システム監査の目的は何か、似た活動とどう区別するか
ITパスポート試験 令和6年度 問55 / システム監査 › システム監査
過去問にチャレンジ
システム監査の目的に関する記述として,適切なものはどれか。
- ア
開発すべきシステムの具体的な用途を分析し,システム要件を明らかにすること
- イ
情報システムが設置されている施設とその環境を総合的に企画,管理,活用すること
- ウ
情報システムに係るリスクに適切に対応しているかどうかを評価することによって,組織体の目標達成に寄与すること
- エ
知識,スキル,ツール及び技法をプロジェクト活動に適用することによってプロジェクトの要求事項を満足させること
会話形式の解説
講師今回はシステム監査の目的を問う問題です。選択肢には、ほかの活動の目的を説明したものが混ざっています。それぞれの選択肢がどの活動の説明なのかを見分けるのが大事です。
受験者監査という言葉は知っていますが、何のために行うのかと聞かれると、うまく説明できません。システムをきちんと管理することではないのですか。
講師そこが大事なところです。システム監査は、自分でシステムを作ったり管理したりする活動ではありません。独立した立場、つまり監査される側から離れた立場で、情報システムのリスク対応が適切かどうかを評価する活動です。
受験者評価する活動なのですね。それなら、リスクに適切に対応しているかを評価して、組織体の目標達成に寄与するという選択肢が当てはまりそうです。
講師そのとおりです。それがシステム監査の目的そのもので、正解です。「評価する」ことと「目標達成に寄与する」ことの二つがそろっている点が決め手になります。
受験者システムの用途を分析して、システム要件を明らかにするという選択肢も、システムに関係していて迷いました。
講師それはシステム開発の工程の一つである要件定義の目的です。システムを作る側の活動なので、評価を行う監査とは役割が違います。
受験者施設とその環境を総合的に企画、管理、活用するという選択肢は、カタカナの用語がありそうですが、名前が出てきません。
講師ファシリティマネジメントの目的です。施設とその環境を企画したり活用したりするのは当事者の仕事なので、評価を行うシステム監査の目的には含まれません。
受験者知識やスキル、ツール、技法をプロジェクト活動に適用して要求事項を満足させるという選択肢は、プロジェクトマネジメントの説明でしょうか。
講師はい、プロジェクトマネジメントの目的です。プロジェクトを進める当事者の活動なので、外から評価する監査とは立場が違います。
受験者まとめると、要件定義、ファシリティマネジメント、プロジェクトマネジメントは自分で取り組む活動で、システム監査だけが評価する活動ということですね。
講師その理解で合っています。一つ注意しておくと、正解の選択肢にも「対応している」という言葉があるので、動作を表す言葉だけで機械的に判断するのは危ないです。その活動が、管理や統制がきちんと機能しているかを評価して改善につなげるものかどうかで判断してください。
受験者「明らかにする」や「企画・管理・活用する」、「満足させる」は当事者の動きで、監査は「評価する」側だと覚えておきます。
まとめ
システム監査の目的は、情報システムに係るリスクに適切に対応しているかを評価し、それによって組織体の目標達成に寄与することです。システム監査は、監査対象から独立した立場で評価を行う活動で、自分でシステムを作ったり管理したりする活動ではありません。システムの用途を分析して要件を明らかにするのは要件定義、施設とその環境を総合的に企画・管理・活用するのはファシリティマネジメントの目的です。知識や技法を適用して要求事項を満たすのはプロジェクトマネジメントの目的です。言葉だけで判断せず、評価する活動かどうかで見分けるのがポイントです。
解答・解説
正解はウです
この問題のテーマ
システム監査は何のために行うのかという目的を問う問題です。あわせて、要件定義やファシリティマネジメント、プロジェクトマネジメントといった似た用語の目的と区別できるかも問われています。
解き方の考え方
まず、各選択肢がどの活動の目的を説明しているのかを見分けます。システム監査は、自分でシステムを作ったり管理したりする活動ではありません。独立した立場から、情報システムのリスク対応が適切かどうかを「評価する」活動です。このため、「評価する」と書かれ、その先に組織体の目標達成への寄与まで示している選択肢を選べば正解にたどり着けます。
選択肢ごとの解説
- ×ア 開発すべきシステムの具体的な用途を分析し,システム要件を明らかにすることシステムの用途を分析してシステム要件を明らかにするという説明は、システム開発の工程の一つである要件定義の目的です。システムを作る側の活動であり、評価を行うシステム監査の目的ではありません。
- ×イ 情報システムが設置されている施設とその環境を総合的に企画,管理,活用すること施設とその環境を総合的に企画・管理・活用するという説明は、ファシリティマネジメントの目的です。システム監査は評価を行う活動なので、施設を企画したり活用したりすることは目的に含まれません。
- ○ウ 情報システムに係るリスクに適切に対応しているかどうかを評価することによって,組織体の目標達成に寄与すること情報システムのリスクに適切に対応しているかを評価し、それによって組織体の目標達成に寄与するという説明は、システム監査の目的そのものです。「評価する」ことと「目標達成に寄与する」ことの二つがそろっている点が決め手になります。
- ×エ 知識,スキル,ツール及び技法をプロジェクト活動に適用することによってプロジェクトの要求事項を満足させること知識、スキル、ツール、技法をプロジェクト活動に適用して要求事項を満たすという説明は、プロジェクトマネジメントの目的です。プロジェクトを進める当事者の活動であり、監査の目的ではありません。
補足
監査は、業務を自分で行う活動ではありません。管理や統制がきちんと機能しているかを評価し、改善につなげる活動です。そのため、選択肢に「企画する」「実施する」「満足させる」といった当事者の動作が書かれていれば、監査の説明ではないと判断しやすくなります。システム監査には、利害関係者への説明責任を果たすことに役立つ面もあります。
POINT
- システム監査の目的は、情報システムのリスク対応が適切かを評価し、組織体の目標達成に寄与することです。
- システム監査人には、専門性と客観性、そして監査対象から独立した立場が求められます。
- システムの用途を分析して要件を明らかにすることは、要件定義の目的です。
- 施設と環境の総合的な企画・管理・活用はファシリティマネジメント、知識や技法の適用で要求事項を満たすことはプロジェクトマネジメントの目的です。
