情報セキュリティ監査の定義とシステム監査との見分け方
ITパスポート試験 令和7年度 問38 / システム監査 › システム監査
過去問にチャレンジ
情報セキュリティ監査の説明として,最も適切なものはどれか。
- ア
一定の基準に基づいてITシステムの利活用に係る検証・評価を行い,ガバナンスの適切性などに対する保証や改善のための助言を行うもの
- イ
コンピュータの盗難や不正な持出しを物理的に防止し,情報セキュリティを確保するためのツール
- ウ
組織体の価値及び組織体への信頼を向上させるために,組織体におけるITシステムの利活用のあるべき姿を示すIT戦略と方針の策定及びその実現のための活動
- エ
組織の情報資産に関わるリスクマネジメントが効果的に実施されているかどうかの検証又は評価
会話形式の解説
講師今回は情報セキュリティ監査の定義を問う問題です。システム監査やITガバナンスなど、似た用語の説明が選択肢に並んでいます。まずは「監査とはどういう活動か」から考えましょう。
受験者監査というと、何かをチェックする活動だと思います。そうすると、盗難や持出しを防ぐツールの説明は違いますね。
講師そのとおりです。監査は、独立した立場から実施状況を検証・評価する活動です。盗難や不正な持出しを物理的に防ぐツールは、セキュリティワイヤのような対策の手段です。検証・評価という行為ではないので外せます。
受験者IT戦略と方針を策定して実現する活動という説明はどうですか。カタカナの用語が多くて、私はこのあたりで迷いやすいです。
講師それはITガバナンスの説明です。ITガバナンスは、組織がITのあるべき姿を示して、それを実行していく活動です。戦略を立てて進める側の活動なので、実施状況を後から評価する監査とは役割が違います。
受験者残りは2つです。どちらにも「検証・評価」とありますが、「保証や助言」まで書いてある方が監査らしく見えます。
講師そこが引っかけです。保証や助言を行う方の説明は、検証・評価する対象が「ITシステムの利活用」になっています。これはシステム監査の説明です。システム監査は、ITシステムが経営に役立っているかを確かめる活動です。
受験者では、情報資産に関わるリスクマネジメントが効果的に実施されているかを検証・評価する、という説明が正解ですか。
講師はい、それが情報セキュリティ監査の定義に合っています。対象を「情報資産」に、確認する観点を「リスクマネジメントの有効性」に絞っている点が、システム監査との違いです。
受験者つまり監査かどうかを見てから、対象がITシステム全般なのか、情報資産のリスクなのかで区別すればよいのですね。
講師そうです。補足すると、情報セキュリティ監査にも、有効性を保証する保証型と、改善のための助言を行う助言型があります。そのため「助言」という語があるだけでは、どちらの監査かは決められません。必ず対象に注目してください。
講師また、情報セキュリティ監査では、判断の尺度として情報セキュリティ管理基準が、監査人の行為規範として情報セキュリティ監査基準が用いられます。名前が似ているので、役割とセットで覚えておきましょう。
まとめ
情報セキュリティ監査は、組織の情報資産に関わるリスクマネジメントが効果的に実施されているかを検証・評価する活動です。監査は独立した立場から実施状況を検証・評価するもので、物理的な対策ツールや、IT戦略を策定・実現するITガバナンスとは異なります。ITシステムの利活用を検証・評価して保証や助言を行うのはシステム監査です。情報セキュリティ監査にも保証型と助言型があるので、「助言」の語ではなく、対象がITシステム全般か情報資産のリスクかで見分けます。
解答・解説
正解はエです
この問題のテーマ
情報セキュリティ監査の定義を問う問題です。あわせて、よく似た用語であるシステム監査やITガバナンス、物理的なセキュリティ対策との違いを区別できるかが問われています。
解き方の考え方
まず「監査」は、独立した立場から実施状況を検証・評価する活動だという点を押さえます。この観点で見ると、道具の説明や戦略を立てる活動の説明は外せます。残った2つは「何を対象に検証・評価するか」で比べます。対象がITシステムの利活用全般ならシステム監査、情報資産のリスクマネジメントなら情報セキュリティ監査です。
選択肢ごとの解説
- ×ア 一定の基準に基づいてITシステムの利活用に係る検証・評価を行い,ガバナンスの適切性などに対する保証や改善のための助言を行うものアの「ITシステムの利活用」を検証・評価し、保証や助言を行うという説明は、システム監査のものです。システム監査はITシステムが経営に役立っているかを見る活動で、情報セキュリティ監査とは範囲も目的も異なります。「検証・評価」「保証や助言」という監査らしい語句が並んでいるため、選んでしまいやすい選択肢です。
- ×イ コンピュータの盗難や不正な持出しを物理的に防止し,情報セキュリティを確保するためのツールイの盗難や不正な持出しを物理的に防ぐツールという説明は、セキュリティワイヤのような物理的対策のものです。対策の手段そのものを述べており、検証・評価という行為ではありません。そのため監査の説明にはなりません。
- ×ウ 組織体の価値及び組織体への信頼を向上させるために,組織体におけるITシステムの利活用のあるべき姿を示すIT戦略と方針の策定及びその実現のための活動ウのIT戦略と方針を策定し、それを実現するための活動という説明は、ITガバナンスのものです。ITガバナンスは組織がITのあるべき姿を示して実行する活動です。実施状況を後から評価する監査とは役割が異なります。
- ○エ 組織の情報資産に関わるリスクマネジメントが効果的に実施されているかどうかの検証又は評価エの、情報資産に関わるリスクマネジメントが効果的に実施されているかを検証・評価するという説明は、情報セキュリティ監査の定義に合っています。対象を「情報資産」に、確認する観点を「リスクマネジメントの有効性」に絞っている点が、システム監査との違いです。
補足
情報セキュリティ監査では、判断の尺度として情報セキュリティ管理基準が、監査人の行為規範として情報セキュリティ監査基準が用いられます。監査には、有効性を保証する保証型と、改善のための助言を行う助言型があります。このため「助言」という語があるだけでは、どちらの監査かを決められません。見分けるときは、対象がITシステム全般なのか、情報資産のリスクなのかに注目してください。
POINT
- 情報セキュリティ監査は、情報資産に関わるリスクマネジメントの有効性を検証・評価する活動です。
- 監査は独立した立場から検証・評価を行うもので、対策の手段や戦略の策定とは別のものです。
- ITシステムの利活用が適切かを検証・評価し、保証や助言を行うのはシステム監査です。
- IT戦略と方針を策定し、その実現に取り組む活動はITガバナンスです。
