コピーレフトの意味をOSSライセンスの義務から整理
ITパスポート試験 令和8年度 問73 / ソフトウェア › オープンソースソフトウェア
過去問にチャレンジ
OSS(Open Source Software)のライセンスにおけるコピーレフトに関する記述として,適切なものはどれか。
- ア
OSSの作成者が,ソフトウェアの著作権を放棄している。
- イ
OSSの著作権者は,利用者がソフトウェアを利用することに対して金銭的な対価を要求しなければならない。
- ウ
OSSの利用者が改変して作成した派生ソフトウェアは,改変部分のソースコードを非公開としたまま,配布することができる。
- エ
OSSの利用者が改変して作成した派生ソフトウェアを配布する場合には,元のOSSのライセンスと同じライセンスを適用しなければならない。
会話形式の解説
講師今回はOSS、つまりソースコードが公開されているソフトウェアのライセンスのうち、コピーレフトという考え方を問う問題です。著作権、対価、ソースコードの公開、ライセンスの引き継ぎという4つの観点で選択肢を比べてみましょう。
受験者コピーレフトは「コピーライト」の反対のような名前なので、著作権を放棄しているという選択肢が正解に見えてしまいます。
講師名前から連想しやすいところですが、そこが引っかけです。コピーレフトでは著作権は作成者に残っています。その著作権に基づいて、ライセンスで利用条件を定めているのです。
受験者では、著作権を放棄した状態は別の呼び方があるのですか。
講師パブリックドメインと呼びます。コピーレフトとは別の概念なので、著作権を放棄しているという選択肢は誤りです。
受験者利用者に金銭的な対価を必ず求めるという選択肢も違いそうです。OSSは無料で使えるものが多いと聞いています。
講師そのとおりです。OSSは無償でも有償でも提供でき、対価を求めることは必須ではありません。「しなければならない」と言い切っている点が誤りです。
受験者残りの2つで迷います。改変した部分のソースコードを非公開のまま配布できる、というのは自由度が高くて良さそうに思えるのですが。
講師コピーレフトの考え方とは逆なのです。コピーレフトは、利用・改変・再配布の自由を派生物、つまり元のソフトウェアを改変して作ったものにも引き継がせる仕組みです。そのため派生物を配布するときは、ソースコードを提供するか、入手する手段を示すことが求められます。改変部分を隠したまま配布することはできません。
受験者なるほど。だから、派生ソフトウェアを配布するときに元のOSSと同じライセンスを適用しなければならない、という選択肢が正解なのですね。同じライセンスにすることで、派生物も自由なまま続いていくということですか。
講師はい、それがコピーレフトの中心的な仕組みです。代表的なライセンスはGNU GPLです。
受験者整理すると、著作権は放棄しない、対価は必須ではない、ソースは隠せない、ライセンスは引き継ぐ、ということですね。
講師よくまとまっています。補足すると、MIT、BSD、Apacheなどはパーミッシブライセンスと呼ばれ、派生物に同じライセンスを引き継がせる義務がありません。LGPLは弱いコピーレフトと呼ばれ、義務がかかる範囲が限定されています。また、ソースコードの公開義務が生じるのは派生物を配布する場合で、社内で利用するだけなら通常は生じません。この点も実務でよく確認されるところです。
まとめ
コピーレフトは、著作権を保持したまま、利用・改変・再配布の自由を派生物にも引き継がせるOSSライセンスの考え方です。派生物を配布する場合は元と同じライセンスを適用し、ソースコードを提供するか入手手段を示す必要があります。著作権を放棄した状態はパブリックドメインで、コピーレフトとは区別します。代表的なライセンスはGNU GPLで、MIT・BSD・Apacheなどのパーミッシブライセンスには引き継ぎの義務がありません。
解答・解説
正解はエです
この問題のテーマ
OSSライセンスの中で「コピーレフト」がどういう考え方かを問う問題です。著作権の扱い、対価、ソースコードの公開、ライセンスの引き継ぎについて正しく区別できるかが問われています。
解き方の考え方
コピーレフトは「著作権を保持したまま、その権利に基づいて、利用・改変・再配布の自由を派生物にも引き継がせる仕組み」だと押さえておきます。この定義と照らし合わせると、著作権を放棄するという記述、対価を必須とする記述、改変部分を非公開にできるという記述は、いずれも当てはまりません。派生物を配布するときに同じライセンスを適用させる、という記述だけが定義と一致します。
選択肢ごとの解説
- ×ア OSSの作成者が,ソフトウェアの著作権を放棄している。アの「作成者が著作権を放棄している」という説明は誤りです。OSSでも著作権は作成者に残っており、その著作権に基づいてライセンスで利用条件を定めています。著作権が放棄されたものはパブリックドメインと呼ばれ、コピーレフトとは別の概念です。
- ×イ OSSの著作権者は,利用者がソフトウェアを利用することに対して金銭的な対価を要求しなければならない。イの「金銭的な対価を要求しなければならない」という説明は誤りです。OSSは無償でも有償でも提供でき、対価を求めることは必須ではありません。実際には無償で利用できるOSSが多くあります。
- ×ウ OSSの利用者が改変して作成した派生ソフトウェアは,改変部分のソースコードを非公開としたまま,配布することができる。ウの「改変部分のソースコードを非公開としたまま配布できる」という説明は、コピーレフトの考え方と逆です。コピーレフトでは、派生物を配布するときにソースコードを提供するか、入手する手段を示すことが求められます。改変部分を隠したまま配布することはできません。
- ○エ OSSの利用者が改変して作成した派生ソフトウェアを配布する場合には,元のOSSのライセンスと同じライセンスを適用しなければならない。エの「派生ソフトウェアを配布する場合は元のOSSと同じライセンスを適用しなければならない」という説明は正しいです。この仕組みによって、改変された派生物も自由なソフトウェアであり続けます。これがコピーレフトの中心的な仕組みです。
補足
MIT、BSD、Apacheなどのライセンスはパーミッシブライセンスと呼ばれ、派生物に同じライセンスを引き継がせる義務がありません。LGPLは弱いコピーレフトと呼ばれ、義務がかかる範囲が限定されています。また、ソースコードの公開義務が生じるのは派生物を配布する場合で、社内で利用するだけなら通常は生じません。
POINT
- コピーレフトは、利用・改変・再配布の自由を派生物にも引き継がせる考え方です。
- コピーレフトでは著作権を放棄せず、著作権に基づいて利用条件を課します。
- 派生物を配布するときは、元と同じライセンスを適用し、ソースコードを提供する必要があります。
- 代表的なコピーレフトのライセンスはGNU GPLです。
- 著作権が放棄された状態はパブリックドメインと呼ばれ、コピーレフトとは区別します。
