偏差値と標準偏差から、同じ71点が最も高く評価される教科を考える
ITパスポート試験 令和5年度 問77 / 基礎理論 › 応用数学
過去問にチャレンジ
受験者10,000人の4教科の試験結果は表のとおりであり,いずれの教科の得点分布も正規分布に従っていたとする。ある受験者の4教科の得点が全て71点であったときこの受験者が最も高い偏差値を得た教科はどれか。

- ア
国語
- イ
社会
- ウ
数学
- エ
理科
会話形式の解説
講師今回は、同じ71点でも4教科のうちどの教科で偏差値が最も高くなるかを選ぶ問題です。表には教科ごとの平均点と標準偏差が載っています。標準偏差は、点数の散らばりの大きさを表す値です。平均点と標準偏差の違いで偏差値がどう変わるかを見ていきましょう。
受験者平均点との差がいちばん大きい教科が有利だと思いました。社会は平均55点なので、71点との差は16点で最大です。社会が正解ではないでしょうか。
講師点差だけで決めるのは危険です。偏差値は「50+10×(得点-平均点)÷標準偏差」で求めます。点差をそのまま比べるのではなく、標準偏差で割ってから比べる必要があります。
受験者割るということは、散らばりが大きい教科ほど、同じ点差でも価値が小さくなるということですか。
講師そのとおりです。社会は標準偏差が9と大きいので、(71-55)÷9で約1.78になります。偏差値にすると約67.8です。
受験者逆に国語は標準偏差が5で最も小さいので、こちらが一番高くなりそうです。
講師計算して確かめましょう。国語は平均62点なので点差は9点で、4教科のうち最も小さい差です。(71-62)÷5=1.8で、偏差値は68です。標準偏差が小さいおかげで比較的高くなりますが、まだ最高ではありません。
受験者では数学はどうでしょう。平均58点、標準偏差6点なので、(71-58)÷6で約2.17です。偏差値は約71.7になります。
講師正確です。点差は13点で、標準偏差が6と小さめなので、平均からの離れ具合が4教科で最も大きくなります。残りの理科も確認しておきましょう。
受験者理科は平均60点、標準偏差7点です。点差11点を7で割ると約1.57で、偏差値は約65.7です。4教科で最も低くなりました。
講師はい。まとめると、国語68、社会約67.8、数学約71.7、理科約65.7で、最も高いのは数学です。実は、比べるだけなら最後まで偏差値にする必要はありません。(得点-平均点)÷標準偏差の値、いわゆるzスコアの大小で順位は決まります。
受験者点差と標準偏差の両方を使って割り算し、その結果で比べればよいのですね。国語の1.8と社会の約1.78は近いので、注意が必要だと感じました。
講師よく気づきました。近い値は小数第2位まで計算すると取り違えを防げます。また、平均点が最も低い社会や、標準偏差が最も小さい国語に、計算せずに飛びつくのも誤りのもとです。偏差値は得点を平均50、標準偏差10の尺度に置き換えた値だと覚えておくと、式も思い出しやすくなります。
まとめ
偏差値は「50+10×(得点-平均点)÷標準偏差」で求める値で、得点を平均50、標準偏差10の尺度に置き換えたものです。同じ71点でも、教科ごとの平均点と標準偏差によって偏差値は変わります。計算すると国語68、社会約67.8、数学約71.7、理科約65.7となり、最も高いのは数学です。平均点との差が最大の社会を選ぶのは典型的な引っかけで、点差を標準偏差で割ってから比べることが大切です。比べるだけなら(得点-平均点)÷標準偏差の値で順位が決まります。
解答・解説
正解はウです
この問題のテーマ
この問題では、教科ごとの平均点と標準偏差から偏差値を計算し、同じ71点が4教科のうちどこで最も高く評価されるかを比べます。
解き方の考え方
最初に、偏差値が「50+10×(得点-平均点)÷標準偏差」で求まることを確かめます。次に、各教科の71点から平均点を引き、平均点との差を出します。その差を標準偏差(点数の散らばりの大きさ)で割った値(zスコア)が、偏差値の決め手です。zスコアが大きい教科ほど偏差値も高いので、zスコアを比べれば答えが決まります。点差だけで判断せず、標準偏差で割ってから比べます。
選択肢ごとの解説
- ×ア 国語国語は平均点62点、標準偏差5点です。(71-62)÷5=1.8なので、偏差値は50+10×1.8=68になります。平均点との差は9点で4教科のうち最も小さいのですが、標準偏差が5と最も小さいため、偏差値は68と比較的高くなります。それでも数学の約71.7には届きません。
- ×イ 社会社会は平均点55点、標準偏差9点です。(71-55)÷9≒1.78なので、偏差値は約67.8です。平均点との差は16点で4教科のうち最大ですが、標準偏差も9と大きいため、割った値は数学より小さくなります。したがって、数学の約71.7に届かず誤りです。
- ○ウ 数学数学は平均点58点、標準偏差6点です。平均点との差は13点で、標準偏差は6と小さめです。(71-58)÷6≒2.17と平均からの離れ具合が最も大きいので、偏差値は50+10×2.17≒71.7で4教科のうち最も高くなります。したがって正しいです。
- ×エ 理科理科は平均点60点、標準偏差7点です。(71-60)÷7≒1.57なので、偏差値は約65.7です。4教科の中で最も低く、数学の約71.7に届かないので誤りです。
補足
平均点との差だけを見ると、差が16点で最大の社会を選んでしまいます。また、平均点が最も低い社会や、標準偏差が最も小さい国語だけを見るのも誤りのもとです。点差と標準偏差の両方を使い、割り算をしてから比べてください。国語の1.8と社会の約1.78は近い値なので、小数第2位まで計算すると取り違えを防げます。
POINT
- 偏差値は、得点を平均50、標準偏差10の尺度に換算した値で、「50+10×(得点-平均点)÷標準偏差」で求めます。
- 偏差値の大小は(得点-平均点)÷標準偏差の大小と同じなので、この値だけを比べれば順位が決まります。
- 標準偏差はデータの散らばりの大きさを表し、標準偏差が小さい教科ほど、同じ点差でも偏差値が大きく動きます。
- 検算すると国語68、社会約67.8、数学約71.7、理科約65.7となり、最も高いのは数学です。
