クラウドコンピューティングとは?集中処理・分散処理・EUCとの見分け方
ITパスポート試験 令和3年度 問5 / システム戦略 › ソリューションビジネス
過去問にチャレンジ
クラウドコンピューティングの説明として,最も適切なものはどれか。
- ア
システム全体を管理する大型汎用機などのコンピュータに,データを一極集中させて処理すること
- イ
情報システム部門以外の人が自らコンピュータを操作し,自分や自部門の業務に役立てること
- ウ
ソフトウェアやハードウェアなどの各種リソースを,インターネットなどのネットワークを経由して,オンデマンドでスケーラブルに利用すること
- エ
ネットワークを介して,複数台のコンピュータに処理を分散させ,処理結果を共有すること
会話形式の解説
講師今回はクラウドコンピューティングの説明を選ぶ問題です。選択肢には、集中処理、EUC、分散処理といった似た用語の説明が混ざっています。それぞれが何の用語を説明しているかを見分けるのがポイントです。
受験者クラウドはインターネット経由で使うものだと覚えていました。でも「ネットワークを介して」と書かれた選択肢が二つあって、そこで迷いました。
講師そこが一番の引っかけです。クラウドには三つの性質があります。ネットワーク経由で資源を利用すること、必要なときに必要な分だけ使えるオンデマンド性、需要に応じて資源量を増減できる拡張性、つまりスケーラビリティです。
受験者それなら、ソフトウェアやハードウェアをネットワーク経由で、オンデマンドでスケーラブルに利用するという説明は、三つともそろっていますね。
講師そのとおりです。それが正解です。では、複数台のコンピュータに処理を分散させて結果を共有するという説明は、何の用語だと思いますか。
受験者分散処理でしょうか。でも、クラウドの裏側でもたくさんのコンピュータが動いているので、クラウドの説明としても間違いではない気がします。
講師よい疑問です。たしかにクラウドの内部で分散処理の技術が使われることはあります。ただ、この説明は処理の分担方法を述べているだけです。資源をオンデマンドに、規模を変えながら利用するというクラウドの特徴には触れていないので、クラウドの説明としては不十分です。
受験者大型汎用機にデータを一極集中させて処理する、という説明は集中処理ですね。これはデータをどこに集めるかの話で、クラウドとは違いそうです。
講師はい。ネットワーク経由で資源を必要に応じて使うという性質が書かれていません。残る、情報システム部門以外の人が自分でコンピュータを操作して業務に役立てるという説明はどうでしょう。
受験者それは略語で習った気がします。EUCでしたか。
講師そうです。EUCはエンドユーザコンピューティングの略で、利用部門の人が自分でコンピュータを活用することです。誰が使うかに注目した用語なので、資源の利用形態を表すクラウドとは別の概念です。
受験者整理すると、集中処理は処理を一か所に集める、分散処理は複数台で分担する、EUCは利用部門の人が自分で使う、クラウドはネットワーク経由で資源を必要な分だけ、量を変えながら使う、ということですね。
講師よくまとまっています。補足すると、クラウドかどうかは「ネットワークを使うか」だけでは判断できません。「オンデマンド」や「スケーラブル」のように、必要に応じて使えて量を変えられる点が書かれているかで見分けると確実です。
まとめ
クラウドコンピューティングは、ソフトウェアやハードウェアなどの資源をネットワーク経由で、必要なときに必要な分だけ(オンデマンド)、需要に応じて量を増減しながら(スケーラブル)利用する形態です。大型汎用機に処理を集めるのは集中処理、複数台で処理を分担するのは分散処理、利用部門の人が自分でコンピュータを活用するのはEUCです。分散処理の説明も「ネットワークを介して」を含むため紛らわしいですが、オンデマンド性や拡張性が書かれているかで区別できます。
解答・解説
正解はウです
この問題のテーマ
クラウドコンピューティングの特徴を理解し、集中処理・EUC・分散処理といった似た用語の説明と区別できるかを問う問題です。
解き方の考え方
まず、クラウドコンピューティングを特徴づける三つの性質を確認します。ネットワーク経由で資源を利用すること、必要なときに必要な分だけ使えること(オンデマンド性)、需要に応じて資源量を増減できること(拡張性)の三つです。次に、各選択肢が何という用語を説明しているかを考えます。集中処理、EUC、分散処理の説明を外していくと、三つの性質がそろっている選択肢が残ります。
選択肢ごとの解説
- ×ア システム全体を管理する大型汎用機などのコンピュータに,データを一極集中させて処理すること大型汎用機にデータを一極集中させて処理するという説明は、集中処理のものです。これは処理やデータをどこに集めるかを述べているだけで、ネットワーク経由で資源を必要に応じて利用するというクラウドの性質には触れていません。
- ×イ 情報システム部門以外の人が自らコンピュータを操作し,自分や自部門の業務に役立てること情報システム部門以外の人が自分でコンピュータを使い、業務に役立てるという説明は、EUC(エンドユーザコンピューティング)のものです。誰がコンピュータを使うかに注目した用語なので、資源の利用形態を表すクラウドとは別の概念です。
- ○ウ ソフトウェアやハードウェアなどの各種リソースを,インターネットなどのネットワークを経由して,オンデマンドでスケーラブルに利用することソフトウェアやハードウェアなどの資源をネットワーク経由で利用するという、クラウドの基本の性質が書かれています。「オンデマンド」は必要なときに必要な分だけ使えること、「スケーラブル」は需要に合わせて資源量を増減できることを表しており、クラウドの特徴がすべてそろっています。
- ×エ ネットワークを介して,複数台のコンピュータに処理を分散させ,処理結果を共有すること複数台のコンピュータで処理を分担し、結果を共有するという説明は、分散処理のものです。クラウドの内部で分散処理の技術が使われることもありますが、この選択肢は処理の分担方法を述べているだけで、資源をオンデマンドに、規模を変えながら利用するというクラウドの説明にはなっていません。
補足
エの分散処理は「ネットワークを介して」という言葉を含むので、クラウドと取り違えやすい選択肢です。クラウドの説明かどうかは、ネットワークを使うかだけでなく、「オンデマンド」や「スケーラブル」のように資源を必要に応じて使い、量を変えられる点が書かれているかで見分けると確実です。
POINT
- クラウドコンピューティングは、ソフトウェアやハードウェアなどの資源をネットワーク経由で利用する形態です。
- オンデマンド性とは、必要なときに必要な分だけ資源を使える性質のことです。
- スケーラビリティ(拡張性)とは、需要に応じて資源量を増やしたり減らしたりできる性質のことです。
- 大型汎用機に処理を集めるのが集中処理、複数のコンピュータで処理を分担するのが分散処理、利用部門の人が自分でコンピュータを活用するのがEUCです。
