システム監査人に求められる独立性と専門性を会話で確認
ITパスポート試験 令和7年度 問51 / システム監査 › システム監査
過去問にチャレンジ
社内で開発及び運用を行っている経理システムの内部監査を実施するとき,システム監査人として,最も適切なものはどれか。
- ア
経理システムの運用担当者
- イ
経理システムの開発を担当した委託会社の従業員
- ウ
経理システムの利用者である経理担当者
- エ
経理とITの知識を有する経営者直轄組織の従業員
会話形式の解説
講師この問題は、社内の経理システムを内部監査するときに、誰がシステム監査人にふさわしいかを問うものです。見るポイントは2つで、監査する対象から独立しているかどうかと、必要な専門知識を持っているかどうかです。
受験者私は最初、運用担当者がよいと思いました。システムのことを一番よく知っているのは毎日運用している人なので、問題点も見つけやすいはずです。
講師そう考える受験者は多いです。ただ、運用担当者はそのシステムを自分で運用している当事者です。監査人になると、自分の仕事を自分でチェックすることになります。これでは独立性、つまり監査対象から離れた立場にいることが保てず、客観的な評価になりません。
受験者自己評価になってしまうのですね。では、開発を担当した委託会社の従業員はどうですか。社外の人なので独立しているように見えます。
講師社外の人でも、そのシステムを作ったのは自分たちです。自社の成果物を自分で評価する立場になるので、やはり独立性がありません。社内か社外かではなく、監査対象に関わっているかどうかで判断します。
受験者なるほど。そうすると、システムを使っている経理担当者も、利用者として関わっているので当事者になりますか。
講師そのとおりです。経理担当者は日常的にシステムを使う利用者なので、独立性がありません。また、経理の知識はあっても、ITや監査の専門知識が足りないことも多いので、その点でも監査人には向きません。
受験者残るのは、経理とITの知識を持っている経営者直轄組織の従業員です。経営者の直轄ということは、経理部門や情報システム部門とは別の組織という意味でしょうか。
講師はい。経営者直轄組織は経理部門や情報システム部門から組織として独立していて、開発・運用・利用のどれにも関わっていません。さらに経理とITの両方の知識があるので、独立性と専門性の両方を満たしています。これが正解です。
受験者整理すると、まず開発・運用・利用のどれかに関わる当事者を外して、残った人に業務とITの知識があるかを確かめればよいのですね。内部監査でも独立した立場が必要だということも分かりました。
講師よく整理できています。補足すると、独立性には2種類あります。第三者から見ても独立していると認められる状態を外観上の独立性、公正不偏の態度を保つことを精神上の独立性といいます。試験では「業務に一番詳しい人」が魅力的な選択肢として出てきますが、詳しさよりも先に、当事者でないかどうかを確かめるのが解き方のコツです。
まとめ
システム監査人には、監査対象からの独立性と、監査対象の業務と情報技術に関する専門知識の両方が求められます。システムの開発・運用・利用に関わる人が監査をすると自己評価になり、客観性が損なわれるため、運用担当者、開発した委託会社の従業員、利用者である経理担当者はいずれも不適切です。経理とITの知識を持つ経営者直轄組織の従業員は、関係部門から組織として独立しており、独立性と専門性を満たすので最も適切です。解くときは、詳しさよりも先に当事者でないかを確認するのがコツです。
解答・解説
正解はエです
この問題のテーマ
社内の経理システムを内部監査するとき、だれがシステム監査人にふさわしいかを問う問題です。監査人に求められる「監査対象からの独立性」と「専門知識」の2つの条件を理解しているかがポイントです。
解き方の考え方
まず、各選択肢の人物が経理システムの開発・運用・利用に関わっているかを確かめます。関わっている人が監査をすると自分の仕事を自分で評価することになり、独立性と客観性が保てません。そのうえで、残った候補が経理とITの両方の知識を持っているかを確認すれば、正解を一つに絞れます。
選択肢ごとの解説
- ×ア 経理システムの運用担当者アの運用担当者は、監査対象であるシステムの運用を自分で行っている当事者です。この人が監査人になると自分の業務を監査することになり、独立性がありません。そのため監査人としては不適切です。
- ×イ 経理システムの開発を担当した委託会社の従業員イの開発を担当した委託会社の従業員は、自分たちが作ったシステムを監査することになります。自社の成果物を評価する立場になるので、独立性がなく、客観的な監査は期待できません。
- ×ウ 経理システムの利用者である経理担当者ウの経理担当者は、システムを日常的に使う利用者であり、監査対象の当事者です。そのため独立性がありません。また、経理の知識はあっても、ITや監査の専門知識が足りないことも多く、監査人には向きません。
- ○エ 経理とITの知識を有する経営者直轄組織の従業員エの経営者直轄組織の従業員は、経理部門や情報システム部門から組織として独立しています。開発・運用・利用のどれにも関わっていないので、客観的に監査できます。さらに経理とITの両方の知識があるため、独立性と専門性の両方を満たしています。
補足
独立性には、組織上の立場が独立していることを指す「外観上の独立性」と、公正な判断をする姿勢を指す「精神上の独立性」があります。「業務に一番詳しい人が監査人に向いている」と考えると、運用担当者や利用者を選んでしまいがちなので注意しましょう。詳しさよりも、まず当事者でないかどうかを確かめるのが解き方のコツです。
POINT
- システム監査人には、監査対象からの独立性と客観性が求められます。
- システムの開発・運用・利用に関わる人が監査をすると自己評価になり、客観性が損なわれます。
- 内部監査であっても、監査は監査対象から独立した立場で行う必要があります。
- 監査人には独立性に加えて、監査対象の業務と情報技術についての専門知識も必要です。
- 経営者直轄の内部監査部門は、業務部門から組織として独立しているため、監査を担当するのにふさわしい立場です。
