落雷の過電流から機器を守る対策とUPSの違い
ITパスポート試験 令和4年度 問41 / サービスマネジメント › ファシリティマネジメント
過去問にチャレンジ
テレワークを推進しているある会社では,サテライトオフィスを構築している。サテライトオフィスで使用するネットワーク機器やPCを対象に,落雷による過電流を防止するための対策を検討した。有効な対策として,最も適切なものはどれか。
- ア
グリーンITに対応した機器の設置
- イ
サージ防護に対応した機器の設置
- ウ
無線LANルータの設置
- エ
無停電電源装置の設置
会話形式の解説
講師今回は、落雷で起きる過電流から機器を守る対策を選ぶ問題です。注目したいのは「落雷による過電流」という言葉です。これに専門用語の名前があることに気づけるかがポイントになります。
受験者雷と電源の問題なので、私は無停電電源装置かなと思いました。電源まわりのトラブルにはUPSが効く、というイメージがあります。
講師そこがいちばんの引っかけです。無停電電源装置、つまりUPSは、停電のときにバッテリから電力を供給するための装置です。停電対策としては有効ですが、過電流から機器を守ることは本来の目的ではありません。
受験者停電は電気が止まることで、過電流は電気が多すぎることなので、向きが逆の問題なのですね。では、過電流には何が効くのですか。
講師落雷などで生じる瞬間的な異常高電圧や過電流をサージといいます。サージは電源線だけでなく通信線からも機器に入り込み、故障の原因になります。これを防ぐのがサージ防護機器で、SPDとも呼ばれます。異常な電気を逃がすなどして、機器に届く過電流を抑えます。
受験者それで、サージ防護に対応した機器の設置が正解になるのですね。グリーンITに対応した機器も、電気に関係していそうで少し迷いました。
講師グリーンITは、省電力化や環境負荷の低減を進める取組です。消費電力を抑えることが目的なので、過電流から機器を守る働きはありません。
受験者無線LANルータはどうでしょうか。配線を無線にすれば、ケーブルから雷の電気が入りにくくなる気もします。
講師無線LANルータは、端末をネットワークにつないだり通信を中継したりするための機器です。配線を無線にしても、ルータ自体やその電源、PCなどを過電流から守ることはできません。
受験者整理すると、UPSは停電対策、グリーンITは省電力と環境対策、無線LANルータは通信のための機器で、落雷の過電流つまりサージへの対策はサージ防護機器、ということですね。
講師そのとおりです。補足すると、サージ吸収機能を備えたUPS製品もありますが、それは補助的な機能で、強い雷サージへの対策としては不十分な場合があります。UPSの主な目的はあくまで停電時の電力供給です。身近な例では、雷ガード付きのOAタップのように、サージ防護の機能を組み込んだ製品があります。「電源トラブルならUPS」と決めつけず、停電への備えか過電流への備えかを区別しましょう。
まとめ
落雷などで生じる瞬間的な異常高電圧・過電流をサージといい、電源線や通信線から機器に侵入して故障の原因になります。サージから機器を守るには、サージ防護機器(SPD)の設置が有効です。無停電電源装置(UPS)は停電時に電力を供給するための装置で、過電流対策とは目的が異なります。グリーンITは省電力・環境対策、無線LANルータは通信のための機器であり、どちらも過電流は防げません。
解答・解説
正解はイです
この問題のテーマ
落雷で生じる瞬間的な過電流(サージ)から、ネットワーク機器やPCを守るのに有効な対策を選ぶ問題です。似た目的の設備との違いを見分けられるかが問われています。
解き方の考え方
まず、問題文の「落雷による過電流」がサージを指していることに気づくことが出発点です。次に、各選択肢の機器や取組が本来何のためのものかを思い出し、過電流から機器を守る働きがあるかどうかで絞り込みます。停電対策の無停電電源装置は電源まわりの設備なので紛らわしいですが、目的が違う点に注意すれば、サージ防護の機器が残ります。
選択肢ごとの解説
- ×ア グリーンITに対応した機器の設置グリーンITに対応した機器の設置は、省電力化や環境負荷の低減を進める取組です。消費電力を抑えることが目的なので、落雷による過電流から機器を守る働きはありません。
- ○イ サージ防護に対応した機器の設置サージ防護に対応した機器の設置が正解です。サージは落雷などで生じる瞬間的な異常高電圧・過電流で、電源線や通信線を通じて機器に入り込み、故障の原因になります。サージ防護機器(SPD)は異常な電気を逃がすなどして、機器に届く過電流を抑えます。
- ×ウ 無線LANルータの設置無線LANルータの設置は、端末をネットワークにつないだり通信を中継したりするためのものです。配線を無線にしても、ルータ自体やその電源、PCなどを過電流から守ることはできません。
- ×エ 無停電電源装置の設置無停電電源装置(UPS)の設置は、停電のときにバッテリから電力を供給するための対策です。停電対策としては有効ですが、過電流から機器を守ることが本来の目的ではないため、この設問の答えにはなりません。
補足
「電源トラブル」と聞くとUPSを選びたくなりますが、停電への備えと過電流への備えは別物として区別しましょう。サージ吸収機能を備えたUPS製品もありますが、それはおまけの機能で、UPSの主な目的はあくまで停電時の電力供給です。身近な例では、雷ガード付きのOAタップのように、サージ防護の機能を組み込んだ製品があります。
POINT
- 落雷などで生じる瞬間的な異常高電圧・過電流をサージといいます。
- サージは電源線だけでなく通信線からも機器に侵入し、故障の原因になります。
- サージから機器を守る対策は、サージ防護機器(SPD)の設置です。
- UPSは停電対策、グリーンITは省電力・環境対策であり、どちらも過電流対策とは目的が異なります。
