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サイバーセキュリティ基本法の立法趣旨と見分け方

ITパスポート試験 令和8年度 問21 / 法務 › セキュリティ関連法規

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令和8年度 問21

サイバーセキュリティ基本法の立法趣旨を説明したものはどれか。

  1. ア

    コンピュータへの不正アクセス行為を定義し,その行為を禁止するとともに罰則を定め,ネットワーク通信秩序の維持を図ること

  2. イ

    情報セキュリティに関する適切なコントロールを整備,運用するための実践的な規範を定め,企業などで効果的な情報セキュリティ対策の推進を促すこと

  3. ウ

    情報通信ネットワークを通じたコンピュータへの不正侵入などの行為に対する防御施策に関し,基本理念を定め,国及び地方公共団体の責務などを明らかにして,施策の総合的かつ効果的な推進を図ること

  4. エ

    デジタルコンテンツの複製防止のための技術的制限手段を無効化する行為などを規制することによって,企業などの営業上の利益を確保すること

会話形式の解説

講師講師
今回はサイバーセキュリティ基本法の立法趣旨、つまり何のために作られた法律かを問う問題です。選択肢にはセキュリティ関連の法律や規範の説明が並んでいるので、それぞれがどれの説明なのかを見分けることが大切です。
受験者受験者
どれもセキュリティの話なので、私には全部それらしく見えます。サイバーセキュリティ基本法なら、不正アクセスを禁止して罰則を定めるという説明が一番合っている気がしたのですが。
講師講師
そこが引っかけやすいところです。不正アクセス行為を定義して禁止し、罰則を定めるのは不正アクセス禁止法の趣旨です。特定の行為を取り締まる法律は「個別法」と呼ばれ、基本法とは性格が違います。
受験者受験者
では、基本法とはどういう法律なのですか。
講師講師
名前に「基本法」と付く法律は、多くの場合、基本理念、つまり施策の土台となる考え方を示し、国などの責務や施策の方向性を定めます。具体的な禁止や罰則は、通常は個別法が受け持ちます。
受験者受験者
そうすると、基本理念を定めて国と地方公共団体の責務を明らかにし、施策を総合的かつ効果的に推進するという選択肢が当てはまりそうです。
講師講師
そのとおりです。基本理念、国や地方公共団体の責務、施策の総合的な推進の3点がそろっていて、サイバーセキュリティ基本法の趣旨と一致します。同法ではこのほか、サイバーセキュリティ戦略の策定など、施策の基本となる事項も定められています。
受験者受験者
企業で効果的な対策を進めるための実践的な規範、という選択肢も法律の説明に見えてしまいました。
講師講師
あれは情報セキュリティ管理基準の説明です。コントロールとは管理策のことで、それを整備・運用するための規範なので、法律ではなくガイドラインにあたります。管理策の実践規範であるJIS Q 27002も同じ種類の文書です。
受験者受験者
残りの、コピー防止の技術を無効化する行為を規制するという説明は、著作権法の話でしょうか。
講師講師
技術的制限手段の回避は著作権法でも扱われますが、この選択肢は不正競争防止法の説明と読むのが適切です。不正競争防止法は、コピー防止などの技術的制限手段を無効化する行為を不正競争として規制しています。目的が「営業上の利益の確保」と書かれていることも、事業者間の公正な競争を守る法律だと判断する補助的な手がかりになります。
受験者受験者
整理すると、禁止と罰則は不正アクセス禁止法、実践的な規範は管理基準、技術的制限手段の無効化の規制は不正競争防止法、理念と責務と総合的な推進がサイバーセキュリティ基本法ということですね。
講師講師
はい、その整理で大丈夫です。補足すると、サイバーセキュリティ基本法にもとづいて、内閣にはサイバーセキュリティ戦略本部が置かれています。法律名に「基本法」とあれば、まず方針や枠組みを定める法律だと考えて、罰則中心の説明とは区別して読むようにしましょう。

