データサイエンティストの仕事と他職種の違いを整理
ITパスポート試験 令和6年度 問26 / 企業活動 › 業務分析・データ利活用
過去問にチャレンジ
データサイエンティストの役割に関する記述として,最も適切なものはどれか。
- ア
機械学習や統計などの手法を用いてビッグデータを解析することによって,ビジネスに活用するための新たな知見を獲得する。
- イ
企業が保有する膨大なデータを高速に検索できるように,パフォーマンスの高いデータベースを運用するためのシステム基盤を構築する。
- ウ
企業における情報システムに関するリスクを評価するために,現場でのデータの取扱いや管理についての実態を調査する。
- エ
企業や組織における安全な情報システムの企画,設計,開発,運用を,サイバーセキュリティに関する専門的な知識や技能を活用して支援する。
会話形式の解説
講師今回は、IT系の専門職の仕事が4つ並んでいて、その中からデータサイエンティストの仕事を選ぶ問題です。各選択肢で「何をするのか」、つまり中心にある動詞に注目すると見分けやすくなります。
受験者カタカナの職種名は似たものが多くて、私はいつも迷います。データサイエンティストは、データを扱う人という大まかな印象しかありません。
講師まずは「データを分析して、事業に使える知見を引き出す人」と短く覚えておきましょう。知見とは、判断や意思決定に役立つ新しい気づきのことです。この定義に合うのはどの選択肢だと思いますか。
受験者機械学習や統計を使ってビッグデータを解析し、ビジネスに使う新しい知見を得る、という選択肢だと思います。「解析する」が分析にあたりますよね。
講師そのとおりです。手法も目的も、データサイエンティストの役割と一致しています。実際には、分析の前にビジネス上の課題を決めたり、データを加工したりして、課題の解決を支えるところまでが役割に含まれます。
受験者膨大なデータを高速に検索できるデータベースの基盤を作る、という選択肢も「データ」の話なので気になりました。これは違うのですか。
講師動詞は「基盤を構築する」なので、システムを作る側の仕事です。データベースエンジニアやインフラエンジニア、要件に合うシステムを設計するシステムアーキテクトの領域にあたります。データサイエンティストは、主に分析やモデル作成を担う側です。
受験者現場でのデータの扱い方を調べるという選択肢は、調べた結果を分析しているようにも読めてしまいます。
講師目的を見てください。情報システムのリスクを評価するための実態調査なので、これは監査の活動です。リスクを分析し、統制がきちんと機能しているかを検証・評価するのは、システム監査技術者の役割です。データから知見を得ることが目的ではありません。
受験者残りの、サイバーセキュリティの知識で安全なシステムの企画から運用までを支援する、というのはセキュリティの専門家の仕事ですね。
講師はい。情報処理安全確保支援士や、セキュリティエンジニアといった情報セキュリティの専門家の役割です。
受験者整理すると、分析して知見を得るのがデータサイエンティスト、基盤を作るのがエンジニアやシステムアーキテクト、リスクや統制を確かめるのがシステム監査技術者、安全なシステムを支えるのが情報処理安全確保支援士、ということですね。
講師よく整理できています。選択肢にデータに関する言葉が出てきても、それだけでは判断できません。「分析して知見を得る」のか「データの置き場所を作る」のかを見分けることが大切です。データの収集や蓄積を担うデータエンジニアとの違いも、あわせて押さえておくと役に立ちます。
まとめ
データサイエンティストは、統計学や機械学習などを使ってデータを分析し、ビジネスに役立つ知見を引き出す人材です。高速なデータベース基盤を作るのはデータベースエンジニアやインフラエンジニア、システムアーキテクトの仕事です。情報システムのリスクや統制を検証・評価するのはシステム監査技術者で、セキュリティの専門知識で安全なシステムを支えるのは情報処理安全確保支援士です。選択肢にデータに関する言葉があっても、それだけで判断せず、中心にある動詞と目的から職種を見分けることがポイントです。
解答・解説
正解はアです
この問題のテーマ
IT系の専門職がそれぞれ何を担うかを並べ、その中からデータサイエンティストの仕事を正しく言い当てられるかを問う問題です。
解き方の考え方
まず、データサイエンティストの仕事を「データを分析して、事業に使える知見を引き出すこと」と短く押さえておきます。そのうえで、各選択肢の中心にある動詞を確認します。「解析する」なら分析、「基盤を構築する」なら構築、「実態を調査する」なら監査、「安全な開発を支援する」ならセキュリティです。分析を担うのはデータサイエンティストで、残りの3つは別の職種の仕事だと分かれば、答えは一つに絞れます。
選択肢ごとの解説
- ○ア 機械学習や統計などの手法を用いてビッグデータを解析することによって,ビジネスに活用するための新たな知見を獲得する。統計学や機械学習を使って大量のデータを解析し、ビジネスに役立つ新しい知見を得るという内容です。手法も目的も、データサイエンティストの役割と一致しています。分析の前にビジネス上の課題を設定し、データを加工して解決を支えることも、この役割に含まれます。
- ×イ 企業が保有する膨大なデータを高速に検索できるように,パフォーマンスの高いデータベースを運用するためのシステム基盤を構築する。高速に検索できるデータベースの基盤を作るのは、システムを構築する側の仕事です。データベースエンジニアやインフラエンジニア、要件に合うシステムを設計するシステムアーキテクトの領域にあたります。データサイエンティストは、整えられたデータを使って分析する側です。
- ×ウ 企業における情報システムに関するリスクを評価するために,現場でのデータの取扱いや管理についての実態を調査する。情報システムのリスクを評価するために、現場でのデータの扱い方を調べるのは監査の活動です。リスクを分析し、統制が機能しているかを検証・評価するのはシステム監査技術者の役割です。データから知見を得ることが目的ではありません。
- ×エ 企業や組織における安全な情報システムの企画,設計,開発,運用を,サイバーセキュリティに関する専門的な知識や技能を活用して支援する。サイバーセキュリティの専門知識を使って、安全なシステムの企画から運用までを支援する内容です。これは情報処理安全確保支援士や、セキュリティエンジニアといった情報セキュリティの専門家の役割です。
補足
「データ」や「ビッグデータ」という言葉は、どの選択肢にも出てくる可能性があります。言葉だけで判断せず、「分析して知見を得る」のか「データの置き場所を作る」のかを見分けることが大切です。データの収集や蓄積を担うデータエンジニアとの違いも、あわせて整理しておくと役に立ちます。
POINT
- データサイエンティストは、統計学・機械学習・データマイニングなどを使ってデータを分析し、事業に役立つ知見を引き出す人材です。
- データベースなどの基盤を構築する仕事は、エンジニアやシステムアーキテクトが担います。
- 情報システムのリスクや統制を検証・評価するのは、システム監査技術者の役割です。
- 安全な情報システムの実現をセキュリティの専門知識で支えるのは、情報処理安全確保支援士です。
