マナビング基本情報技術者

NANDだけの回路の出力をタイミングチャートで確かめる

基本情報技術者試験 令和8年度 問6 / ハードウェア › ハードウェア

過去問にチャレンジ

令和8年度 問6

図の回路のA及びBに信号を入力したときに,Yに出力される信号のタイミングチャートとして,適切なものはどれか。

令和8年度 問6の図
  1. ア
    令和8年度 問6の図(選択肢ア)
  2. イ
    令和8年度 問6の図(選択肢イ)
  3. ウ
    令和8年度 問6の図(選択肢ウ)
  4. エ
    令和8年度 問6の図(選択肢エ)

会話形式の解説

講師講師
この問題では、NANDゲートを4個つないだ回路が、全体でどの論理演算になるかを先に求めます。注目してほしいのは、左側の2つと右端のゲートで、2本の入力が同じ信号につながっている点です。
受験者受験者
NANDしか使っていないので、出力もNANDの形になるのかと思っていました。入力が1本にまとまっているゲートは、どう考えればよいですか。
講師講師
NANDは「ANDの結果を反転する」ゲートです。両方の入力に同じAを入れると、A⋅A‾\overline{A \cdot A}で、A・AはAのままなのでA‾\overline{A}になります。つまり入力を短絡したNANDは、NOT(反転)として働きます。
受験者受験者
そうすると、左側の2つのゲートの出力はA‾\overline{A}とB‾\overline{B}ですね。中央のNANDはその2つを受けるので、A‾⋅B‾‾\overline{\overline{A} \cdot \overline{B}}になります。
講師講師
そうです。ここでド・モルガンの法則を使います。「否定の積の否定」は「和」に直せるので、A‾⋅B‾‾\overline{\overline{A} \cdot \overline{B}}はA+B、つまりORです。
受験者受験者
右端のゲートも入力が短絡されているのでNOTですね。ORを反転するので、Y=A+B‾Y = \overline{A + B}、回路全体はNORになります。
講師講師
その通りです。NORはAとBが共に0のときだけ1を出し、それ以外は0を出します。ここからはチャートを点線で区切られた区間ごとに読みます。入力波形は、アとエが同じ形、イとウが同じ形なので、入力だけでは絞り込めません。Yの値まで見てください。
受験者受験者
イのチャートを見ると、A=B=0の区間ではYが1、A=1・B=0、A=0・B=1、A=B=1の区間ではYが0です。どの区間もNORの真理値表と合っています。
講師講師
確認できましたね。イが正解です。次にアのチャートを見てみましょう。最初の区間はA=0、B=1なのに、Yは1になっています。
受験者受験者
NORならその組合せは0なので合いません。アは、AとBが共に1の区間だけYが0で、ほかは1なので、NANDの波形ですね。
講師講師
はい。回路をNANDだけで組んでいても、全体がNANDになるとは限らないという引っかけです。では、イと同じ入力波形のウのチャートはどうでしょう。
受験者受験者
ウは、A=1・B=0の区間でYが1になっています。NORなら0のはずです。AとBのどちらか一方だけが1のときにYが1なので、XOR(排他的論理和)の波形だと思います。
講師講師
その読みで合っています。最後に、アと同じ入力波形のエのチャートです。
受験者受験者
エは、AとBが共に1の区間だけYが1で、A=B=0の区間ではYが0です。NORならA=B=0で1になるはずなので誤りで、これはANDの波形ですね。
講師講師
よく整理できました。手順をまとめるとどうなりますか。
受験者受験者
まず回路全体をNORと決めます。そのあとで各チャートについて、A=B=0の区間でYが1になり、それ以外の区間でYが0になっているかを区間ごとに確かめます。
講師講師
それで十分です。補足すると、NANDの入力を短絡するとNOT、入力を反転してからNANDを通すとOR、という2つの形は覚えておくと役立ちます。誤りの選択肢はNAND、XOR、ANDといった代表的な演算の波形になっていることが多いので、真理値表と照らし合わせる練習をしておくと読み違いを防げます。

まとめ

入力を短絡したNANDゲートはNOTとして働くため、この回路の左側2つのゲートの出力はA‾\overline{A}とB‾\overline{B}になります。中央のNANDの出力A‾⋅B‾‾\overline{\overline{A} \cdot \overline{B}}はド・モルガンの法則でA+Bとなり、右端のNOTで反転されて、回路全体はNOR(Y=A+B‾Y = \overline{A + B})です。NORはA=B=0のときだけ1を出すので、区間ごとに確かめるとイのチャートだけが一致します。アはNAND、ウはXOR、エはANDの波形で、アとエ、イとウはそれぞれ入力波形が同じなので、Yの値まで確認する必要があります。

解答・解説

正解はイです

この問題のテーマ

NANDゲート4個でできた回路が、全体としてどの論理演算になるかを求め、その結果に合うタイミングチャートを選ぶ問題です。入力を短絡したNANDがNOTとして働くことに気付けるかがポイントです。

解き方の考え方

まず、両方の入力に同じ信号をつないだNANDはA⋅A‾=A‾\overline{A \cdot A} = \overline{A}となり、NOTとして働きます。そのため、左側の2つのゲートの出力はA‾\overline{A}とB‾\overline{B}です。中央のNANDの出力はA‾⋅B‾‾\overline{\overline{A} \cdot \overline{B}}で、ド・モルガンの法則からA+Bになります。右端のNANDも入力を短絡したNOTなので、Y=A+B‾Y = \overline{A + B}、つまり回路全体はNORです。あとは各チャートを点線の区間ごとに読み、AとBが共に0の区間だけYが1になっているものを選びます。

選択肢ごとの解説

  1. ×ア
    アのチャートは、AとBが共に1の区間だけYが0で、それ以外の区間はYが1です。これはNANDの波形です。たとえば最初の区間はA=0、B=1なのにYが1になっており、この組合せで0を出すNORとは合いません。
  2. ○イ
    イのチャートは、A=B=0の区間でYが1、A=1・B=0の区間、A=0・B=1の区間、A=B=1の区間ではいずれもYが0です。区間ごとに確かめると、すべてNORの真理値表と一致します。
  3. ×ウ
    ウのチャートは、AとBのどちらか一方だけが1の区間でYが1になっています。これはXOR(排他的論理和)の波形です。A=1・B=0の区間でYが1となっており、NORの出力0と矛盾します。
  4. ×エ
    エのチャートは、AとBが共に1の区間だけYが1になっています。これはANDの波形です。A=B=0の区間でYが0となっており、NORなら1になるはずなので合いません。

補足

この問題では、アとエ、イとウがそれぞれ同じ入力波形を使っています。入力の形だけで絞り込むことはできないため、Yの値まで区間ごとに確認する必要があります。また、誤りの選択肢はNAND・XOR・ANDといった代表的な演算の波形になっています。回路をNANDだけで組んでいるからといって、全体の出力もNANDになるとは限らない点に注意してください。

POINT

  • NANDの両入力を同じ信号につなぐと、NOTとして働きます。
  • A‾⋅B‾‾=A+B\overline{\overline{A} \cdot \overline{B}} = A + Bとなるように、入力を反転してからNANDを通すとORになります(ド・モルガンの法則)。
  • ORの出力をさらにNOTで反転すると、NOR(A+B‾\overline{A + B})になります。
  • NORはA=B=0のときだけ1を出力し、それ以外では0を出力します。
  • タイミングチャートは、点線で区切られた区間ごとにA、Bの組合せを読んで真理値表と照らし合わせます。

※出典:令和8年度 基本情報技術者試験 科目A 問6(一部改変)