量子コンピュータです。CPUは複雑で多様な処理、GPUは同じ種類の演算の大量同時実行が得意、と対比して覚えると区別しやすくなります。

解答・解説

正解はイです

この問題のテーマ

GPUの特徴を問う問題です。あわせて、TPM、FPGA、量子コンピュータといった似た分野の用語と区別できるかどうかも確かめています。

解き方の考え方

まず、GPUがGraphics Processing Unit、つまり画像処理を高速に行うための演算装置であることを思い出します。3D描画では、頂点や画素ごとに同じ種類の浮動小数点演算を大量に繰り返します。そのため、多数の演算ユニットを並列に動かして処理することが鍵になります。ほかの選択肢はそれぞれ別の技術の説明なので、どの用語の説明なのかを当てはめていくと、確実に消去できます。

選択肢ごとの解説

  1. ×ア  OS及び他のハードウェアから独立して機能し,暗号キーなどの情報を安全に管理する。
    OSなどから独立して暗号キーを安全に管理するという説明は、TPM(Trusted Platform Module)などのセキュリティ用ハードウェアの特徴です。TPMは暗号鍵や認証情報を安全に生成・保存して、端末の認証やデータの暗号化を支えます。画像処理のための演算装置であるGPUの説明ではありません。
  2. ○イ  並列に動作する多数の浮動小数点演算ユニットによって,高速な3D演算ができる。
    多数の浮動小数点演算ユニットを並列に動かして3D演算を高速に行うという説明は、GPUの特徴そのものです。3D描画では同じ種類の計算を大量のデータに対して行うため、並列処理の効果がそのまま性能に表れます。
  3. ×ウ  目的に応じて半導体デバイス内部の論理回路を再構成できる。
    内部の論理回路を目的に応じて再構成できるという説明は、FPGA(Field Programmable Gate Array)の特徴です。FPGAは、製造後に利用者が回路を書き換えて、用途に合った回路を組めるデバイスです。GPUのように、決まった構造の演算装置で処理するものとは異なります。
  4. ×エ  量子ビットによって0と1を重ね合わせた状態を計算に使うことができる。
    量子ビットを使い、0と1を重ね合わせた状態で計算するという説明は、量子コンピュータの特徴です。量子力学の性質を計算に利用する点が特徴で、通常のビットで計算するGPUとは仕組みが異なります。

補足

CPUは複雑で多様な処理や制御を得意とし、GPUは単純な同じ種類の演算を大量に同時に実行することを得意とします。このように役割で対比して覚えると、取り違えにくくなります。この問題のように、ほかの選択肢に別の技術の説明が並ぶ出題はよく見られます。それぞれの記述がどの用語の説明なのかを言えるようにしておくと、似た問題にも対応できます。

POINT

  • GPUは多数の演算ユニットを並列に動かし、同じ種類の計算を大量のデータに同時に実行することを得意とします。
  • 3D描画のほか、AIの学習や科学技術計算などの汎用計算にもGPUの並列処理能力が使われており、この使い方をGPGPUといいます。
  • 暗号鍵を安全に管理するセキュリティチップはTPMです。
  • 製造後に論理回路を書き換えられるデバイスはFPGAです。
  • 量子ビットの重ね合わせを利用するのは量子コンピュータです。

※出典:令和8年度 基本情報技術者試験 科目A 問3