まとめ

サイバーセキュリティ基本法は、基本理念を定め、国や地方公共団体などの責務を明らかにして、サイバーセキュリティに関する施策を総合的かつ効果的に推進するための法律です。不正アクセス行為の定義・禁止・罰則を定めるのは不正アクセス禁止法で、基本法とは性格が異なります。技術的制限手段を無効化する行為を規制して営業上の利益を守るのは不正競争防止法です。情報セキュリティ管理基準やJIS Q 27002は法律ではなく、管理策の実践的な規範です。「基本法」は方針や枠組みを示す法律だと押さえておくと、選択肢を見分けやすくなります。

解答・解説

正解はウです

この問題のテーマ

サイバーセキュリティ基本法の立法趣旨(目的)を問う問題です。不正アクセス禁止法、不正競争防止法、情報セキュリティの管理規範など、似た分野の法律・規範と区別できるかが問われています。

解き方の考え方

名前に「基本法」が付く法律は、多くの場合、基本理念や国などの責務、施策の方向性を定めます。個別の行為を禁止して罰則を科すような具体的な規定は、通常は個別法が受け持ちます。そこで、各選択肢が「基本理念・責務・総合的な推進」を述べているか、それとも「行為の禁止・罰則」や「実務上の管理規範」を述べているかを見分けます。そのうえで、ほかの選択肢がどの法律や規範の説明なのかを確かめると、確実に絞り込めます。

選択肢ごとの解説

  1. ×ア  コンピュータへの不正アクセス行為を定義し,その行為を禁止するとともに罰則を定め,ネットワーク通信秩序の維持を図ること
    不正アクセス行為を定義して禁止し、罰則を定めるという説明は、不正アクセス禁止法の趣旨です。特定の犯罪行為を取り締まる個別法の性格を持っており、方針や役割分担を示す基本法とは性格が異なります。
  2. ×イ  情報セキュリティに関する適切なコントロールを整備,運用するための実践的な規範を定め,企業などで効果的な情報セキュリティ対策の推進を促すこと
    情報セキュリティのコントロール(管理策)を整備・運用するための実践的な規範という説明は、情報セキュリティ管理基準の趣旨です。これは法律ではなく、組織が対策を進める際の規範やガイドラインにあたります。管理策の実践規範であるJIS Q 27002も、同じ種類の文書です。
  3. ○ウ  情報通信ネットワークを通じたコンピュータへの不正侵入などの行為に対する防御施策に関し,基本理念を定め,国及び地方公共団体の責務などを明らかにして,施策の総合的かつ効果的な推進を図ること
    基本理念を定めること、国や地方公共団体の責務を明らかにすること、施策を総合的かつ効果的に推進することの3点を挙げており、サイバーセキュリティ基本法の趣旨と一致します。同法はこのほか、サイバーセキュリティ戦略の策定など、施策の基本となる事項も定めています。
  4. ×エ  デジタルコンテンツの複製防止のための技術的制限手段を無効化する行為などを規制することによって,企業などの営業上の利益を確保すること
    コピー防止などの技術的制限手段を無効化する行為を規制し、営業上の利益を確保するという説明は、不正競争防止法の趣旨です。「営業上の利益」という言葉が、事業者どうしの公正な競争を守る法律であることを見分ける手がかりになります。

補足

サイバーセキュリティ基本法にもとづき、内閣にはサイバーセキュリティ戦略本部が置かれています。こうした「本部」や「戦略」の話題が出てきたら、基本法の内容だと考えると判断しやすくなります。なお、技術的制限手段の回避は著作権法でも扱われますが、選択肢エは目的を「営業上の利益の確保」としているため、不正競争防止法の説明として読むのが適切です。

POINT

  • サイバーセキュリティ基本法は、基本理念を定め、国や地方公共団体などの責務を明らかにして、施策を総合的かつ効果的に推進するための法律です。
  • 「基本法」は方針や枠組みを示す法律であり、犯罪の定義や罰則を中心にした法律ではありません。
  • 不正アクセス行為の定義・禁止・罰則を定めているのは不正アクセス禁止法です。
  • 技術的制限手段の無効化を規制して営業上の利益を守るのは、不正競争防止法の趣旨です。
  • 情報セキュリティ管理基準やJIS Q 27002は、法律ではなく管理策の実践的な規範です。

※出典:令和8年度 ITパスポート試験 問21