PaaSの説明はどれか、IaaS・SaaSとの境目を確認
基本情報技術者試験 令和8年度 問4 / システム構成要素 › システムの構成
過去問にチャレンジ
クラウドコンピューティングのサービスモデルとしてのPaaSの説明はどれか。
- ア
OSやアプリケーションを含む任意のソフトウェアを実行可能にするリソースが,利用者に提供される。OSなどのプラットフォームへの限定的な設定や制御を行うことができる。
- イ
アプリケーションの開発や運用に必要となるミドルウェアなどが利用者に提供されるので,これらを利用して,アプリケーションを開発して運用することができる。利用者は,プラットフォームを直接変更することはできない。
- ウ
利用者は,ハードウェア,OSなどのプラットフォームとアプリケーションを自ら準備して,それらの運用を依頼する。利用者は,プラットフォームの構成を決めることができるなど,環境構築の自由度が高い。
- エ
利用者は,用意されたアプリケーションをそのまま又はカスタマイズして利用するが,OSなどのプラットフォームからアプリケーションまで全てを自ら準備する必要はない。利用者は,プラットフォームを直接変更することはできない。
会話形式の解説
講師今回はクラウドのサービスモデル、IaaS・PaaS・SaaSの区別を問う問題です。各選択肢で「事業者が何を提供し、利用者が何を自分で用意するか」と「利用者が何を直接変更できないか」に注目して読んでいきましょう。
受験者PaaSのPはプラットフォームですよね。OSなどのプラットフォームへの設定や制御ができると書かれた選択肢があったので、それがPaaSかと思いました。
講師その選択肢は「OSやアプリケーションを含む任意のソフトウェアを実行できるリソースが提供される」とも書いています。何でも載せられる資源を借りて、OSも含めて利用者が選ぶ形です。これはIaaS、つまり演算・ストレージ・ネットワークといった資源を借りるモデルに当たります。
受験者なるほど、「プラットフォーム」という言葉が出てくるだけでPaaSと決めてはいけないのですね。では、PaaSではプラットフォームを触れないということですか。
講師そうです。PaaSでは、アプリの開発や運用に必要なミドルウェアや実行環境が提供されます。利用者はそれを使ってアプリを作り、運用します。基盤のプラットフォームは事業者が管理するので、利用者は直接変更できません。この内容に合うのが、ミドルウェアなどが提供されてアプリを開発・運用できると書かれた選択肢で、これが正解です。
受験者でも、用意されたアプリをカスタマイズして使う選択肢も、プラットフォームを直接変更できないと書いてありました。カスタマイズするなら開発に近い気がして迷いました。
講師そこが引っかけやすいところです。その選択肢では、アプリケーションは事業者がすでに用意しています。利用者はそれをそのまま使うか、設定の範囲で調整するだけです。これはSaaSです。PaaSではアプリそのものを利用者が自分で開発する点が違います。
受験者アプリを自分で作るのか、できあがったアプリを使うのか、で分ければいいのですね。残りの、ハードウェアやOSを利用者が自分で準備して運用を頼む選択肢はIaaSでしょうか。
講師いい確認です。それはIaaSではなく、ハウジングサービスの説明です。利用者が機器などを自分で用意して、運用を依頼する形態です。事業者の環境を借りるクラウドのサービスモデルとは区別するので、PaaSの説明にはなりません。
受験者整理すると、資源だけ借りてOSから自分で入れるのがIaaS、開発・実行環境を借りてアプリを自分で作るのがPaaS、できあがったアプリを使うのがSaaS、機器を持ち込むのはハウジング、ということですね。
講師その通りです。事業者が提供する範囲は、IaaS、PaaS、SaaSの順に広くなります。そのぶん、利用者が自由に変えられる範囲は狭くなります。「カスタマイズ」や「プラットフォーム」といった言葉だけで判断せず、アプリを誰が用意するか、OSを誰が入れるかを見ると、似た問題にも対応しやすくなります。
まとめ
