フォーラム標準とは何か、デジュール・デファクトとの違い
ITパスポート試験 令和5年度 問10 / 法務 › 標準化関連
過去問にチャレンジ
フォーラム標準に関する記述として,最も適切なものはどれか。
- ア
工業製品が,定められた品質,寸法,機能及び形状の範囲内であることを保証したもの
- イ
公的な標準化機関において,透明かつ公正な手続の下,関係者が合意の上で制定したもの
- ウ
特定の企業が開発した仕様が広く利用された結果,事実上の業界標準になったもの
- エ
特定の分野に関心のある複数の企業などが集まって結成した組織が,規格として作ったもの
会話形式の解説
講師今回は標準の種類を問う問題です。標準は「誰が、どのように決めたか」で分類できます。選択肢がそれぞれどの標準の説明なのかを当てはめていきましょう。
受験者デジュール、デファクト、フォーラムと、カタカナの名前が似ていて私はいつも混ざってしまいます。フォーラムは「集まり」という意味なので、何かのグループが関係しているのだろうとは思いました。
講師その手がかりは役に立ちます。まずほかの二つを確認します。デジュール標準は、ISOやJISのような公的な標準化機関が正式な手続を経て制定する標準です。
受験者そうすると、公的な標準化機関が透明で公正な手続を踏み、関係者の合意で制定したという選択肢は、デジュール標準の説明ですね。
講師そのとおりです。ISO、IEC、JISなどがこれに当たります。次にデファクト標準です。デファクトは「事実上の」という意味で、特定の企業の製品や仕様が市場で広く使われた結果、事実上の標準になったものを指します。
受験者特定の企業が開発した仕様が広く利用されて業界標準になったという選択肢がそれですね。Windowsのようなものでしょうか。
講師はい、Windowsはよく挙げられる例です。ここで気をつけたいのは、企業が関わっているからといってすべてデファクト標準になるわけではないことです。一社の仕様が市場で広まったのか、複数の企業が話し合って決めたのかで区別します。
受験者特定の分野に関心のある複数の企業などが組織を作り、そこで規格を作ったという選択肢が、複数社で決める形ですね。これがフォーラム標準でしょうか。
講師正解です。関心を共有する企業などが組織を作り、その中で合意して規格を作るのがフォーラム標準です。BluetoothやUSBの規格を作っている業界団体の取り組みが代表例です。
受験者残りの、品質・寸法・機能・形状が決められた範囲内であることを保証したもの、という選択肢はどの標準なのでしょうか。
講師これは規格に適合していることを保証するという考え方の説明で、日本産業規格(JIS)の説明に近い内容です。誰が標準を作ったかには触れていないので、フォーラム標準の説明にはなりません。
受験者整理すると、公的機関が決めたものがデジュール、一社の仕様が市場で広まったものがデファクト、企業の集まりが合意して決めたものがフォーラム、ということですね。
講師よくまとまっています。補足すると、フォーラム標準は製品同士をつなげやすくしたり技術を広めたりするのに役立ちますが、各社の製品で差をつけにくくなるという面もあります。デファクトとフォーラムを混同しないよう、「一社が勝ち残ったのか、複数社が話し合ったのか」を確かめる習慣をつけておきましょう。
まとめ
標準は決まり方によって、デジュール標準、デファクト標準、フォーラム標準に分けられます。デジュール標準はISOやJISのように公的な標準化機関が正式な手続で制定したもので、デファクト標準は特定企業の仕様が市場で広く使われて事実上の標準になったものです。フォーラム標準は、特定の分野に関心を持つ複数の企業などが組織を作り、合意によって策定した規格で、BluetoothやUSBの業界団体による規格が代表例です。選択肢を見分けるときは「誰が決めたか(公的機関・一社・企業の集まり)」に注目すると判断しやすくなります。
解答・解説
正解はエです
この問題のテーマ
標準を「誰が、どのように決めたか」で分類したとき、フォーラム標準がどれに当たるかを問う問題です。デジュール標準・デファクト標準との違いを区別できるかが問われています。
解き方の考え方
まず、標準は決まり方によってデジュール標準、デファクト標準、フォーラム標準に分けられることを思い出します。次に、各選択肢の記述がどの標準の説明なのかを当てはめます。公的機関が決めたものはデジュール、市場で広く使われて結果的に標準になったものはデファクトです。関心を持つ企業が集まった組織で決めたものがフォーラムなので、残ったものと突き合わせれば答えが一つに絞れます。
選択肢ごとの解説
- ×ア 工業製品が,定められた品質,寸法,機能及び形状の範囲内であることを保証したもの品質・寸法・機能・形状が決められた範囲内にあることを保証する、という説明は、規格への適合を保証するという考え方を述べたものです。日本産業規格(JIS)の説明に近い内容で、標準を誰が作ったかには触れていません。そのため、フォーラム標準の説明にはなりません。
- ×イ 公的な標準化機関において,透明かつ公正な手続の下,関係者が合意の上で制定したもの公的な標準化機関が、透明で公正な手続と関係者の合意によって定めるものは、デジュール標準です。ISO、IEC、JISなどがこれに当たります。フォーラム標準は公的機関ではなく、企業などが作った組織で決められる点が異なります。
- ×ウ 特定の企業が開発した仕様が広く利用された結果,事実上の業界標準になったもの特定の企業が開発した仕様が広く使われ、結果として業界の標準になったものは、デファクト標準(事実上の標準)です。例としてはWindowsなどが挙げられます。複数の企業が集まって合意して決めるフォーラム標準とは、決まり方が違います。
- ○エ 特定の分野に関心のある複数の企業などが集まって結成した組織が,規格として作ったもの特定の分野に関心を持つ複数の企業などが組織を作り、その組織の中で合意して規格を作るというのは、フォーラム標準の定義そのものです。BluetoothやUSBの規格を作っている業界団体の取り組みが代表例です。
補足
フォーラム標準は、製品同士をつなげやすくしたり技術を広めたりするのに役立つ一方で、各社の製品で差をつけにくくなるという面もあります。「企業が関わる=デファクト標準」と思い込むと、ウとエで迷いやすくなります。一社の仕様が市場で勝ち残ったのか、複数社が話し合って決めたのかで区別しましょう。
POINT
- デジュール標準は、ISOやJISのように公的な標準化機関が正式な手続を経て制定する標準です。
- デファクト標準は、特定企業の製品や仕様が市場で広く使われた結果、事実上の標準になったものです。
- フォーラム標準は、関心を共有する複数の企業などが作った組織で、合意によって策定される規格です。
- 選択肢を見分けるときは「誰が決めたか(公的機関・一社・企業の集まり)」に注目すると判断しやすくなります。
