マナビングITパスポート

建物・設備を管理する考え方と停電時に給電する機器を見分ける

ITパスポート試験 令和5年度 問48 / サービスマネジメント › ファシリティマネジメント

過去問にチャレンジ

令和5年度 問48

システム環境整備に関する次の記述中のa,bに入れる字句の適切な組合せはどれか。 企業などがシステム環境である建物や設備などの資源を最善の状態に保つ考え方としてaがある。その考え方を踏まえたシステム環境整備の施策として,突発的な停電が発生したときにサーバに一定時間電力を供給する機器であるbの配備などがある。

令和5年度 問48の図
  1. ア

    a:サービスレベルマネジメント,b:IPS

  2. イ

    a:サービスレベルマネジメント,b:UPS

  3. ウ

    a:ファシリティマネジメント,b:IPS

  4. エ

    a:ファシリティマネジメント,b:UPS

会話形式の解説

講師講師
この問題は、空欄が2つあります。aは「建物や設備などの資源を最善の状態に保つ考え方」の名前、bは「停電のときにサーバへ一定時間電力を供給する機器」の名前です。2つは別々に考えて大丈夫です。
受験者受験者
aの候補はサービスレベルマネジメントとファシリティマネジメントですね。どちらも「マネジメント」が付くので、名前だけだと区別がつきにくいです。
講師講師
カタカナの意味から考えてみましょう。ファシリティは「施設」という意味です。ファシリティマネジメントは、建物や設備といった施設を経営的な視点から総合的に企画・管理・活用する手法です。
受験者受験者
「建物や設備」と書いてあるので、施設を対象にしたファシリティマネジメントが合いそうです。サービスレベルマネジメントのほうは何を管理するのですか。
講師講師
サービスレベルマネジメントは、利用者と合意したサービスの品質を維持・改善していく管理活動です。SLAという合意書でサービスの水準を決めて管理します。管理する対象はサービスの品質なので、建物や設備の話ではありません。
受験者受験者
では、aはファシリティマネジメントですね。bのUPSとIPSは綴りがほとんど同じなので、どちらが電源なのか自信がありません。
講師講師
ここが一番の引っかけです。UPSは無停電電源装置のことで、内蔵のバッテリーから給電します。停電が起きてもしばらくはサーバを動かし続けられます。一方のIPSは、不正な通信を見つけて遮断する侵入防止の仕組みで、セキュリティの用語です。
受験者受験者
そうすると、aがサービスレベルマネジメントの組合せは、bがIPSでもUPSでも誤りです。aがファシリティマネジメントでもbがIPSなら誤りになります。両方が合うのは「ファシリティマネジメントとUPS」の組合せだけですね。
講師講師
そのとおりです。ファシリティマネジメントの対象には、建物だけでなく電源、空調、防火、防災、入退室管理なども含まれます。だから、UPSを置くことが施策の例として挙げられているのです。
受験者受験者
UPSを使えば、停電が長く続いても問題ないということですか。
講師講師
いいえ、UPSが給電できるのは短い時間だけです。その間に機器を安全に止めたり、発電機に切り替えたりします。長時間の給電は非常用発電機の役割です。あわせて、IPSは不正な通信の遮断までしますが、似た名前のIDSは検知するだけという違いも押さえておきましょう。

まとめ

建物や設備などの施設を最善の状態に保つ考え方は、ファシリティマネジメントといいます。対象には電源、空調、防火、防災、入退室管理なども含まれます。サービスレベルマネジメントは、利用者と合意したサービス品質を維持・改善する活動で、施設の管理とは別のものです。停電時にバッテリーで一定時間給電するのはUPS(無停電電源装置)で、不正な通信を遮断するIPSとは役割がまったく違います。UPSが給電できるのは短時間だけで、その間に機器を安全に停止したり発電機に切り替えたりします。

解答・解説

正解はエです

この問題のテーマ

建物や設備といったシステム環境を最善の状態に保つ管理の考え方の名称と、停電対策に使う電源装置の名称を組み合わせて答える問題です。

解き方の考え方

空欄aと空欄bは、それぞれ別々に考えれば答えが出ます。aは「建物や設備などの資源」を管理する考え方なので、施設(ファシリティ)を対象にした管理手法を選びます。bは「停電時にサーバへ一定時間電力を供給する機器」なので、無停電電源装置の略称を選びます。2つの空欄がどちらも正しい組合せは一つしかありません。

選択肢ごとの解説

  1. ×ア  a:サービスレベルマネジメント,b:IPS
    aのサービスレベルマネジメントは、利用者と合意したサービス品質を維持・改善するための管理活動です。建物や設備を管理する考え方ではありません。bのIPSは不正な通信を検知して遮断する侵入防止の仕組みで、電力を供給する機器ではないため、aもbも当てはまりません。
  2. ×イ  a:サービスレベルマネジメント,b:UPS
    bのUPSは停電時に電力を供給する機器なので合っています。しかし、aのサービスレベルマネジメントはSLAなどでサービス水準を合意して管理する考え方で、施設の管理を指す言葉ではありません。aが誤っているため、この組合せは不正解です。
  3. ×ウ  a:ファシリティマネジメント,b:IPS
    aのファシリティマネジメントは建物や設備を最善の状態に保つ考え方なので合っています。しかし、bのIPSはネットワークへの攻撃や不正な通信を遮断するセキュリティ対策の仕組みで、停電対策の機器ではありません。bが誤っているため不正解です。
  4. ○エ  a:ファシリティマネジメント,b:UPS
    aのファシリティマネジメントは、施設や設備を経営的な視点から総合的に企画・管理・活用する手法で、問題文の説明に合います。bのUPSは内蔵バッテリーで給電する装置で、停電が起きてもしばらくの間サーバを動かし続けられます。どちらの空欄も記述に合うので、これが正解です。

補足

UPSとIPSは略称の綴りが1文字しか違わないため、取り違えを誘う選択肢によく使われます。UPSは電源、IPSはセキュリティの用語と分けて覚えておきましょう。IPSは、検知するだけのIDSと違い、不正な通信を遮断するところまで行います。また、UPSは短時間の給電に使うもので、長時間の給電を担う非常用発電機とは役割が異なります。

POINT

  • ファシリティマネジメントは、建物や設備などの施設資産を経営的な視点から総合的に企画・管理・活用する手法です。
  • ファシリティマネジメントの対象には、電源、空調、防火、防災、入退室管理なども含まれます。
  • UPS(無停電電源装置)は停電時にバッテリーで一定時間給電する装置で、その間に機器を安全に停止したり、発電機に切り替えたりできます。
  • サービスレベルマネジメントは、合意したサービス品質を維持・改善する活動であり、施設の管理とは別のものです。

※出典:令和5年度 ITパスポート試験 問48(一部改変)