マナビング基本情報技術者

遷移確率の表で、確率の和が1になるのは行か列か全体か

基本情報技術者試験 令和8年度 問1 / 基礎理論 › 応用数学

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令和8年度 問1

入力されたビットに対して出力されるビットが0か1のいずれかである確率を遷移確率という。遷移確率を表にしたとき,a,b,c,dの関係はどれか。

令和8年度 問1の図
  1. ア

    a+b+c+d=1

  2. イ

    a+b=1,c+d=1

  3. ウ

    a+c=1,b+d=1

  4. エ

    a+d=1,b+c=1

会話形式の解説

講師講師
今回は遷移確率の表の問題です。最初に、表の行と列のどちらが入力でどちらが出力なのかを確認してください。そのうえで、確率を足して1になるのはどの範囲かを考えます。
受験者受験者
行が入力ビット、列が出力ビットです。確率の問題なので、表の四つを全部足すと1になるのかと最初は思いました。
講師講師
多くの人がそこで迷います。まず各マスの意味を言葉にしてみましょう。aは「入力が0のとき、出力が0になる確率」です。b、c、dはどうなりますか。
受験者受験者
bは入力0で出力1、cは入力1で出力0、dは入力1で出力1になる確率です。どれも「入力が○のとき」という前提が付いています。
講師講師
そうです。遷移確率は条件付き確率、つまり「ある入力が与えられたとき」の確率なので、表の1行が一つの入力条件に当たります。入力が0と決まったら、出力は0か1のどちらかで、両方同時には起こりません。
受験者受験者
出力は必ずどちらか一方になるので、同じ行のaとbを足すと1になるということですね。入力1の行も同じで、c+d=1です。
講師講師
はい、それが「a+b=1,c+d=1」の選択肢で、これが正解です。たとえば入力0で出力0が30%、出力1が70%、入力1で出力0が60%、出力1が40%としてみます。0.3+0.7=1、0.6+0.4=1 となります。
受験者受験者
では、四つ全部を足す式はどうなりますか。行ごとに1なら、全体は2になってしまいそうです。
講師講師
そのとおりです。入力0を条件にした確率と、入力1を条件にした確率をまとめて足しているので、1+1=2 になります。1にはなりません。
受験者受験者
「a+c=1,b+d=1」のように縦に足す式はどうですか。出力0の列をまとめているので、何かの意味がありそうにも見えます。
講師講師
aは入力0、cは入力1が条件の確率です。条件の違う確率を足しても、1になる保証はありません。先ほどの例でも a+c=0.3+0.6=0.9 です。
受験者受験者
「a+d=1,b+c=1」は、aとdが入力と同じビットが出る確率、bとcが違うビットが出る確率の組ですね。これも入力の条件が混ざっています。
講師講師
よく見えています。こちらも特別な条件がなければ成り立たず、例では a+d=0.3+0.4=0.7 です。縦の和や斜めの和は数値によっては偶然1になることもありますが、一般には成り立ちません。
受験者受験者
整理すると、遷移確率の表は入力ごとの条件付き確率なので、和が1になるのは同じ入力の行の中だけ、ということですね。
講師講師
はい。「表全体の合計が1」になるのは、入力と出力の組合せが起こる確率を並べた同時確率の表の場合です。遷移確率の表では行ごとに1になります。迷ったときは具体的な数値を当てはめると判断しやすくなります。ただ、偶然成り立つ組合せもあるので、例を一つではなくいくつか試すとより安心です。

まとめ

遷移確率は「ある入力ビットが与えられたとき」に出力が0か1になる条件付き確率で、表の各行が一つの入力条件に当たります。同じ入力に対して出力は0か1のどちらか一方なので、行の和 a+b と c+d がそれぞれ1になります。四つすべての和は1+1=2になり、列の和や斜めの和は入力の条件が違う確率を足しているため、一般には1になりません。「表全体の合計が1」は同時確率の表の場合に当てはまる考え方で、遷移確率の表とは区別が必要です。迷ったときは具体的な数値を当てはめると判断しやすくなりますが、偶然成り立つ場合もあるので、複数の例で確認するとよいです。

解答・解説

正解はイです

この問題のテーマ

通信路の遷移確率表を読み取り、表中の確率 a、b、c、d の間で必ず成り立つ関係を選ぶ問題です。確率の和が1になるのはどの範囲か、という基本を理解しているかが問われます。

解き方の考え方

まず表の向きを確認します。行が入力ビット、列が出力ビットなので、a は「入力0で出力0」、b は「入力0で出力1」、c は「入力1で出力0」、d は「入力1で出力1」となる確率です。入力が決まれば、出力は0か1のどちらか一方で、二つが同時に起こることはありません。そのため、同じ入力の行の中で確率を足すと1になります。行ごとの和が1になっている選択肢を探せば答えが決まります。

選択肢ごとの解説

  1. ×ア  a+b+c+d=1
    四つの確率をすべて足すアの式は、入力0という条件の確率と、入力1という条件の確率をまとめて足しています。各行の和はそれぞれ1なので、全体の和は 1+1=2 になり、1にはなりません。
  2. ○イ  a+b=1,c+d=1
    a+b は入力0のときに出力が0になる確率と1になる確率の和で、出力はこのどちらかしかないので1になります。c+d も同じ理由で、入力1のときの和として1になります。たとえば入力0で出力0が30%・出力1が70%、入力1で出力0が60%・出力1が40%の場合も、0.3+0.7=1、0.6+0.4=1 となり、イの関係が成り立ちます。
  3. ×ウ  a+c=1,b+d=1
    ウの a+c は、出力0の列を縦に足したものです。a は入力0、c は入力1を条件とする確率なので、条件の違う確率を足しても1になる保証はありません。イで挙げた例でも a+c=0.3+0.6=0.9 となり、1にはなりません。
  4. ×エ  a+d=1,b+c=1
    エの a+d は「入力と同じビットが出力される」確率どうし、b+c は「入力と違うビットが出力される」確率どうしの和です。どちらも入力の条件が違う確率を足しているため、一般には1になりません。a+b=1、c+d=1 という条件に加えて、さらに特別な条件がない限り成り立たず、イの例でも a+d=0.3+0.4=0.7 です。

補足

よくある引っかけは、「表全体の確率の合計は1」という覚え方をそのまま当てはめてしまうアです。全体の和が1になるのは同時確率の表の場合で、条件付き確率である遷移確率の表では行ごとに1になります。ウやエは、数値によっては偶然成り立つこともありますが、一般には成り立たない関係です。迷ったときは、イの解説のような具体的な数値を当てはめて確かめると判断しやすくなります。

POINT

  • 遷移確率は「ある入力が与えられたとき」の条件付き確率で、表の各行が一つの入力条件に当たります。
  • 同じ入力に対する出力0と出力1は排反で、どちらかが必ず起こるため、行の和は1になります。
  • 入力の条件が違う確率どうし(列の和や対角成分の和など)を足しても、1になるとは限りません。
  • 表を見たら、まず行と列のどちらが入力でどちらが出力かを確認するのが解く出発点です。

※出典:令和8年度 基本情報技術者試験 科目A 問1(一部改変)