ITガバナンスでIT利用を評価し事業目的に合わせるのは誰か
ITパスポート試験 令和3年度 問49 / システム監査 › 内部統制
過去問にチャレンジ
ITガバナンスに関する次の記述中のaに入れる,最も適切な字句はどれか。 aは,現在及び将来のITの利用についての評価とIT利用が事業の目的に合致することを確実にする役割がある。
- ア
株主
- イ
監査人
- ウ
経営者
- エ
情報システム責任者
会話形式の解説
講師今回はITガバナンスの問題です。ITガバナンスとは、ITの利用を組織全体で方向づけて統制する仕組みのことです。空欄に入る立場が担う役割は二つで、「現在と将来のIT利用を評価すること」と「IT利用を事業の目的に合わせること」です。この二つの役割に注目してください。
受験者ITの話なので、情報システム責任者かなと最初は思いました。システムに一番詳しい立場ですよね。
講師そこがよくある引っかけです。情報システム責任者は、システムの実行や管理を担う立場です。ただ、IT利用が事業の目的に合っているかを確実にするのは、組織全体を方向づける判断になります。その責任は、情報システム責任者のさらに上に立つ立場にあります。
受験者組織全体の方向づけということは、経営判断にあたるのですね。そうすると、経営者が当てはまりそうです。
講師そのとおりです。経営者は、現在と将来のIT利用を評価し、IT利用が事業の目的に合っていることを確実にする責任を負います。JIS Q 38500という規格でも、経済産業省の定義でも、ITガバナンスの責任は経営者にあるとされています。
受験者株主も会社の持ち主なので、方向を決める側ではないのですか。
講師株主は会社に出資する立場です。個々のIT利用を評価したり、方向づけたりすることは通常ありません。ですから、ITガバナンスの責任を担うのは株主ではありません。
受験者監査人はどうでしょう。ITがうまく使われているかをチェックする点では、評価と似ている気がします。
講師紛らわしいところですね。監査人は、独立した立場から統制がうまく働いているかを検証する役割です。IT利用を評価して事業の目的に合わせるという経営判断そのものは担いません。「検証する人」と「判断して責任を負う人」は分けて考えてください。
受験者整理すると、判断して責任を負うのは経営者、検証するのは監査人、システムを動かして管理するのは情報システム責任者、ということですね。
講師よく整理できています。補足すると、ITガバナンスには評価・指示・監視という活動が含まれ、その主語はいずれも経営者です。システムの実行や管理はITマネジメントと呼ばれ、ITガバナンスとは区別されます。この違いを押さえておくと、似た問題にも対応しやすくなります。
まとめ
ITガバナンスは、ITの利用を組織全体で方向づけて統制する仕組みで、その責任は経営者が負います。経営者は、現在と将来のIT利用を評価し、IT利用を事業の目的に合わせる役割を持ちます。株主は出資する立場、監査人は独立した立場から検証する役割、情報システム責任者はシステムの実行や管理を担う立場で、いずれもITガバナンスの責任者ではありません。評価・指示・監視の主語は経営者だと覚え、ITマネジメントと区別しておくと、似た問題にも対応しやすくなります。
解答・解説
正解はウです
この問題のテーマ
ITガバナンスで、ITの利用を評価し、事業の目的に沿うようにする責任は誰にあるかを問う問題です。
解き方の考え方
ITガバナンスは、ITの利用を組織全体で方向づけて統制する仕組みです。その責任は現場の部門ではなく、組織を率いる立場にあります。空欄の役割は「現在と将来のIT利用を評価する」ことと「IT利用を事業の目的に合わせる」ことの二つで、どちらも経営判断にあたります。そこで、選択肢ごとに、その立場が経営判断を担うかどうかを確かめれば答えが絞れます。
選択肢ごとの解説
- ×ア 株主株主は会社に出資する立場で、個々のIT利用を評価したり、方向づけたりすることは通常ありません。ITガバナンスの責任を担うのは株主ではなく経営者です。
- ×イ 監査人監査人は、独立した立場から統制がうまく働いているかを検証する役割です。IT利用を評価して事業の目的に合わせるという経営判断は担いません。
- ○ウ 経営者経営者は、現在と将来のIT利用を評価し、IT利用が事業の目的に合っていることを確実にする責任を負います。ITガバナンスの責任は経営者にあるので、空欄aには経営者が入ります。
- ×エ 情報システム責任者情報システム責任者は、システムの実行や管理を担う立場です。組織全体のITガバナンスの責任は、その上に立つ経営者にあります。
補足
「IT」という言葉につられて、情報システム責任者を選んでしまう誤りがよくあります。システムの実行や管理(ITマネジメント)と、組織全体を方向づけるITガバナンスは分けて考えましょう。評価・指示・監視の主語はいずれも経営者だと覚えておくと、似た問題にも対応しやすくなります。
POINT
- ITガバナンスの責任は経営者が担います。
- 経営者は、現在と将来のIT利用を評価し、IT利用を事業の目的に合わせる役割を持ちます。
- ITガバナンスには、評価・指示・監視という活動が含まれます。
- 監査人は独立した立場で検証する役割で、経営判断はしません。
