システム移行計画では何を事前に決めるべきか
基本情報技術者試験 令和元年度秋期 午前 問56 / サービスマネジメント › サービスの設計・移行
過去問にチャレンジ
システムの移行計画に関する記述のうち,適切なものはどれか。
- ア
移行計画書には,移行作業が失敗した場合に旧システムに戻す際の判断基準が必要である。
- イ
移行するデータ量が多いほど,切替え直前に一括してデータの移行作業を実施すべきである。
- ウ
新旧両システムで環境の一部を共有することによって,移行の確認が容易になる。
- エ
新旧両システムを並行運用することによって,移行に必要な費用が低減できる。
会話形式の解説
講師この問題では、移行が失敗した場合の備えと、計画どおりに進める場合の負担を分けて考えます。
受験者失敗した場合は旧システムに戻せばよいと思いましたが、戻すかどうかも事前に決める必要がありますか。
講師失敗してから戻すかどうかを考え始めると、判断が遅れます。何を基準に切戻しを決めるべきでしょうか。
受験者移行を始める前に、切戻しの判断基準を決めておく必要があります。
講師そのとおりです。復旧手順も事前に定めます。したがって、切戻しの判断基準を移行計画書に設ける記述が適切です。
受験者データ量が多い場合も、切替え直前にまとめて移す方がよいのでしょうか。
講師データ量が多いほど移行に時間がかかります。直前に必要な作業量を見積もり、事前に移せる分を移す方法や、分割して移す方法を検討します。
受験者全量を直前に一括移行すべきだとは言えないのですね。
講師はい。次に、環境の一部を新旧システムで共有すると、移行結果は確認しやすくなるでしょうか。
受験者互いに影響する可能性があるので、共有すれば確認が容易になるとは言えません。
講師そのとおりです。では、新旧システムを並行運用すると、費用はどうなりますか。
受験者両方を同時に動かす負担と費用がかかります。並行運用で移行費用が低減するという説明も適切ではありません。
講師移行計画では、切戻しの判断基準に加え、直前のデータ移行作業量や、両システムを動かす間の負担も確かめます。
まとめ
適切なのは、移行に失敗した場合の切戻しの判断基準を移行計画書に設ける記述です。大量のデータを必ず切替え直前に一括移行するとは限らず、事前移行や分割移行を検討します。新旧環境の共有には相互に影響する可能性があり、確認が容易になるとは言えません。並行運用では両システムを動かす負担と費用が生じます。
解答・解説
正解はアです
この問題のテーマ
システム移行計画で、切戻し、データ移行、移行結果の確認、並行運用をどう考えるかを問う問題です。
解き方の考え方
移行が失敗した場合と、計画どおりに進んだ場合の両方を考えます。各選択肢について、移行に要する時間や運用上の負担を踏まえ、その方法で目的を達成できるか確かめます。
選択肢ごとの解説
- ○ア 移行計画書には,移行作業が失敗した場合に旧システムに戻す際の判断基準が必要である。移行作業が失敗した場合、旧システムへ戻すかどうかをその場で決めると判断が遅れます。移行計画書に切戻しの判断基準を設け、復旧手順も事前に定める必要があるため、適切です。
- ×イ 移行するデータ量が多いほど,切替え直前に一括してデータの移行作業を実施すべきである。データ量が多いほど、移行作業には時間がかかります。全量を切替え直前に一括移行すべきとはいえず、事前に移せる分を移す方法や、分割して移す方法を検討します。
- ×ウ 新旧両システムで環境の一部を共有することによって,移行の確認が容易になる。新旧システムで環境を共有すると、両システムが相互に影響する可能性があります。そのため、共有によって移行結果の確認が容易になるとはいえず、不適切です。
- ×エ 新旧両システムを並行運用することによって,移行に必要な費用が低減できる。並行運用では、新旧両システムを同時に運用する負担が生じます。その分の費用もかかるため、移行に必要な費用が低減するという説明は不適切です。
POINT
- 切戻しの判断基準は、移行作業を始める前に決めておきます。
- 大量のデータを移すときは、切替え直前に必要な作業量を見積もります。
- 移行結果を確かめる際は、新旧システムの環境が互いに影響し得ることを考慮します。
- 並行運用の計画には、両システムを動かす間の運用負担を含めます。
