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会計監査の目的をほかの監査との違いから見分ける

ITパスポート試験 令和5年度 問52 / システム監査 › システム監査

過去問にチャレンジ

令和5年度 問52

会計監査の目的として,最も適切なものはどれか。

  1. ア

    経理システムを含め,利用しているITに関するリスクをコントロールし,ITガバナンスが実現されていることを確認する。

  2. イ

    経理部門が保有しているPCの利用方法をはじめとして,情報のセキュリティに係るリスクマネジメントが効果的に実施されていることを確認する。

  3. ウ

    組織内の会計業務などを含む諸業務が組織の方針に従って,合理的かつ効率的な運用が実現されていることを確認する。

  4. エ

    日常の各種取引の発生から決算報告書への集計に至るまで,不正や誤りのない処理が行われていることを確認する。

会話形式の解説

講師講師
今回は監査の種類を見分ける問題です。会計監査の目的を選びますが、選択肢にはシステム監査、情報セキュリティ監査、業務監査の説明も混ざっています。各選択肢が何を対象にして何を確かめているのか、という点に注目してください。
受験者受験者
会計監査なので会計に関係する選択肢を選べばいいと思ったのですが、「経理システム」「経理部門」「会計業務」と、どれにも会計らしい言葉が入っていて迷いました。
講師講師
そこで迷う人は多いです。部署名や業務名ではなく、確かめている中身で判断しましょう。会計監査は会計情報、つまり取引の記録から決算報告書までの処理が正しいかを確かめる監査です。
受験者受験者
それなら、取引の発生から決算報告書への集計までに不正や誤りがないかを確認する、という選択肢がぴったりです。
講師講師
そのとおりで、それが正解です。会計監査では、財務諸表などの会計情報が適正かを確かめて、不正や誤り、虚偽表示がないかを調べます。財務諸表は、決算で作る会社の成績表や財産の一覧のような書類です。
受験者受験者
経理システムを含むITのリスクをコントロールして、ITガバナンスを実現しているかを確認する選択肢は、どの監査になりますか。
講師講師
それはシステム監査の目的です。ITガバナンスとは、組織がITを適切に管理して活用するしくみのことです。経理システムは例として挙がっているだけで、確認しているのはIT全般の統制とガバナンスです。会計情報が正しいかを見る監査ではありません。
受験者受験者
経理部門のPCの利用方法を含めて、情報セキュリティのリスクマネジメントを確認する選択肢は、情報セキュリティ監査ですね。
講師講師
はい。経理部門という言葉が入っていても、確かめている中身は情報セキュリティの管理です。リスクマネジメントは、リスクを洗い出して対策を管理する活動のことです。
受験者受験者
残りの、会計業務などの諸業務が方針に沿って合理的かつ効率的に運用されているかを確認する選択肢が一番紛らわしかったです。会計業務と書いてあるので会計監査かと思いました。
講師講師
それは業務監査の目的です。評価の観点は、業務が効率的か、組織の方針に合っているかです。会計処理が正しいかどうかを確かめているわけではありません。
受験者受験者
整理すると、会計処理に不正や誤りがないかを見るのが会計監査、ITの統制とガバナンスはシステム監査、情報セキュリティの管理は情報セキュリティ監査、業務の効率性と方針への適合は業務監査、ということですね。
講師講師
よく整理できています。今回のように、ほかの選択肢にも会計に関係する言葉が入っていることがあるので、言葉に引っ張られないよう注意しましょう。会計監査なら「不正や誤り」「決算報告書」が手がかりになります。監査の問題は、何を確かめる監査なのかという目的で判断するのがコツです。

まとめ

会計監査は、日常の取引が発生してから決算報告書にまとめられるまでの処理に不正や誤りがないかを確かめ、会計情報が適正かを確認する監査です。ITリスクの統制やITガバナンスの実現状況を確認するのはシステム監査、情報セキュリティのリスクマネジメントを確認するのは情報セキュリティ監査です。業務が方針に沿って合理的・効率的に運用されているかを確認するのは業務監査です。選択肢に「経理」や「会計」といった言葉が入っていても、何を確かめる監査なのかという目的で判断しましょう。

解答・解説

正解はエです

この問題のテーマ

監査にはいくつか種類があります。その中で会計監査の目的を選び、システム監査・情報セキュリティ監査・業務監査と区別できるかを問う問題です。

解き方の考え方

まず、各選択肢が「何を対象に」「何を確かめようとしているか」に注目します。会計監査は会計情報、つまり取引の記録から決算報告書までの処理が正しいかを確かめる監査です。キーワードが「不正や誤りがないか」「決算報告書」になっている選択肢を探すと、エに絞れます。ほかの選択肢は、それぞれ別の種類の監査の説明に当てはまるかを確認すると、誤りの理由がはっきりします。

選択肢ごとの解説

  1. ×ア  経理システムを含め,利用しているITに関するリスクをコントロールし,ITガバナンスが実現されていることを確認する。
    ITに関するリスクをコントロールし、ITガバナンスが実現されているかを確認するという説明は、システム監査の目的です。「経理システム」という語が入っていても、確認しているのはIT全般の統制とガバナンスです。会計情報が正しいかどうかを確かめる会計監査とは目的が違います。
  2. ×イ  経理部門が保有しているPCの利用方法をはじめとして,情報のセキュリティに係るリスクマネジメントが効果的に実施されていることを確認する。
    PCの利用方法を含めて、情報セキュリティのリスクマネジメントが効果的に行われているかを確認するという説明は、情報セキュリティ監査に当たります。「経理部門」という語に引っ張られやすいですが、確かめている中身は情報セキュリティの管理です。
  3. ×ウ  組織内の会計業務などを含む諸業務が組織の方針に従って,合理的かつ効率的な運用が実現されていることを確認する。
    諸業務が組織の方針に沿って、合理的かつ効率的に運用されているかを確認するという説明は、業務監査の目的です。会計業務が例に挙がっていても、評価の観点は業務の効率性や方針に合っているかであり、会計処理の正しさではありません。
  4. ○エ  日常の各種取引の発生から決算報告書への集計に至るまで,不正や誤りのない処理が行われていることを確認する。
    日常の取引が発生してから決算報告書にまとめられるまで、不正や誤りのない処理がされているかを確認するという説明は、会計監査の目的そのものです。会計監査は、財務諸表などの会計情報が適正かを確かめ、不正・誤り・虚偽表示がないかを調べます。

補足

この問題では、ア〜ウにも「経理システム」「経理部門」「会計業務」といった会計に関係する語が入っており、それで迷わせるつくりになっています。部署名や業務名に惑わされず、「何を確かめる監査なのか」という目的の部分で判断するのがコツです。

POINT

  • 会計監査は、取引の発生から決算報告書への集計までの処理に不正や誤りがないかを確かめ、会計情報が適正かを確認する監査です。
  • ITリスクの統制やITガバナンスの実現状況を確認するのはシステム監査です。
  • 情報セキュリティのリスクマネジメントが効果的に行われているかを確認するのは情報セキュリティ監査です。
  • 業務が方針に沿って合理的・効率的に運用されているかを確認するのは業務監査です。

※出典:令和5年度 ITパスポート試験 問52