クラウドのサービスモデルは、事業者がどこまで提供するかで区別します。IaaSは演算・ストレージ・ネットワークなどの資源を提供し、OSやソフトウェアは利用者が選んで導入します。PaaSはミドルウェアなどの開発・実行環境を提供し、利用者はその上でアプリを開発・運用しますが、基盤のプラットフォームは直接変更できません。SaaSは事業者が用意したアプリを、そのまま、または設定の範囲でカスタマイズして使うモデルです。利用者が機器を用意して運用を任せるハウジングサービスは、クラウドのサービスモデルとは区別します。
解答・解説
正解はイです
この問題のテーマ
クラウドコンピューティングのサービスモデル(IaaS・PaaS・SaaS)の違いを理解し、PaaSの説明を選べるかを問う問題です。
解き方の考え方
まず、事業者がどこまで提供し、利用者がどこから自分で用意するかを考えます。資源だけを借りるのがIaaS、アプリの開発・実行環境まで借りるのがPaaS、アプリそのものを使うのがSaaSです。各選択肢について「利用者が自分で用意するもの」と「直接変更できないもの」を読み取り、この区分に当てはめます。どの区分にも当てはまらない形態が混ざっていないかにも注意します。
選択肢ごとの解説
- ×ア OSやアプリケーションを含む任意のソフトウェアを実行可能にするリソースが,利用者に提供される。OSなどのプラットフォームへの限定的な設定や制御を行うことができる。任意のソフトウェアを実行できる資源が提供され、OSなどの設定や制御もできるという説明は、IaaSに当たります。IaaSでは、演算・ストレージ・ネットワークといった資源を借り、その上に載せるソフトウェアは利用者が選びます。
- ○イ アプリケーションの開発や運用に必要となるミドルウェアなどが利用者に提供されるので,これらを利用して,アプリケーションを開発して運用することができる。利用者は,プラットフォームを直接変更することはできない。アプリケーションの開発や運用に必要なミドルウェアなどが提供され、それを使ってアプリを開発・運用するという説明は、PaaSの特徴に合います。基盤となるプラットフォームは事業者が管理するため、利用者はそれを直接変更できません。
- ×ウ 利用者は,ハードウェア,OSなどのプラットフォームとアプリケーションを自ら準備して,それらの運用を依頼する。利用者は,プラットフォームの構成を決めることができるなど,環境構築の自由度が高い。ハードウェアやOS、アプリを利用者が自分で用意して運用を依頼するという説明は、ハウジングサービスに当たります。事業者の環境を利用するクラウドのサービスモデルではなく、PaaSの説明にはなりません。
- ×エ 利用者は,用意されたアプリケーションをそのまま又はカスタマイズして利用するが,OSなどのプラットフォームからアプリケーションまで全てを自ら準備する必要はない。利用者は,プラットフォームを直接変更することはできない。用意されたアプリケーションをそのまま、またはカスタマイズして使うという説明は、SaaSに当たります。PaaSでは、アプリケーション自体は利用者が開発する点が違います。
補足
選択肢に「カスタマイズ」とあるとPaaSと勘違いしやすいですが、用意済みのアプリを調整して使うだけならSaaSです。逆に、アプリを自分で作るならPaaS、OSから自分で入れるならIaaSと判断できます。「事業者が提供する範囲はIaaS→PaaS→SaaSの順に広くなる」と覚えておくと、似た問題にも対応しやすくなります。
POINT
- IaaSは演算・ストレージ・ネットワークなどの資源を提供するモデルで、OSやソフトウェアは利用者が選んで導入します。
- PaaSはミドルウェアや実行環境などのプラットフォームを提供するモデルで、利用者はその上でアプリを開発・運用します。
- PaaSの利用者は、基盤となるプラットフォームを直接変更できません。
- SaaSは事業者が用意したアプリケーションを、そのまま利用するモデルです。
- 利用者が機器を持ち込んで運用を任せる形態はハウジングサービスで、クラウドのサービスモデルとは区別します。
