ファシリティマネジメントに当たる施策をどう見分けるか
ITパスポート試験 令和8年度 問54 / サービスマネジメント › ファシリティマネジメント
過去問にチャレンジ
ある組織では過去には全員出社して業務を遂行していたが,現在は出社とテレワークの両方を使い分けて業務を遂行している。この組織において,ファシリティマネジメントの観点で改善を図っている事例として,適切なものだけを全て挙げたものはどれか。 a 従業員のPCにインストールされたWeb会議用のソフトウェアを常に最新にし,Web会議における利便性及びセキュリティを向上させる。 b 執務室のレイアウト変更や大画面のTV会議室の設置を行い,従業員間のコミュニケーションを取りやすくする。 c 出社率を踏まえてフリーアドレスエリアの割合を増加し,オフィスを縮小させる。 d 短時間勤務や自宅外での業務を可能とする制度を導入し,様々な従業員が業務に参画しやすくする。
- ア
a,d
- イ
b
- ウ
b,c
- エ
b,d
会話形式の解説
講師今回はファシリティマネジメントの範囲を問う問題です。四つの施策がどれも働きやすさの改善に見えるので、何を対象にした施策なのかに注目してください。
受験者ファシリティマネジメントという言葉は聞いたことがありますが、意味があいまいです。テレワークを支える取組みなら全部当てはまりそうに思えてしまいます。
講師そこが引っかけです。ファシリティマネジメントは、施設・建物・設備・執務空間を経営資源として管理・活用する活動です。目的が働きやすさでも、対象が物的な施設や設備でなければ当てはまりません。
受験者では、執務室のレイアウト変更や大画面のTV会議室の設置は、オフィスの空間と設備を変えているので当てはまりますね。
講師そのとおりです。物的な環境を改善して、コミュニケーションを取りやすくしている事例です。
受験者出社率に合わせてフリーアドレスエリアを増やし、オフィスを縮小する施策はどうでしょうか。フリーアドレスは固定席を持たない働き方のことでしたよね。
講師はい。社員が固定席を持たず、空いている席を使うオフィス形態です。出社率に応じてスペースを見直すのは、施設を効率よく使う代表的な事例なので、これも当てはまります。
受験者Web会議ソフトを最新にする施策は、会議をしやすくするので設備の話に近い気がして迷います。
講師対象はPCにインストールされたソフトウェアですね。ソフトウェアの管理や情報セキュリティ対策なので、IT管理の領域になり、ファシリティマネジメントではありません。
受験者短時間勤務や自宅外での業務を可能にする制度も、勤務制度という仕組みの話なので、人事の施策ということでしょうか。
講師そうです。人事・労務の施策で、施設や設備を改善しているわけではありません。
受験者そうすると、当てはまるのはレイアウト変更と会議室設置、それにフリーアドレス拡大とオフィス縮小の二つですね。レイアウト変更だけの選択肢は、オフィス縮小が抜けているので条件を満たさないと分かりました。
講師よく確認できました。「適切なものだけを全て」という問い方なので、不足しても余分があっても誤りです。ソフトの更新や勤務制度の施策は従業員の働きやすさを高めるので、当てはまるように見えます。迷ったら、改善の対象が物的な施設・設備かどうかで判断してください。
まとめ
ファシリティマネジメントは、施設・建物・設備・執務空間を経営資源として管理・活用する活動です。この問題では、執務室のレイアウト変更やTV会議室の設置、出社率に応じたフリーアドレスの拡大とオフィス縮小が該当します。Web会議ソフトの更新はIT管理、短時間勤務や自宅外勤務の制度は人事・労務の施策なので対象外です。施策の目的ではなく、改善の対象が物的な施設・設備かどうかで見分けるのがコツです。
解答・解説
正解はウです
この問題のテーマ
出社とテレワークを併用する組織の施策のうち、ファシリティマネジメントの観点での改善に当たるものを見分ける問題です。施設・設備の管理と、IT管理や人事制度とを区別できるかが問われています。
解き方の考え方
まず、ファシリティマネジメントとは施設・建物・設備・執務空間を経営資源として管理・活用する活動だと押さえます。そのうえで、a〜dの施策が物的な施設・設備を対象にしているかを一つずつ判定します。施策の目的が働きやすさの向上であっても、対象がソフトウェアや勤務制度であれば対象外です。該当するのはbとcなので、その組合せを選びます。
選択肢ごとの解説
- ×ア a,daのWeb会議ソフトの更新は、ソフトウェア管理や情報セキュリティ対策に当たり、IT管理の領域です。dの短時間勤務や自宅外勤務の制度導入は、人事・労務の施策です。どちらも施設・設備の改善ではないため、組合せとして不適切です。
- ×イ bbの執務室のレイアウト変更や大画面のTV会議室の設置は、オフィス空間と設備の改善なので適切です。ただし、cのフリーアドレスの拡大とオフィス縮小も施設の有効活用に当たります。cが含まれていないため、「適切なものだけを全て」という条件を満たしません。
- ○ウ b,cbは執務室のレイアウトや会議室設備といった物的環境の改善です。cは出社率に合わせてフリーアドレスエリアを増やし、オフィスを縮小するもので、スペースの効率化に当たります。どちらも施設・設備を対象にした施策なので、この組合せが正解です。
- ×エ b,dbの執務室のレイアウト変更や会議室の設置は適切です。一方、dの短時間勤務や自宅外勤務を可能にする制度は勤務制度の整備であり、施設管理ではありません。また、適切なcが含まれていない点でも誤りです。
補足
フリーアドレスとは、社員が固定席を持たずに空いている席を使うオフィス形態です。aやdのように「テレワークを支える」「働きやすくする」と書かれていると、ファシリティマネジメントに当てはまるように見えます。ですが、対象が施設・設備かどうかで区別するのがこの種の問題を解くコツです。
POINT
- ファシリティマネジメントは、施設・建物・設備・執務空間を経営資源として管理・活用する活動です。
- 判定では施策の目的よりも、改善の対象が物的な施設・設備かどうかを見ます。
- ソフトウェアの更新はIT管理、勤務制度の導入は人事・労務の領域で、ファシリティマネジメントの対象外です。
- 出社率に応じたオフィスの縮小やフリーアドレスの導入は、スペースを効率よく使う代表的な事例です。
